「ドント・ブリーズ」

ドントブリーズ

2016年のアメリカ映画「ドント・ブリーズ」。てっきりギャルの息の臭いを嗅ぎ分けてくるじいさんの話かと思いきや、そんなことはありませんでした。
「死霊のはらわた」(リメイク版)の監督が今作も担当、サム・ライミが製作に関わっています。途中までは「最近多いキチガイじいさん映画か」と辟易しかけていたのですが、ちょっとキチが過ぎるシーンもありました。とにかく後味が悪い!
ちなみに、主人公に思いを寄せる好青年に「プリズナーズ」はもちろん、「グース・パンプス」で主演してジャック・ブラックとも共演していたディラン・ミネットが、チャラダメ男に「イット・フォローズ」で主人公のカワイコちゃんを翻弄したチャラダメ男のダニエル・ゾヴァット(とはいえ、イメージは全く違う。前作はイケメンの頭からっぽ男、今作は粗野で下品な男という感じ)が出演しています。ほぼ4人で進行する、息詰まる展開に注目です。

あらすじ

リメイク版「死霊のはらわた」のフェデ・アルバレス監督が再びサム・ライミ製作の下で撮り上げた戦慄のサスペンス・スリラー。盲目の老人の家に盗みに入った若者3人が、相手の思わぬ反撃に遭い、逃げ道を塞がれた真っ暗闇の家の中で想像を絶する恐怖に見舞われるさまを緊張感あふれる筆致で描き出す。出演は若者3人に「死霊のはらわた」のジェーン・レヴィ、「プリズナーズ」のディラン・ミネット、「イット・フォローズ」のダニエル・ゾヴァット。彼らを恐怖のどん底に突き落とす盲目の老人に「アバター」のスティーヴン・ラング。
長引く不況ですっかり荒廃した街デトロイトで、少女ロッキーと恋人のマニー、友人のアレックスの3人は重罪にならない程度の空き巣を繰り返していた。自堕落な親を見限り、幼い妹を連れてここを出て行こうと考えていたロッキーにはまとまった金が必要だったが、そこへマニーがある強盗話を持ちかけてきた。ターゲットは孤独な盲目の老人で、娘を事故で失った彼は、賠償で得た大金を自宅の地下室に隠し持っているらしいというのだった。最初は嫌がっていたアレックスも加わり、真夜中の老人宅に侵入した3人だったが、すぐに彼らは自分たちが相手にしている男が、単なる目の見えない無力な老人ではないことを悟るのだった…。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=358526

登場人物

ロッキー:主人公の女の子。シングルマザーの母が育児放棄&金を無心&彼氏を家に引っ張り込むのトリプルコンボをかましてきて、疲弊している。妹を守るため、2人で街を出たいと思っている。
アレックス:ロッキーの悪友。ロッキーに比べるといい家に住んでいるようにも見える。一緒に街を出ようと誘われるが、「父を捨てられない」と断る。父が警備会社に勤めており、その鍵を悪用して強盗を行っているが、彼なりのルール(金持ち以外からは盗まない)はあるようだ。
マニー:ロッキーの恋人。とんでもないクズであり、盲目の老人の家への強盗を提案したのも彼である。
盲目の老人:元退役軍人。近隣住民が立ち退いているエリアで、1人住み続けている。イラクで失明したらしい。娘を交通事故で失い、示談金を家に隠しているという噂。凶暴な犬を飼いならしている。

ネタバレ

ドントブリーズ1

何かを引きずって通りを歩いていくじいさん。それがアップになっていくと、引きずられているのが女性だとわかる。

豪邸で強盗する3人組。ロッキーは服などを盗み、アレックスは貴重そうなものを盗む。マニーは物を壊したり、おしっこをまき散らしたりしている。
彼らはデトロイトを出ていき、都会に行きたいと考えている。だが、アレックスは父を守るためにそれを実行できそうにない。

盗品を買い叩かれるマニーだが、元締めの男に退役軍人の家への強盗を勧められる。
家に娘の交通事故の示談金を隠しているはずだという話を信じたマニーは、ロッキーたちを誘う。だが、アレックスはそれを断ってしまう。
ロッキーの家庭環境は最悪だ。母は下品な彼氏を家に引っ張り込んでいるし、支払いを娘に押しつけて下品なことばかり言う。ロッキーはアレックスを説得する。

ターゲットを確認しに行く3人。男が盲人であり、獰猛な犬を飼っていることがわかる。

夜、強盗を実行する3人。異様に鍵が多く、結局ロッキーがトイレの窓から滑りこんで鍵を開けることになる。
マニーはガスで老人を眠らせるために寝室に行くが、盲人の男は死んだ娘の幼い頃のホームビデオを視聴していた(音だけ聞いていた)。

ガスを撒き、鍵がかけられたクローゼットを開けようとする3人。マニーがもってきた銃をアレックスが見咎め、彼は出て行ってしまう。
と、そこに老人が起きてきて、一触即発のムードになる。銃で老人を脅すマニーだが、逆に首を絞められ、頭を撃たれてしまう。
その銃声でアレックスは戻ってくるも、トイレに隠れる。ロッキーは扉が壊されたクローゼットに隠れることになる。

ロッキーはクローゼットの中で、隠し金庫を出す老人を見ている。そして暗証番号も盗み見ることに成功する。
マニーの死体を処理しようとする老人。ビニール袋をかぶせ、どこかに引きずっていく。

老人は音を立てないために脱いでいたマニーの靴を見つける。そして、ロッキーの靴も。彼は単独犯の犯行だと勘違いしていたが、実はまだ犯人がいたことを知り、部屋に戻ってくる。

ロッキーとアレックスは地下室から外に逃げようとしていたが、そこで驚く。地下室の片隅はクッションや植物が置かれたスペースになっており、鎖でつながれた女性が監禁されていたのだ。老人は、自分の娘を交通事故で殺しながらも、示談金で無罪になった女性を監禁していたということがわかる。アレックスは通報すべきだというが、ロッキーはまず一緒に逃げるべきだと主張する。
彼女の拘束を解くも、外に通じる地下室の扉を開けた時、待っていたのは老人だった。
老人はアレックスを撃つも、その弾は外れて監禁女性を撃ち抜く(アレックスは耳の横を切った)。

2人は地下室の中を逃げるが、老人は電気を落としてしまう。鍵も壊され、地下室から外へは逃げられない。棚ごしに首を掴まれるアレックスだが、棚を倒して老人を下敷きにする。
だが、地下室から出たら今度は犬が襲ってくる。

襲ってくる犬から逃げるため、アレックスは扉を塞ごうとし、その隙にロッキーを通気口の中に逃がす。アレックスは犬に襲われ、そのまま家の外に押し出され、ガラス窓(天井部分にガラスの窓がついている部屋があるらしい)の上に落ちる。
ロッキーは通気口の中まで匍匐前進で追ってきた犬に苦しめられるが、通気口内の段差に落ちて何とか逃げる。

アレックスはさらに家の中に落っこちる。
彼は警報機のリモコンを持っており、それで通報しようとするがうまくいかない。やってきた老人と掴み合いになるアレックス。だが、その部屋にあった洗濯機のスイッチが入り、騒音で老人は混乱する。しかし、スイッチを切る老人。でも銃は落としてしまったので、老人はアレックスを庭用の枝切ハサミで刺殺する。

ロッキーは外に出られる通気口を塞ぐ小さな格子をガンガンと蹴り破ろうとするが(コイツ、相手が耳が異様にいい老人だと忘れているのか)、そのまま引きずり出されて気絶させられる。

ロッキーは気が付いたら地下室におり、縛られている。
他の2人は死んだと言い、「お前が責任をとれ」という老人は、彼女の説得も聞き入れない。
だが、アレックスは生きていた。彼はとっさにマニーの死体と入れ替わっていたのだ。

監禁していた女性の死体を収納スペース(床下収納みたいなところ)に入れ、何かを流し込む老人。そして、吊るしたロッキーの股間を破り、精子をスポイトで注入しようとする。
「君は強いし若い、いい子を産む」と言い出す老人。だが、そこにアレックスが乱入してロッキーを助ける。
ロッキーは精子のスポイトを老人の口にブチこんで捨てゼリフを吐く(外道)。
アレックスは金と引き換えに、老人の監禁事件を警察に黙っていると取引をする。

外に出ようとするも、裏切った老人に撃たれるアレックス。彼を見捨てて、ロッキーは走って逃げる。盲目の老人には追ってこれないだろうと思う彼女だが、犬が追いかけてくる!
車まで逃げるも、とにかくしつこい犬。ボンネットに立って威嚇する(かわいい)。しかも金入りのリュックを車の外に落としてしまう。犬をなんとか車の中に誘い込んでつなぎ、外に出て金を拾う彼女だが、真後ろには老人がいた!

だが家に戻ったロッキーは警報機から通報に成功し、アタフタするじじいをボコボコにして地下室に落とす。そしてそのまま逃亡する。

彼女はのちに、老人が被害者として通報されているニュースを見る。マニーとアレックスの犯行ということになり、自分のしたことはバレていない。だが、老人はまだ生きていることもわかる。
しかしながら、彼女は妹の手を引き、街を出ていくために歩き出す。

感想

・警察はなぜ、じいさんの地下室を調べなかったのか?にしてもあんな立派な監禁ルームを誰が作ったんだ?行方不明になった時点で、じいさんの監禁ルームを製作した人から犯行がバレそうなものです。そしてじいさんはなぜ、突然子作りしようとしたのでしょうか。あの精子は誰のものだったんだ。娘を生みなおしてほしかったんでしょうか??
・とにかくロッキーもクズ、マニーはもちろんクズ、アレックスもいい人だけどやってることはクズ、じいさんも被害者遺族だけどクズ、監禁されていた女性も金にモノを言わせて無罪になったクズ、というクズしかいない映画であります。
・「盲目だけどとにかく強い」というのが一番大きく、「耳がいい」「鼻が効く」といった特殊能力は特段ありませんでした。すげぇ鼻のいいジジイの話かと思った。キョンシージジイ(※キョンシーは人の息を嗅いで、その人の居場所を特定することができるという設定があったような)かと。