「家族のなかから犠牲者をひとり選べ」と言われたら、私は誰を選ぼうか?『ノック 終末の訪問者』

2023年の映画『ノック 終末の訪問者』を見ました。

シャマラン監督はやっぱりすごいですね。圧倒。圧巻。おぞましすぎて吐きそう。

山小屋で休暇を楽しむカップル(ちなみに同性婚)と、その養子の娘。突然現れた謎の4人組に拘束され、「3人のうち、犠牲になる1人を決めてくれ」と言われる… というストーリー展開。

もともとベストセラー小説を映画化したものなのですが、こういうのたまらなく好き。大人計画の舞台『ヘブンズ・サイン』ってこういう展開(これからみんな絶滅しますけど、知り合い1人だけを生かすことができます、さあ選んでくださいという展開)があったように思う(タイトル間違っていたらすみません)。

白石晃士監督の『ある優しき殺人者の記録』でも、やや内容は異なりますが「世界を救うために命を捧げて欲しい」という展開があった。ただ、これは時間が巻き戻るので生き返ることができ、観ている側も罪悪感が少ないという救済措置があるのですが。最近視聴して、あまりにパンチ強すぎてDVD買うかを迷っている『オカルトの森へようこそ THE MOVIE』にも同様の展開があったので、「自分たちの意志で、死を選んだり選ばせたりする」という設定は、この世界の一部の誰かたちにものすごく刺さるものなんだと思う。

襲撃者4人組の組み合わせもなんともちぐはぐ。高校教師で善良なマッチョの男、看護師でこれまた善良な中年女性、コックをしているという子持ちの若い女性、怒りっぽい謎多き男。それぞれが謎のオリジナル武器(殺傷能力高め)を持参しているのも怖い。

当初、同性愛カップルへの弾圧か、カルト宗教への勧誘かと思い強く抵抗するカップルだったが、4人組が1人ずつ目の前で死ぬごとに、世界で災害が起こるさまを目の当たりにして驚愕していく。

家族の死を選ぶのか?それとも、世界の終わりを選ぶのか?

(なお、襲われた3人の家族は世界が終わっても生き残るのは確定。だが、他の人たちは消えうせ、3人で滅びた世界を延々と彷徨わなくてはならない)

でも、こんな話を信じてもいいのだろうか?

彼らの話を信じない主人公カップルの片割れ・エリックとは相反して、パートナーのアンドリューは彼らの話を信じ、自ら死を望むように…!?

そして4人組の最後のひとりが亡くなった時、世界が音を立てて崩れ始める…!

そして世界が終わる寸前、アンドリューが犠牲となり、世界は終焉を回避できたというラスト。生き残ったふたりは帰宅することに… えっ、そのまま帰るのか…!?という驚愕はおいといて(一応、休暇で借りていた家は大炎上してしまったので、そこに残っても何もすることがないっちゃあないのですが…)。

この映画は見ないとその衝撃が伝わらない気がする。ストーリーとして語られるものより、何倍も絵の力があるから。

災厄のシーンが迫力があるよね、ということではない。

突然家に押し入られ、知らない人たちに「犠牲になれ」と丁寧に喚かれる。その恐怖がまずあり、そこから彼らの話が真実へと変わっていく様を五感で味わう羽目になるという、次なる恐怖につながっていくんです。

すごくひとつひとつのシーン、キャラクターが丁寧に描かれているので、ストレス性の胃腸炎になりそうになります。

 

ただ、そもそも、この映画で目玉の情報として扱われたのは、やはりキャスティングなんだと思う。もちろんシャマラン監督の映画なら観に行くという固定ファンも多いでしょうが、襲撃者のひとりを演じているレナード役はデイヴ・バウティスタというまぎれもないハリウッドスターであるし、もうひとりの襲撃者の男性を演じているルパート・グリントはハリポタのロンだし。ということを、配給会社もめちゃくちゃキャストをプッシュしているフシがあります。

それにのっかると、ルパート・グリントの、怒りっぽくて常にイライラしていていかにも嫌な奴みたいな演技は新鮮でしたね。違和感がない。

しかしデイヴ・バウティスタみたいな恵まれすぎた肉体を持つ一般人ってアメリカにいるのかしら?もう、ガタイがデカすぎる。どう見ても素人じゃないんだけど。全盛期の清原を思い出す体の照りとふくれた筋肉。でも、当時の清原よりもでかいよな。しかし、なぜ私は清原とデイヴを比べているのか。

 

山小屋ホラーってやっぱりたまらない。死霊のはらわた、キャビン、キャビン・フィーバー… タイトルにキャビンついているからまぎらわしいんだけども(この映画も原題は『ノック・アット・ザ・キャビン』)。そういや、『リング』も原作小説のスタート地点は山小屋だった記憶がある。

いやあ、山小屋に行きたくなりますね!!!

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