「グリーン・インフェルノ」

greeninfe

2013年のアメリカ・チリ製作映画「グリーン・インフェルノ」。
久しぶりにイーライ・ロスの監督・脚本・製作映画。製作はたびたびしてますけど、この人のプロデュース映画は好きです。
この映画に関しては、とにかく気持ち悪い。昨今のカニバリズム映画でめぼしいところを思い出すと、「肉」が思い浮かぶのですが、ああいうカルトや虐待、暴力の香りがするカニバリズムとは違い、この映画は純然たる食肉映画です。「食人族」を見た時の記憶が猛烈に蘇りますね。

環境破壊を止めたい「意識高い系」の学生たちがヒデー目に遭うという話。
今はチャラチャラヤリヤリの若者が喰われるよりも、こういう学生が喰われたほうがスッとする人が増えてきているのでしょうか。
個人的には大満足。映像もビビッドです。
調べてびっくりしたけど、主演女優がイーライ・ロスのお嫁なんですね。ロブ・ゾンビみたいに嫁で映画いっぱいとるのかな?

あらすじ

「キャビン・フィーバー」「ホステル」のイーライ・ロス監督が、かつて80年代前後に様々な物議を醸して世界的にセンセーションを巻き起こした食人族映画を現代に甦らせて描く衝撃のカニバル・ホラー。アマゾンの先住民族に捕まったアメリカの学生たちを待ち受ける凄惨な運命を、過激なゴア描写満載に描き出す。主演はイーライ・ロス夫人でもある「アフターショック」のロレンツァ・イッツォ。
女子大生のジャスティンは、環境活動家グループのイケメン・カリスマ・リーダー、アレハンドロに好意を抱き、彼らが南米ペルーで行う抗議活動に参加することに。その内容は、未開のジャングルに暮らす先住民、ヤハ族を守るため、開発が進む工事現場に乗り込み、違法な森林伐採の様子を生中継で世界中に発信するというものだった。計画はみごとに成功し、大きな成果とともに帰途に就いた一行だったが、ほどなくしてセスナ機が墜落し、彼らはアマゾンの真っ只中に放り出されてしまう。かろうじて一命を取り留めたジャスティンたちだったが、生存者は全員、身体を真っ赤に染めたヤハ族に捕らえられ、彼らの集落へと運ばれる。そこでジャスティンたちを待っていたのは、世にもおぞましい人喰いの儀式だった。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353595

登場人物

ジャスティン:主人公。音楽(フルート)の才能があるが、それよりも進学を選んだ。アレハンドロに惹かれ、活動に参加する。父は国連の職員であり、母は故人。
アレハンドロ:活動のリーダー。雄弁かつ実行派の男。
ラース:メンバーのひとり。マリファナ大好きなお祭り野郎。
エイミー:メンバーのひとり。あまりアウトドア派ではない。
サマンサ:メンバーのひとり。レズビアンであり、タトゥーをたくさん入れている。かなり勝気。
カーラ:メンバーのひとりであり、アレハンドロの恋人。ジャスティンを敵視している。
ジョナ:ジャスティンに親切なメンバー。彼女にほのかな恋心を抱く。
ダニエル:アレハンドロの同志であるメンバー。ハゲ頭が特徴。

ネタバレ

冒頭。部族の子どもとおじいちゃん(体を赤く塗っている)が森にたたずんでいるが、そこにショベルカーがやってくる!驚く子ども。

「何が欲しい?」「健康保険!」「いつ欲しい?」「今!」
シュプレヒコールで目を覚ますジャスティン。彼女はその活動のリーダー、アレハンドロが気になって仕方ない。だが、横にいるカーラはジャスティンを牽制するように彼にキスをする。

授業で割礼について学ぶジャスティンと親友。彼女たちはその実態に憤慨する。
その授業終わりで、ジョナが話しかけてくる。アレハンドロが彼女を活動に誘いたいというのだ。

父とランチするジャスティン。
ここでママの死、音楽の才能があるのに(ちなみにフルートだそう)進学したことに父は苛立っていること、彼女はママの形見のネックレスを持っていることなどが伏線で出てきます。

環境破壊からペルーの部族を守るため、反対活動をするというアレハンドロ。会合に参加したジャスティンだが、生意気だと退出を命じられる(おそらく、そうやってジャスティンの負けん気を煽っているようだ)。ジャスティンは、割礼(女性器切除)について行動を起こしたい。だから、そのやり方を学ぶために今回の活動に同行することにする。カーラは相変わらず、ジャスティンに厳しい。

彼女がペルーに行くのを、父もルームメイト(親友)も止める。だが、彼女は行ってしまう。母の形見のネックレス(小さい笛)を下げて。

飛行機に乗り込む面々。仲介人のカルロス(これ、イーライ・ロスに見えるけど違う人??)は、アレハンドロとごそごそ話している。ラースはチャラチャラしていて、カーラはジャスティンに冷たい。ジョナはジャスティンを好きなようだが、ラースに「叶わぬ恋」とからかわれる。
サマンサはレズビアンぶりをひけらかし、エイミーは虫よけスプレーを体に噴射しまくっている。アレハンドロの右腕のような存在のダニエルは、てきぱきと皆を仕切る。

彼らは工事現場に侵入して、鎖を使ってショベルカーや木と自分たちをつないで抗議する。その模様を中継して、世界に配信するのだ。もしかしたら殺されるかもしれないと脅され、青ざめるラーズやジャスティン、エイミー。

森のなかの川を移動中に、ラーズとジャスティンはトイレに行きたくなる。ジャスティンには鉈、ラーズには銃が渡される。ヘビ対策だ。ラースは用を足している最中(ちなみに、そこそこ彼の股間が映ってます。大画面でコレ見た人はどんな気持ちだったんだろう……)、タランチュラが彼の股間に近寄ってくる。大慌てして森から飛び出すラーズに、大笑いする面々。
(※この映画唯一の微笑まシーン)

工事現場で鎖と南京錠を受け取り、侵入する面々。自分たちを重機にくくりつけるが、ジャスティンの南京錠だけハマらない。カーラが彼女を騙したのだ。このままでは、ジャスティンだけ殺されてしまうだろう(固定されていたら撃たれないという謎論理。まあ、撮影できない場所に連れていかれて殺されたら誰もフォローできないということか)。
だが、ジャスティンは彼女にカメラを向け、「彼女の父は国連の職員だぞ!」と脅す。「彼女が殺されるところを撮影しろ!」と仲間を煽るアレハンドロに、ジャスティンは怒りを隠せない。彼女は利用されたのだ。

彼らは拘束されるが、カルロスが彼らを引き取る。
帰りの飛行機では(なお、小型ジェット機で森の上を移動している)、学生たちが大騒ぎしている。だがジェスティンだけは怒っている。
その瞬間、飛行機が火を噴く!そして、墜落する。ジェナはゲロを吐き、飛行機の後ろが欠けてシートが次々外に吸い出される。墜落した瞬間、運転手たちに木が刺さって死亡する。カルロスも死んでしまう。

這い出したジャスティンたち。ラースは混乱するが、そんな彼の後ろで遅れて仲間のくっついた座席が墜落してくる。

現地の民族を見つけたカーラは、話しかけようと近くに寄る。だが、次の瞬間に彼女の首は矢で射抜かれてしまう!そして仲間も、次々と吹き矢に撃たれて倒れる。ダニエルはGPSを見つけるが、それを拾う前に倒れる。

greeninfe1

気が付いたら、彼女たちはボートに乗せられて運ばれている。肌を赤と黒に塗った民族が、村に彼らを運ぶ。だが、人の生首が飾られ、腐食した死体が飾られている村は異様な雰囲気だ。村人は彼らに寄ってきて、赤い何かをなすりつける。
エイミーは髪の毛をむしられる。携帯をとられて割られる者もいる。
そこに老婆が出てきて(なお、偉い人?は黒と黄色で体を塗っている)彼らをチェックする。
「神の贈り物だ!連れていけ!」という老婆。
彼らは豚小屋に入れられるが、ジョナだけが別に案内される。何かを伸ばされ、石の台の上に寝かされるジョナ。そして、そのまま目玉を抉られ、舌を切り取られる。それぞれを老婆がそのまま食べ、村人たちは喝采する。老婆の部下たちは手足を切り取り、首も落とす。老婆はジョナの血を飲み、何かを叫ぶ。

ジョナを料理する女たち。塩をふり、口にはリンゴを噛ませる(ジャングルでリンゴ、もしくは類似する果実はとれるのか?)。延々と料理をして、蒸して食べ始める村人たち。肉をそぎ、振る舞い続ける。と、エイミーが突然便意を訴え、そのまま檻の隅で腹を下す。ニオイや音に顔をしかめる仲間たち。部族の子どもたちもそれを見て笑い、「クサイクサイ」と手で臭いを追い払うようなしぐさをする。エイミーは泣き出す。

greeninfe3

夜。アレハンドロは、実は工事は延期されただけだから、助けはもうすぐ来るはずだと言い出す。彼はカルロスと組み、現在の工事を邪魔して別の建設会社が介入できるように仕向けたのだ。カルロスは金、アレハンドロは名声や知名度が手に入る。それを知って、仲間たちは憤慨する(もしかしたらカーラは知っていたかもしれないが、ダニエルすら知らなかったことらしい)。しかし、数日後には助けがくると希望を持つ面々。
だが、アレハンドロが「ありがたいことにジョナが犠牲になったから」と言い出し、ダニエルを怒らせる。サマンサは闇にまぎれて逃げようとするが、檻の見張りはかなり厳しい。

朝。目を覚ますと、ジャスティンの目の前に子どもがいる。その子どもに、ネックレスの笛で演奏するジャスティン。しかし、ここでジャスティン、エイミー、サマンサが老婆の前に連れ出される。
下着を下ろされ、股間を調べられる女たち。ジャスティンの股間からは血があふれ出し、老婆はその血を彼女の額に塗る(おそらく、ジャスティンが処女だという証?)。ジャスティンだけは別のところに連れ去られる。

サマンサはやはり逃げようとする。残っていた携帯を使い、着信音を出して森の茂みに投げ込み、部族の目を反らした瞬間、サマンサは逃げる!彼女は逃げる前に、エイミーにキスをして「必ず助けるから」と言う。檻から出て走り続けるサマンサ。目星をつけていたボートにすべりこむ!

ジャスティンは全身を白と赤にペイントされて戻ってくる。何をされたか覚えていないジャスティン。おそらく、彼女は割礼される。そうなったら失血死、もしくは感染で死ぬだろうというダニエル。アレハンドロに知恵を求めるダニエルだが、「時間稼ぎになるな」と返されて「クソだな!」と言い返す。

食事が差し入れられる。ガツガツ食べる彼ら。ベジタリアンのエイミーも、空腹には勝てないので食べ続ける。だが、彼女の皿の底には見慣れたアレがある。サマンサのタトゥー。皮膚だけが切り取られ、皿に貼り付いている。まわりを見渡せば、子どもたちが彼女のタトゥーを体に貼り付けて遊んでいるのが見える。サマンサも死んでいたのだ。
エイミーは衝動的に皿を割り、その破片で首を切る。

自殺したエイミーの死体に、ラースとダニエルはマリファナを詰める。彼らがエイミーを焼き、ハイになったところを逃げようというのだ。アレハンドロも手伝えとダニエルが振り返ると、彼はマスタベーションをしている。全員が顔を歪めるが、アレハンドロは「冷静になるためだ。お前らもやれ」と言い出す。ダニエルはアレハンドロに殴りかかるが、それを部族が止める。

エイミーの死体を焼き、食べる彼ら。薬が効いてきている。

ジャスティンとダニエルは檻から逃げるが、アレハンドロはラースを吹き矢で刺して失神させる。
「俺ひとりだと、俺が喰われちまうから」
ダニエルはまたアレハンドロに憤慨する!

greeninfe4

ラースは目を覚ますと、部族に囲まれている。ニヤニヤする男たち。と、彼に食らいつく!
マリファナの副作用で、空腹を感じた彼らはラースを“生”で食べようというのだ。村人たちに囲まれ、バラバラに食いちぎられるラース(ゾンビ映画風)。群衆の中から、子どもがラースの足だけを持って走り出してくる。

ジャスティンとダニエルは川を歩き続ける。だが、ジャスティンは途中でフツーに川に落ちて、ダニエルの体力を削っていく(歩いていてストン、と落ちちゃうところはリアルではある)。
飛行機の墜落現場に戻ったジャスティンたち。そこには、死んだ仲間たちが串刺しにされて土に突き立てられている。カーラの携帯が鳴っていることに気が付き、肩車でとるジャスティン。だが、カーラの死体が倒れてきて、ジャスティンは下敷きになる。
追っ手が来て、ジャスティンとダニエルは捕まってしまう。

村では、死体の骨や頭で作ったインテリアが飾られている。
ジャスティンは目を覚ますと、割礼の準備が始まっている。遠くではダニエルの叫び声がする。彼は磔にされ、体中の骨を砕かれている。そして、何かを全身に塗られている。
そこに蟻がたかり、彼の全身を噛む。絶叫するダニエル。

割礼が始まりそうになった瞬間、部族が生首を持って走ってくる。工事現場の男のものだ。大人たちは大声で怒鳴り合い、工事現場へと走っていく。だが、アレハンドロのいる檻は子どもに見張られているし、ジャスティンも逃げ出せない。

だが、彼女の拘束を解いてくれる人がいる。笛の音を聞かせた子どもだ。子どもの助けで、そばにいた女にキックして、鼻飾りを引きちぎってダメージを与えるジャスティン。
ダニエルは生きているがボロボロだ。「携帯を持っていけ」「ジャスティン、殺してくれ」と自分を見捨てて行けというダニエル。ジャスティンはダニエルを一緒に連れていこうとするが、子どもが彼の首を切る。
アレハンドロは彼女にすがろうとするが、ジャスティンは彼を置き去りにする。

わずかに残っている大人と子どもが、ジャスティンを追いかける。

子どもと別れ際に、母の形見のネックレス(笛)をあげるジャスティン。その後ろ姿を見ていた子どもは、追いついてきた追っ手に怒られている。

ジャスティンは追っ手に追いつかれるが、目の前にはヒョウも現れる。ヒョウを刺激したくないと、追っ手たちも動きを止める。ジャスティンは静かにヒョウの横を通りすぎ、追っ手は追いかけるのを諦める。

greeninfe2

と、工事現場に戻ってくるジャスティン。そこでは、部族は殺されまくっている。体を黒と黄色に塗っていた男が、彼女にすがりついて何かを囁く。
体を白と赤に塗ったままのジャスティンも間違われて撃たれそうになるが、「カメラ!インターネット!撮る!」と言い続け、「国際連合!私はアメリカ人!」と叫んで、助けることができる。

ヘリで運ばれる際「他にはいませんか?」と聞かれ、「ええ」というジャスティン。
そのままヘリで運ばれるが、眼下には倒れている部族の死体が見える。
アレハンドロはヘリに「助けて~!」と叫び続けている。

帰国して、聞き取り調査を受けているジャスティン。彼女は事実を隠蔽して、部族に助けられたとウソをつく。彼らが食人族ではないか?と聞かれ、否定するほどだ。

大学を歩いているジャスティンに、誰かが話しかける。アレハンドロだ。彼女は驚き、そのまま牙を剥き出して彼に噛みつく!

と、それは夢だった。窓の外を見ると「サマラに自由を!」と叫ぶ学生たちが見える。
彼らは全員、アレハンドロのTシャツを着ているのが見える。

(※ここからはエンドロールの途中に挿入されたシーン。電話の声と、衛星写真だけで展開)
アレハンドロの妹・ルシアから、ジャスティンに電話が入る。
「衛星写真を見ていたら、兄にそっくりな人が写っている。話したいの」
衛星写真には、空を見上げているアレハンドロがいる。

感想

・エンドロールにツイッターアカウントが掲載されていて、「モテキ」を思い出した。
(「モテキ」にも同じ演出があった)
・アレハンドロのクズっぷりが「アフターショック」で登場したクズたちを思わせて、いいですね。
・イーライ・ロスの映画を見て思うのは「悪役が徹底してクズ」「死に方がとにかくエグイ(ゴアといいうより、ひたすらこちらが追い詰められる感じ)」「暴力や恐怖描写以外にも、必ず不愉快なシーンをいくつか入れている(下痢シーン、股間にタランチュラシーンなど)」のが好き。
ちなみに嫁さんは「ノックノック」にも出演しているらしいので、楽しみである。