「マザー!」

マザー!

「マザー!」は2017年の映画ですが、日本では未公開。アメリカではなかなかに評判が悪いらしく、残念であります。主演はジェニファー・ローレンス。どうやら監督とジェニファーが恋人同士になったりもしたそうですが、ジェニファーが「私が演じたのは地球よ」と言い出したり(コエ~)、半キリスト教映画のようだとか女性蔑視だとかいう意見も多いそうですね。
とにかく、めちゃくちゃ不愉快。「早く終われ」と念じたくなるような映画というのは同感であります。ただし、『不快』という感情になぜか惹かれてしまうという方には大変おすすめです。

ネタバレ

マザー!1

ある家に住んでいる夫婦。勝手に医師の男を家に泊めると言い出した夫にイライラする若い妻。彼女はひとりで家をリフォームしている。
そこに、男の妻もやってきた。失礼な態度をとる女に、イライラする嫁。

トイレが流れないことに気が付くが、そこには心臓のようなものが詰まっていた。

客人たちは夫の宝物をひねり回して割ってしまい、家の中でセックスをしたりする。さらに、出ていかない彼ら。回収していた家が腐っていくように感じられる妻だが、さらに客人の息子たちが襲来する。彼らは大喧嘩の末、1人が死んでしまう。せっかくの家が血で汚れてしまった。
殺人犯の長男は家に戻ってくるが、「わかっているな?」「頑張れ」とだけ言って去っていく。

夫は帰ってきたが、行く宛のない人たちをまた招待して、どんどん勝手に人が入ってくる。
勝手に寝室で寝ようとしているカップル、ペンキを適当に塗る人たち、ナンパしてくる男。作っている途中のシンクに座っているところを注意されたら、逆ギレしてその上で飛び跳ね、結局シンクを壊すカップル。皆を怒って帰らせる妻だが、作家の夫は今筆を折っており、セックスレスであることが明かされる。
しかし、関係を持ったその夜。妻は妊娠したと確信する。
夫も突然書けるようになった。

その後、妻は本当に妊娠している。夫は原稿を完成させ、2人は幸せの絶頂にあった。だが、妻には不安がある。
その夜、ドレスアップして夫とディナーをしようと思っていた妻だが、夫の出版された本が大評判になり、取材陣が押しかけてきた。昔男が死んだ痕からはなぜか血が滲んでくる。

トイレを貸してくれといい、そのまま息子を台所で漏らさせてしまう母
トイレに大行列
勝手に寝ちゃう人
などが出没するが、夫はさらに家を解放する。妻が用意したごちそうを皆に食べさせ、それはあっという間にガツガツ食い荒らされる。サイン会が始まるが、記念に泥棒をするものも出てくる。皆はどんどんものを運び出していく。壁に写真を貼り、喧嘩をして大騒ぎをする群衆。家を壊している者すらいる。
ベビーベッドも盗まれる。トイレも壊され、キッチンもめちゃくちゃになる。暴徒に掴まれて逃げるなと言われる妻。

だが、子供が生まれそうになる妻。ここでも妻はスプレーをかけられ、トイレの便器で顔を洗うハメになる。檻に入れられている女すらいる。
警察が来て小競り合いが起き、火事も起こる。捕まった人たちはなぜか殺され、夫の編集者の女性がその先陣を切る。SWATも来て、さらに爆撃も起き、目の前で兵士が妻を助けようとして殺されていく。夫と合流するも、ホームレスが群がってきた。

ようやく出産した妻だが、中に入ってこようとする人たちを追っ払う妻。男の子を出産した妻は、子供を愛しく思う。
しかし、うとうとしていた瞬間に夫は息子を群衆の前に連れ出していた。赤ちゃんはどんどん他の人の手に渡り、いつの間にか殺されてしまう。

ぐちゃぐちゃになった遺体を備えて亡く人たち。それを食べ始めた者も出て、妻はとうとうキレて皆を殺しまくる。反対に逆襲され、ボコボコにされる妻。乳も出るし、大出血する。夫は彼らの行いを勝手に許してしまう。

彼女が叫んだら、家が割れ始めた。
「あなたを愛する私が好きなだけ。捧げても人にあげるだけ」
妻は家に放火する。家も夫婦も何もかもが燃えて大爆発する。しかし、夫は燃えておらず、焼けた妻を抱いて戻っていく。
「私は私、君は家だ」
「どこに連れていくの?」
「始まりだ」
夫は妻から心臓を取り出すと、それは冒頭、夫が大切にしている宝物(客人に割られたもの)になる。大笑いする夫。家はみるみるうちに元に戻り、妻もそこに戻ってくる(別人のように見えるが…??)。

感想

裏読みをしたらムチャクチャ楽しい映画なんだろうなという感じ。ただ、裏読みしなくても「人が大事にしているものを捨てたり、人にあげたりするのが当たり前だと思っている人」「皆で分け合うのが当たり前だと思っている人」「テリトリー意識が薄い人」が苦手だと思っている人には、すごく共感できる部分もあるんじゃないでしょうか。
たしかに「私は地球」と言われても「アッ、ハイそうかもしれないですね」となる内容ではあるのですが、パワータイプの演劇で見たらおもしろそうな内容ではありますよね。どこまで表現できるかわからないけど。
私は完全にディスコミュニケーションが軸なのかと思っていたのですが、ラストが壮大すぎてニコラス・ケイジの『ノウイング』を思い出しました。