「ヴィジット」

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どうしても「ヴィレッジ」と「ヴィジット」が混ざる!2015年の映画「ヴィジット」です。シャマラン監督の映画のなかでも、今までの作品とは少し違う特色があります。
・全編POV
・子役が完全に主演。そういや、「シックス・センス」も「サイン」も、監督作品ではないけど「デビル」も子どもがキーパーソンではありますが、今回は彼らは完全に脅かされる側です。

あらすじ

「シックス・センス」「サイン」のM・ナイト・シャマラン監督が贈る全米大ヒット・ホラー・サスペンス。田舎の祖父母のもとに預けられ、1週間をそこで過ごすことになった15歳と13歳の姉弟が、予想だにしなかった戦慄の恐怖に襲われるさまを描く。
15歳のベッカと13歳のタイラーはシングルマザーに育てられている仲の良い姉弟。母は若いときに実家を飛び出して以来、両親つまり姉弟の祖父母とは音信不通となっていた。そんなある日、祖父母から姉弟に休暇を利用して遊びに来ないかとの誘いが。ちょうどカメラに夢中のベッカは、この機会に母親と家族の物語をドキュメンタリーにしようと考える。こうして姉弟だけでペンシルバニアの祖父母と1週間を過ごすことに。初めて対面する祖父母に最初は緊張したものの、優しい祖父と、祖母の美味しい料理にすっかり大喜びの姉弟だったが…。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353463

ネタバレ

姉・ベッカはママへのインタビューを敢行している。彼女はシングルになったきっかけを語っている。夫が浮気したのだ。駆け落ち同然で元夫と出身地を飛び出したが、そんな両親が孫と1週間暮らしたいと連絡してきた。だから、ベッカとタイラーの姉弟は田舎に出かけることになる。

電車で移動する姉弟。弟は離婚をきっかけに、潔癖症になってしまった。だが、ラップでまわりを楽しませてくれる。

月曜日の朝。

目的地であるメイソンビルに到着した姉弟。老夫婦は優しく駅で出迎える。タイラーはこれから痛い思いをしたら「痛い!」という代わりにセレブの名前を叫ぶなどと言い出している。
この家の夜は早い。9:30には寝なければいけないし、部屋から出ないようにも言われる。おばあちゃんの美味しいクッキー、タイラーのラップ、穏やかな時間。ベッカはママと祖父母の確執の顛末をドキュメンタリーとして残そうとしている。静かな場面で、ママの好きな曲を流す演出も考えている。

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夜。クッキーが食べたくなり、抜け出そうとしているベッカ。だが、祖母が徘徊していて、しかもゲロを吐き出しているところを見かけてしまう。

火曜の朝。

祖母の奇行について、祖父に尋ねるベッカ。どうやら、祖母はいつもこんな感じらしい。

ベッカとタイラーは、家の軒下に入って這いながら鬼ごっこをして遊ぶ。だが、何かがそこにいる。突然、それがベッカを追いかけて猛スピードで這ってくる!タイラーはそれに気付いていないが、彼も追われる。「見つけた、見つけた~!」
だが、それは祖母だった。大笑いしながら去っていく彼女。だが、スカートが引っかかっていて、彼女が下着をつけていないのが見える。

医者のサムが家を訪れる。対応するベッカ。先週、ボランティアを無断欠席したことで彼は心配してきたらしい。「騒動があったと伝えて」と伝言を残し、サムは去る。

タイラーは探検中だ。近くの小屋を調べることにして、侵入する。そこには、使用済みのおむつが大量にある。
祖父は失禁症らしい。おむつはこっそり後で焼いているという。

姉弟は祖父とでかける。病院には入館証を忘れて入れなかったので、母の通学していた学校に行く。だが、突然祖父は通行人に殴りかかる。「あいつが見ていた!」と言いがかりをつけているのだ。

夜。ドアの外には誰かがいる。そっと扉を開けて覗くと、そこには素っ裸でドアを引っかいている祖母がいる。「ヤバイもんみちゃった」とタイラーは怯える。

水曜の朝。

祖父は、祖母が病気だという。日没症候群という病気だ。日没後に急激に体調や精神状態が悪化する病気だという。そう話しながら、祖父はなぜかタキシードを着ている。職場の仮装パーティに行くという祖父を、優しく止めるベッカ。祖父もやはりおかしい。

祖母がPCにバターをこぼしてしまったせいで、カメラ機能が使えなくなってしまう。ベッカは日没症候群について調べる。

ベッカはスカイプで母と話すが、祖母が元ヒッピーで裸になることは珍しくないと笑われる。

ベッカは祖母にインタビューを申し出るが、無視される。「オーブンに入って掃除をしてくれないかしら?」彼女は祖母の言う通り、巨大なオーブンに入って拭き掃除をする。
祖母をインタビューするが、途中で具合が悪くなり、ご機嫌斜めになってしまう。

祖母を隠し撮りすることにした姉弟。だが、姉は反対していて実現しない。
夜、変な音が聞こえてくる。すると、手を後ろに組んだまま、走っている祖母が廊下にいる。四つん這いになってすらいる。慌ててドアを閉める姉弟。

木曜の朝。

老夫婦と姉弟は散歩をしている。祖母の走り方を真似するタイラー。だが、それを祖母に見られてしまう。祖母はじっと井戸を見ている。なぜだろうか?

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タイラーのインタビューをするベッカ。彼は達観している。パパを恨んでいないというのだ。ベッカは「嘘ばかり」という。だが、タイラーは自分が5年前にした失敗(フットボールの試合でのミス)のせいで、いなくなったのではないかと思っている。

井戸を訪れる彼ら。しかし、そこには何もない。

タイラーはベッカにインタビューする。彼氏のことを聞くタイラー。
ベッカに、なぜ鏡を見ないのかを聞くタイラー。ベッカには、たしかに「鏡を見られない」という奇妙な癖がある。ベッカは、まだ父を恨んでいるのだ。弟にされた質問のせいで、彼女は涙を流す。

祖母が徘徊しているのを撮影するため、姉弟はやはりカメラを設置する。

家にはまたお客がやってくる。祖父母に世話になったというステイシーだ。彼女はパイを差し入れてくれる。

タイラーは家の中で様子を窺う。と、そこにべッカが飛び込んできて驚かす!

ベッカは祖母の笑い声を聞く。「ママと同じテレビを見て笑ってるのかも」と彼女の部屋に行くベッカだが、祖母は壁を見ながら笑っている。「暗闇さんがいるのよ」という祖母は、自らのストールで首を絞める。
「暗闇さんを洞窟に閉じ込めるなら、笑わなきゃ」

タイラーは祖父に助けを求めに行く。だが、銃で自殺しようとしている祖父のポーズに驚くタイラー。銃の手入れをしていただけだった。

姉弟はやはり、隠しカメラを設置する。
母は恋人と共に、クルーズ旅行を楽しんでいる。

タイラーはトイレのレバーを直接触ってパニックになっている。ベッカは優しくフォローする。

夜中。カメラには、ドアをバタバタ開け閉めしている祖母の姿がある。急にカメラの画角に映り込んで、ドッキリさせる祖母。隠しカメラを引きずり出し、包丁を持って移動して、姉弟のいる部屋の扉をガチャガチャ探る。

金曜の朝。

カメラで映像を確認した姉弟。心底、祖父母に怯えている。遊んでいるフリをして、1週間が早く過ぎることを願う。

じいちゃんにインタビューするベッカ。突然、夜白いものを見たという祖父の体験談を聞く。仕事中に白い何かを見た彼は、そのせいで仕事をクビになったという。

ステイシーがまた家にやってくるが、今度は祖父母に対して怒っている。だが、なぜ怒っているのかは家の中にいる姉弟に聞こえてこない。

祖母にまたインタビューすることになったベッカ。
水の中にいる宇宙の生きものについて話を聞く。彼らは井戸の中に唾を吐き、人を眠らせる。中に入った人間を眠らせ、湖の底に蓄えているのだ。シンモフィラリア星に帰る時の燃料として。
祖母はひたすらそんな話をしている。祖母は娘に合いたくないらしい。昔話になると、祖母は急激に具合が悪くなる。混乱して、自分の頭をはたき出す。
だが、「お前のことを許すわ」と最後に言う。

ママが帰宅した頃、またスカイプをする姉弟。ママに助けを求める。だが、なんだか話が噛み合わない。ママは姉弟を落ち着かせ、話す。
「おじいちゃんとおばあちゃんじゃない」

つまり、彼らは本当の祖父母ではない。彼らは誰なのか?とにかく相手を刺激しないようにしながら、警察が到着するまで待ち続けるしかない。

祖父は、今夜は家族でボードゲームをしようと持ち掛ける。祖母はベッカにまたオーブン掃除を手伝させる。中までベッカに入らせ、「扉も拭かなきゃ」と扉を閉めてしまう祖母。ベッカはパニックになる。
外に出ようとする姉弟だが、ドアを開けたら、そこにはステイシーの死体がブラ下がっているのがわかる。

ゲーム大会が始まる。若者チーム対老人チームだ。ベッカはそっと席を立つ。
祖父のお腹が鳴る音がして、彼が脱糞したことがわかる。祖母は両手でクッキーをつかんで食べている。残されたタイラーは「ケイティ・ペリー」と呟く。
祖母はカメラ目線で「ヤッツィー!」(※ゲーム名)と絶叫する。

地下室に行くベッカ。
祖父は、あるポーズのまま固まってしまった祖母をベッドに寝かせに行く。

ベッカは地下室で精神病院の服(祖父母がボランティアをしていた病院の患者用のもの)、血のついたハンマーを見つける。そして、祖父母の死体も……。
後ろから祖父―ではなく、ミッチェルと名乗る老人が現れる。祖母―ではなく、クレアは子どもをカバンに入れて井戸に沈めている。それは星に行くためだ。井戸には、ベッカとタイラーも投げ込みたい。
「あの白いやつはたしかにいるんだ」

ミッチェルはベッカを地下室から引きずり出す。タイラーが殴られて倒れているのが見える。
ベッカはある部屋に監禁される。「みんなで死のうな」

ミッチェルはタイラーの元に戻る。ベッカがいる部屋には、クレアがいる。
動けないタイラー。おむつを脱いだミッチェル

ベッカは恐怖でパニックを起こしている。
ミッチェルは「最初からお前が嫌いだった」とタイラーに囁く。

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クレアは猫のように鳴きながら、ベッカを眺めてニヤニヤする。
ミッチェルはまた、仮装パーティに行こうとしている。
クレアはベッドの下に潜りこむ。そして大笑いする。
ミッチェルは汚れたおむつを、タイラーの顔になすりつける。
クレアはベッドのシーツをかぶり、「お前がキライ!」とベッカに殴りかかる。

だが、ベッカは鏡の破片でクレアを刺し殺す。

人糞まみれのタイラー。ミッチェルはカメラを手に、ぶつぶつと離している。「私には見える、この世界の醜い本性が」

ベッカはカメラを使い、部屋の鍵を壊す。
タイラーを救うため、ベッカはミッチェルにとびかかる。だが、タイラーはミッチェルを自分の力で退治しようとする。そして、フットボールの試合のミスを払拭するように、ミッチェルにタックルして引き倒し、冷蔵庫の扉で彼の頭を何度も挟む。

家から逃げ出した姉弟。警察の車が来ているのが見える。
ここで、「母が好きだった曲」(ベッカがドキュメンタリー内に使うと明言していた曲)がかかる。母が姉弟を抱きしめる。

後日。
母は両親の思い出を語り、ベッカは父の映像をドキュメンタリーに入れる。
ラストは弟のラップで終了する(トラウマがひどかったが、現在は回復したとラップしている)。

感想

・オカルト映画かと思いきや、精神異常の男女が老夫婦を殺して入れかわっていたというお話。劇場で見て大満足した映画。
・ドキュメンタリーのBGM、ベッカのトラウマ(鏡嫌い)、タイラーのトラウマ(試合での失敗)などを伏線にしており、気持ちよく見てしまう!
・やっぱり「人糞を顔になすりつける」といういらないシーンを盛り込んだことで、この映画に“イジワルさ”が加わったように思います。このスパイシーさ、理不尽さがたまりません。
・やっぱりシャマラン監督の映画は面白いのであります。