これはゾンビドラマなのだろうか?よくわからない。
ネットフリックスで配信された『ゾンビバース』を見ました。
ものっすごく楽しみにしていたけれど、肩透かしだった。でも見続けるとグイグイ引き込まれる魅力がある。めちゃくちゃ笑ったシーンもある。
ただ、全体的にフジテレビで放送されている『逃走中』のテイストに似ている(そういやこれもネトフリ配信されてましたね)。※パクリという意味ではなく、ああいう空気感。あれもよく考えりゃリアリティショーなんだよな。
特徴
「ゾンビリアリティショー」と銘打ち、リアリティショーのような編集がいろんなところに施されているのがポイント。
モキュメンタリーのようでもあるのだが、編集がドがつくほどのバラエティ。テロップやナレーションも挿入されるし、リアリティショーならではの「ミッション」も演出として登場する。
出演者は時折、素の笑いを浮かべながら会話をしているので、もしかしたらある程度の台本しかないのかもしれない。アドリブの空気感を大事にしているところも多く感じた。本当に、どこまでがリアルで、どこまでが作りものなのかわからなくなる。出演者はどこまで内容を知ってチャレンジしているのだろうか?
ざっくりわけるとガソリンスタンド編、スーパーマーケット編、異常な村編、秘密基地編、遊園地編という感じの構成で、旅をしながらゾンビドラマ・映画の王道のポイントを巡る。ただ、異常にテンポが悪いところも多い。グダグダシーンも楽しむような感じではあるのだが。
登場人物
おそらく役柄を演じているキャストと、本人役で出演しているキャストがいるのかな?(私は知らない方ばかりでしたが)。
シヨン:本作における主人公的な立ち位置。正義漢で体力がある元ボクサーの女優。
ホンチョル:逃げ足が速く、お調子者で憎めない性格。本職はタレント。
ナレ:騒がしく元気な性格。骨折しており、ほぼ歩けないというハンデを持つ。本職は女性芸人。
Dindin:ホンチョルの陰に隠れているが、同じく臆病でズルイところがある。童顔が売りのタレント。
つき:日本人KPOPアイドル。リアクション担当。かわいい。
後から合流した登場人物
デックス:元UDT隊員。リーダーとなりみんなを引っ張る。非常に生存能力が高い。運動神経抜群で仲間思い。イケメン。
パトリシア:兄妹の妹のほう。わりとちゃっかりしている。運動神経が異常にない。
ジョナダン:兄妹の兄のほう。怪力だがあまり役に立たないところが愛されるキャラ。顔芸がすごい。
クワチョヒョン:泌尿器科医。医師としての能力をいかんなく発揮する。わりといい人だが、ツッコミ能力がけっこう高い。
ヒグァン:元野球選手。恵まれた肉体を持つ。スペシャルゲスト的な扱いなのかな?
この10人が主要キャラです。個人的には、この10人の生存状況を確認する時に出てくる画面がゲーム『SIREN』のキャラ紹介画面と似ていてちょっと高まりました。
ストーリーの振り返り。
第1話
恋愛リアリティショー(これまたしょうもない内容なんだ)の途中で、一般参加者がゾンビ感染し、さらに感染が拡大。出演者たちは大量のゾンビのなかを抜け出し、車に乗って脱出。音響監督、運転手、出演者5人で脱出するも、ガソリンスタンドで給油をしなければならない・死んだ運転手から鍵を取り戻さなくてはいけないというミッションを負う。
全員生存するも、ナレはゾンビに足を掴まれてかすり傷を負い、Dindinは目に血液が入ってしまう。
ここでこの世界のゾンビについても解説。
- 足がそんなに速くないが、なかには足の速い個体、攻撃力の高い個体、バランス感覚に優れた個体もいる(人間の時の体力や運動能力も関係している?)
- 目が見えにくい反面、音には敏感。視野が狭いようで、素早く静かに行動すれば気付かれないこともある。
- 感染したら48時間で死亡し、ゾンビとなる
- 感染したらゾンビに襲われなくなるため、自由に動くことは可能。ある程度の会話などもできるが、徐々に動けなくなり、目が見えなくなり、眠りとともにゾンビとなる。
- わりとご都合主義なので、どう考えても入れるだろうってところにも主要キャラたちがいたら入ってきません。目も見えたり見えなかったりする。
第2話
スーパーへ入り、生存者と合流。交通事故で音響監督は亡くなり、新キャラたちが追加される。デックス、ジョナダンとパトリシア、ヒグァン、クワチョヒョンにプラスして、店のパートの女性たち、店員の男性、ポン菓子を売るおじさん、客の体育大学生など。
ナレとDindinは感染していなかった。
店内に行き、ゾンビを交わしながら食料などを入手するミッション発生。舐めプをした体育大生やパニックを起こしたパートの女性たちはすぐ脱落し、5人がゾンビ堕ちする。
生存者は2人1組になって店内に行くことにするが、このコンビ決めでミニコント(みんな強いデックスと組みたいし、お荷物のナレを押し付け合う)。そして店内でのミニコント(ジョナダンがナレを見捨てて逃走する)。
このエピソードでヒグァンが襲われて退場。早。
第3話
スーパーを脱出。ちなみに、この時点で生存していたはずのパートの女性1名と男性店員1名は脱出時にはいません。スーパーに残るのかな?この後めちゃくちゃにされちゃうけど…
ナレを守るために&食料を持ち出すためにカートで防御して逃げようとしたグループ(ナレ、デックス、兄妹、クワチョヒョン)は、自動ドアが開かずに計画失敗。脱出のみ成功します。
バックヤードを抜けるグループ(ナレ以外の芸能人たち4人)は、ゾンビの群れのなかを潜り抜け脱出。そもそも、なんで人手を分けたのかはよくわからない。
ちなみに、足の長いピエロのゾンビがいるのがちょっと面白い。なんにも役に立ってなかった。
ここからは駐車場で脱出に使える車を探すターンです。突然車が燃え、ゾンビ役のスタントマンも燃えていたのでまた笑ってしまった。意味のない見せ場で意味なく焼かれる人よ…
車を探し回るも、ゾンビが邪魔してうまくいかず。しかし、生存していたポン菓子おじさんが音を出して助けてくれることに(既に感染はしている)。邪魔な車をフォークリフトで動かそうとするナレとホンチョル。しかし、ゾンビに襲われ、ホンチョルはナレを犠牲にして逃げる。それを助けたのがクワチョヒョン。2人はゾンビに噛まれてしまう。
なお、Dindinが運転がド下手だというミニコントもあります。
第4話
車で移動。とにかく喧々諤々としているメンバーですが、リーダーを決めることに(これもミニコントに近い)。誰がリーダーにふさわしいか、誰がリーダー向きではないか(という恨みつらみをぶつけるトーク)が続き、デックスがリーダーになる。
ある集落にたどりつき、食事をご馳走してもらう彼ら。葬式で飯をむさぼるというミニコントあり。しかし、彼らはゾンビと化した村長の母に生贄としてささげられることになってしまう。ホンチョルとパトリシアは母ゾンビのもとへ連れていかれ、他の人たちは監禁される。
しかし、半ゾンビのナレとクワチョヒョンは別室におり、目を覚ました生存者は彼らに助けを求める。しかし、半分ゾンビに対して差別的な態度をとった彼らに怒りを燃やすナレ。暗闇でなにも見えないなか足をつながれた5人に部屋のなかをひたすら探索させ、「おまるのなかに鍵があるかもしれないから探せ」と命じる。
イライラが頂点に達した生存者たちはドアを壊してあっさり外に出る。
一方、ホンチョルとパトリシアは母ゾンビのいる小屋からグダグダで脱出する。どっちが先に逃げるか、譲り合いつつ牽制し合うミニコントあり。ここでパトリシアがすごいダークホースだと気が付かされる。地味だけど押しが強くてちゃっかりしているのが面白い。
第5話
生存者が逃げ込んだ工場には、ゾンビ化した人間が閉じ込められていた。つきが捕まってしまい、檻に入れられてしまう。なぜか途中で帰る村長たち。つきを助けるためのミッション発動。
Dindinによるリモコン式ミニカーで鍵を彼女に渡すという計画は失敗、ゾンビの血を塗って助けに行くというジョナダンのチャレンジも失敗(すごいグダグダしてたら噛まれた)。しかし、鍵はなんとかつきに渡り、デックスが彼女を手助けして生存させる。
しかしそこに村長がまた戻ってきてピンチ!だが、壁を突き破って車が登場して事態は一変。村長はゾンビに襲われて脱落(そもそも母ゾンビによって感染していたはずでは…??)。
第6話
村を調査していた新聞記者に助けられ、彼の秘密基地に招かれる生存者たち。
感染したジョナダンは隔離されるが、ハーモニカ付き口輪をさせられ、音色で「プペープペー」と会話するというミニコントがある。こんなん笑うだろ。記者がゾンビを浴室で監禁していたり、戦闘訓練をさせられたりと正直どうでもいいシーンが続く。
夕食では、ラーメンをかさましするために大量の虫を投入。ミルワームやコオロギが入れられたラーメンを見て、つきが悶絶するというミニコントあり。
関係ないですが、ジョナダンの感染が進むなかで見た妄想として、霧の深い森の中でダンスしたりステップ踏んだりする謎シーンが挿入されていて、これがまたなぜかファンタジーテイスト。なんでや。
第7話
ジョナダンがゾンビとなり脱落。このまま連れていくのか、それともパトリシアが残って記者とともに彼の面倒を見るのか… という話し合いの最中、パトリシアはあっさりジョナダンを見捨てていく場面がとにかく面白い。周囲のツッコミが冴えてる。
そして生存者を助けてくれる船の存在を知り、港に向かう生存者たち。しかし、まだ時間がある。近くの遊園地に隠れるしかない!と潜入。
しかし、そこでそれぞれが生存者を救うミッションに参加するはめに。
車のアトラクション(パトリシアとホンチョル)→なんで車を運転して助けに行くのか?歩いて助けに行かないのが謎
メリーゴーランド(シヨンとデックス)→記者のところからもらってきた弾がジャガイモの銃を使ってゾンビを狙撃。横柄なカップルを助けさせられる
つきとDindinが参加したミッションの遊具の名前がわからんけど、たぶん「ローター」という遊具です。ゾンビが倒れているなか、落ちているぜんそくの吸引器を探して拾わなきゃいけないというミッション。クワチョヒョンも来てくれるけど役に立たないのが最高におかしい。なお、ゾンビと化したヒグァンも唐突にここにやってくるのですが、めちゃくちゃ転がりまくっていました。
その後はトランポリンにも乗ります。
感染が進むナレとクワチョヒョンは何も役目なし。暇なので、ゾンビをフライングパイレーツに案内して乗せちゃうことに。ここでまたヒグァンが乗せられ、すっごく気持ち悪そうにしてました。
しかし、そろそろハイライト!観覧車に乗り込み、時間まで隠れて待つことにします。
第8話(最終話)
観覧車のスタッフが死亡し(そもそもこいつらなんで生存できてるんだよってレベルの人たちがチラホラいるんだけど、感染が広まり始めたのに時間差があったのかもしれないとも思う)、観覧車の扉が開けられない生存者たち。
一方、死期が迫るナレは最後に誰かを道連れにしようと考え始めます。
Dindinがドアを開けることに成功し、全員が乗り込んだ観覧車の台をシャッフルすることに。ナレのミッションスタート。誰かが必ず道連れに選ばれる!
標的になりそうなDindinとホンチョルはナレにごまをすったり、隠れたり、こっそり画策したりと大忙しなのですが、ナレが選んだのは… 当然ホンチョル!
ここでナレ、ホンチョル、クワチョヒョンが脱落。
生存に成功した5人(シヨン、Dindin、つき、パトリシア、デックス)は船着き場に急ぎますが、最終ミッションとして船にこっそり乗り込むことに。これがまたひどいグダグダで、運動神経が悪すぎるパトリシアに巻き込まれ、シヨンとデックスも船に乗るのに失敗。この運動下手なシーンもマジですごい。この笑いは計算できるレベルじゃない。
しかし、実はこの船はマグロ漁に出ていて難を逃れただけのおっさんのもので、本当に生存したのかは謎… という状態ではありますが、つきとDindinは一応生存状態。
本当の船(水陸両用バス)に乗り込んだシヨン、デックス、パトリシアは生存確定。喜びます。
1年後。ゾンビとなったホンチョルはノリノリで、ゾンビライフを満喫していた… という謎エンド。
いや、これはどういうオチなのマジで…??
オチが気になったので最後まで見てしまいましたが、これはやっぱりゾンビドラマじゃないぞ!ゾン100でも埋められない、ぽっかりと胸に穴があいたようなゾンビドラマへの焦がれるような感情。う~ん、『今、私たちの学校は…』と『キングダム』でも見返すか…??
ただ、ものすごい意欲作だし、やりたいことは伝わったし、キャストのみなさんのキャラクターの魅力も凄く響いた。作業しながらでも見られる(ただし吹替なし!)のもいいと思います。
とりあえずパトリシアがめちゃ気になるわ。でもあえて調べないわ。