無差別テロ事件。
こんなに重い言葉はなかなかない。見ただけ、聞いただけで心がズーン… と重くなる。
アメリカでは、高校で起きた銃乱射事件をモチーフにした映画が何本も公開されていますね。学校が舞台になり、被害者は学生たち。それだけ教育や環境に対して不満を持つ子も多いのか…?
この映画もものすごく心を打たれたのでぜひ紹介したい。2011年に起きたノルウェー・ウトヤ島での無差別乱射事件を映画化した『ウトヤ島、7月22日』。ノルウェー映画です。
ホラー映画を紹介するブログでこの映画のことをお伝えするのもいささか俗悪な感じがするのですが、そういう意味ではない!!本当に素晴らしい映画です。自分の子供にも見せたいくらい。本当に泣いてしまった(私はよく泣くからあんまり説得力がないかもしれないが)。
この映画の犠牲者、なんと69人。1人の狂った男が青少年に銃を向け、ひたすら撃ちまくる。逃げる子供たちのなかには、湖の中に入る人も少なくなかったそう。しかし、寒い季節に泳ぎ続けられるわけもない。犠牲者の中には溺死した人の数も含まれているそうです(詳しく知りたい方はまずWikipediaをご覧になることをおすすめします)。
この映画がユニークなのは、
・カメラマンの視点が、主人公・カヤと同じく犯罪者から逃げる人物の目線のように揺れ動いている(地面に伏せたり隠れたり)しているため、臨場感がすごい
・大量のキャストが出演するなか、ワンカットで描かれている!
という点でしょうか。
ワンカットの映画の迫力ってものすごいものがありますよね、あれってなんでなんだろう…??戦争映画では聞いたことがある(あとはMVくらいしかないな)けど、こういう作品では初めて。
ストーリーについても触れておきたい。
主人公・カヤは妹ともにサマーキャンプに参加するも、反抗期真っ最中の妹と優等生タイプのカヤではまったく話も生活リズムも合わず、喧嘩が続いていた。
しかし、突然起きた銃乱射事件。カヤは仲間たちと森の中に隠れることに成功し、警察に通報するもらちが明かない。カヤは仲間と離れて妹を探し、彷徨い続ける。
カヤをスペースから追い出そうとする者、泣きじゃくる者、集団で逃げ続ける者。カヤが助けようとしてもいうことを聞かずに殺される少年、カヤの腕の中で息を引き取った少女もいた。
カヤは妹を探し続けるなかで再会した男友達に政治家になりたいと夢を語るが、その直後に狙撃されてしまう。
カヤの男友達は助けに来た女性(一般人?)の船に乗って脱出するが、そこには致命傷を負った人を助けようと奮闘するカヤの妹の姿があった(だが、会話などでは一切触れられず、淡々と映し出されるだけ)。
彼らは焦燥したまま、船で運ばれていく。誰もがうつむいたまま、打ちのめされた顔で…
主人公が途中で退場してしまうという斬新な設定、どうすれば生き残れるのかを模索しながらも次々犠牲になる若者たち… こういう時に、妹を守るために動き回れるカヤは本当にたくましいし、妹も思春期なだけで決して悪い女の子ではなかったことが伝わってきます。
ああ、こんな陳腐な言葉たちじゃあ表しきれないくらいこの映画はよかったんですよォーーー!
ものすごくエモーショナルな作品。機会があればまた見たいと思います。