逃げ道のない地下墓地、追いかけてくるのはまさかのジジイ『カタコンブ~地下墓地の秘密~』

カタコンブ

日本の樹海がホラーの聖地として扱われているように、フランスの地下墓地もホラーにたびたび登場していますね。私はカタコンベが登場する映画がわりと好きなので、つい見てしまいます。

最初から脱線しますが、そういや今時は樹海=ホラースポットとして見られているのだろうか?『樹海村』ではフューチャーされていましたが…(樹海のシーンはわりと怖い、ラストまではほんと怖い。ラストはちょっと笑っちゃった)

海外の映画で樹海をモデルに撮影されたホラーがあるのもなかなか興味深い。日本好きの監督のなにかを刺激するものがあるんでしょうかね。雰囲気は『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』に近いものを感じますが。

 

話を戻して。フランス/ベルギー製作のホラー『カタコンブ~地下墓地の秘密~』。原題は「DEEP FEAR」。カタコンベなのか、カタコンブなのか。カタコンブだと堅昆布と脳内変換されて、なんとなく恐怖が薄らぐ。空しい変換ではあるが。

ただ、この映画はいろんな意味で面白い。

ちょっと昔のフランスを舞台にしているので、古臭いのも味がある。スマホがないので、連絡手段がないのもいい。

また、地下の閉塞感は正直物足らないものの、それを補って余りあるパワー!ムチャクチャ感!後半、恐怖が加速していく感じはたまらない。救いがないのだ。

「地下に潜り、そこから出てこられなくなる」映画だと、どうしても洞窟探検モノになりがちです。出口がない、酸素がなくなるという極限ホラーから、「穴の中に何か生きているものがいるわ!」的なモンスターホラー展開も期待できる。いやいや墓地だもの、オカルト系映画もいい。

だがこの映画が描く恐怖は一味違う。

そう、パワー系ジジイがひたすらおっかけてくるのだ。

 

ストーリーはこんな感じ。仲良しトリオのうちの1人(男男女という恋愛で揉めそうな布陣)が軍隊に入るので、そのはなむけに地下墓地ツアーをプレゼントした主人公。しかし、地下にある「空白の土地」に足を踏み入れた瞬間、彼らはターゲットとなってしまう… というストーリーです。

この空白の土地が実はドイツの軍用施設であり、取り残された男が終戦を知らないまま地下に迷い込んできた若者たちを襲いまくっているという衝撃展開。思いっきりナ○スドイツの軍服に身を包み、醜く獰猛なドーベルマン(暗くてよくわからないが、たぶん犬だろう)を飼いならし、とにかく強い。青年を片腕で持ち上げ、ひねりつぶせるほどに。

もう、衝撃の連続ですよ。ずっと地下にいてなんでこんなに骨が強いんだよとか、犬どっから来たのよ(もしかして繁殖させてたのか?ブリーダーじじいなのか?)とか、そもそもなんで人を襲いまくっているのかとか… そもそも、そんなにほっておかれながらも自分の政府を妄信できるものなのだろうか?とか… あと、いくらナ○スが悪いとはいえ、ありとあらゆる作品で黒幕として描かれすぎてしまっていて、作品としてこういう形で扱うのはややイージーではないかなとは思いました。

ご本人も、戦時中に使用された薬物も残されている描写から、薬物中毒と孤独で狂ってしまったのか?もともとはっちゃけてておかしいのか?は不明なんですけども。とにかく、めちゃくちゃ恵体。背がデカイし力も強いし。ただ、顔色は異常に白いし、浮いている血管はめちゃくちゃ黒いのがまた怖い。改造人間?とりあえずバイオハザードの世界観でグイグイ迫ってきます。

 

前半はちょっとラブコメ感があるのでまったく集中できなかったのですが、もちろん、後半からどんどん襲われます。

友達1→犬に片足をぱっくんされて置き去りにされてそのままボコられ生死不明

友達2→ドイツ人のおじいに刺されてひねりつぶされる

ガイド→不注意で罠にひっかかり爆発

弟が行方不明で探している女子→体の片側を犬にぱっくんされた模様(チェーンソーの音もしていたから物理攻撃されたのかもしれん)

地下墓地に詳しい老紳士と地下墓地で遊んでいた男→なんだかよくわからないうちに爆発に巻き込まれてる

地下墓地にいる若者狩りをしている差別主義者たち→切り刻まれる

みたいに、半分くらい生存者側の不注意も混ざっているのがまたつっこみどころ満載。地下墓地に詳しい老紳士はかっこよかった。いいキャラだわ。名前がダンテなのもいいよね。

 

当然、ヒロインだけが最後まで生き残るのですが、ドイツの軍用施設から脱出できても、地下墓地から出る方法はわからない。追いかけてきたドイツ人おじい(しつこい)に襲われるも、殴り返してめちゃくちゃに顔を蹴ってリアル顔面喪失状態にする主人公。今までの男性陣がなんだったんだと思わせるほどの強さ。

梯子を使い、公園とつながる排水溝?の裏側までよじ登っていって助けを求めるも引きずり降ろされてエンド…(転落した可能性もあるが) という、全滅オチであります。

 

衝撃はさることながら、いろんな伏線があったわりに回収されなかったのは惜しい。

友達の「軍隊に入る」伏線は、直接対決を期待するし、もしくは後継者として監禁される展開も考えた。でもあっさりやられた。

もうひとりの友達の「潔癖症で、さらにたくさんの○○恐怖症に悩む」という設定を聞いた時には、めちゃくちゃ汚らしくされて退場をするんだろうなと考えてしまった(ただ、怖がりの彼が主人公であるヒロインを守るために怪物じじいに立ちむかったのは偉い)。考えすぎだった。

あと、怖がりの友達が手持ちカメラ(時代を感じるデカさ)でなんでも撮影しちゃうという設定も活用されていなかった。途中からPOVになるかと思いきや、そんなことなく(POVあきあきしてるからいいんだけど)。暗視モードで怪物じじいから逃げようとする、という設定もまったくうまく使えていなかった。

主人公が差別される側(お母さんがフランス人じゃないから)で、そのことにいつも怯えているという設定もよくわからないまま終わる。ちなみに、被害者のなかにドイツ人がいたらどうなっていたのだろうか?歓迎されたのかな?嬉しくないだろうな。

地下墓地に集って落書きをしまくっている若者もテンプレという感じでした。

 

でも、元気な怪物じじいが見られたからまぁいっか!活きのいいじいさんでした。演じていた俳優さんが気になります。

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