「ミラーズ 呪怨鏡」

ミラーズ 呪怨鏡

ロシア映画「ミラーズ 呪怨鏡」を見ました。「ミラーズ」という映画は既にありますが、それとは内容が似ているものの、いろいろと違う点はあります。
・主人公は悪魔に魅入られた少女とその父親
・鏡から悪魔を呼び出す儀式を行ったところ、本当に少年少女たちのもとに悪魔がやってくる
という、都市伝説をベースにした作品。少年少女たちがターゲットになっているものの、どちらかというと「父性」が強く描かれています。ホラー映画では母娘をテーマにしたものが多いですが、ここまで父娘の関係をはっきりくっきりと描いた作品としては珍しいかもしれない。

登場人物

アントン:自分の不倫のせいで離婚し、現在はひとりで暮らす。車の整備工をしている。
アーニャ:アントンの娘。不倫した父を許せていない。
カーチャ:アーニャの元ベビーシッター。すこし年上だがアーニャの友達で、同じ集合住宅に住む。
マトヴェイ:アーニャの友人。少し不良っぽい青年。
ヤリョージャ:アーニャの友人。メガネをかけている。SNSで鏡の呪いに詳しい人物にコンタクトをとる。

ネタバレ

女の幽霊を召喚するための儀式について試している4人の少年少女。その儀式をしたら鏡の中に黒いドレスの女が現れ、実行者の男は髪を切られた。彼は呪われ、心を病んで自殺したという。
儀式のやり方は簡単で、鏡に扉とそこに続く階段を描く。そしてろうそくを灯し、「スペードの女王いでよ」と3回唱えるだけ。彼らはそれを実行し、鏡が割れる。そして、ドアが閉まる音がする。

翌日、マトヴェイはアーニャのもとを訪れる。彼は女の姿を見かけ、髪も切られたという。怯えていた彼は突然倒れ、そのまま死んでしまう。

工場で働いているアントンは、元妻から助けを求める電話を受ける。だが、彼は娘の現状を信じようとしない。
ヤリョージャはSNSで知り合った誰かを頼っている。その男性はこの儀式について何かを知っているようだ。

アントンは元妻の住む家に行き、カーチャと会う。彼女は昔アーニャのベビーシッターだったため、アントンとも面識がある。ずけずけと「不倫したって本当?」と聞くカーチャ。

SNSの男は、「女が欲しがっているモノを聞くべきだ」と言う。

アントンは娘の部屋のベッドの下から、気味の悪い落書きがあるノートを見つける。また、おしゃべりしている何かの声も聞こえてくる。
「髪を切られたの……」
そこには、娘がいるように見える。
「ダメ、それは私じゃない!」
後ろから娘の声がし、タックルされたアントンははっと目を覚ます。夢だったのだ。
彼は黒いドレスの女を見かけるが、それは娘だった。これは彼の妄想なのか、それとも……?

マトヴェイの葬式。トイレに行ったアントンは物音に怯えるが、出てきたのは医師だった。彼は医師と会話をし、マトヴェイが心臓に先天性の異常を持っていたことを知る。だが、彼の遺体の写真の心臓部分には、何かの顔のようなものが映っている。

アントンはヤリョージャに儀式のときに撮影していたビデオを見せてもらうが、その場で起きたことはいたずらだったことを知る。

無線機を使い、「スペードの女王」と会話をするヤリョージャ。アーニャやカーチャ、アントンと元妻も同席する。彼女は誰かを呪っていることがわかるが、それはやはりアーニャだった。
「彼女を怒らせるな」というSNSの男からのメッセージをたまたま目撃するアントン。だが、彼は仕事に戻ることにする。

ヤリョージャは帰宅して風呂に入るが、ふと頭に手をやると髪が切られている。何かに捕まれ、浮き上がり、そのまま叩きつけられる彼。助けを呼ぼうとするが、ボキボキと骨が折れる音がする。

アントンはヤリョージャが死んだと知らせが入り、また戻ってくる。アントンの家に避難することにするアーニャとその妻だが、カーチャはついてこない。だが、停電してテレビの電気だけが光り、何かが闇で動く。それをライトで追うカーチャだが、鏡を覗き込む。そこには何もいないが、その鏡の後ろから、黒いドレスの女が顔を出す。

アントンの家でアルバムを見ているアーニャ。つい父に、なぜ不倫をしたのか聞く(不倫相手の写真もそこに挟まっていた)。

夜、布をかぶせた鏡が動いている。娘はヒステリーのような発作を起こし、叫ぶ。

SNSの男とビデオ通話したアントン。協力は断られるが、GPSをたどって彼の家に向かう。
家についたらブン殴られたアントンだが、手厚い看護を受ける。彼は医師だった。そして、スペードの女王の正体を聞く。彼女は貴族の娘で、金目当てで孤児院を経営し、次々と子供を引き取った。だが、金を受け取っては水槽に沈めて殺していた。しかも、歌いながら(たびたび歌が聞こえてきたのにはこういう理由があった)。19人もの子どもを殺した彼女。舌を切られ、髪を剃られ、埋められた。
そして、霊になった今でも子供たちを殺し続けている。SNSの男も、どうやら息子が犠牲になったようだ(写真が飾られているが、子供の姿は見えない)。

協力してくれることになった男。彼はアーニャが指にはめてとれなくなった指輪を切り捨てる。それはスペードの女王が“目印”にしていたものだった。

男は写真をとり、警告役として役立つカナリアを連れてくる。
アーニャは襲われるが、鏡を布で覆うと彼女は消える。そこにカーチャも合流する。
男はやはり息子を亡くしていた。息子は精神病になり、手遅れになったのだ。
彼が撮影した写真を見ると、そこにはやはり霊が映っている。

だが、彼女はまたやってくる。電気が消え、いつの間にかカナリアは死んでいる。アーニャは宙に浮かび上がりながら首を絞められている。切った指輪を外に投げ捨てたことで、アーニャは下に落ちる。

幽霊は消えてしまった。アントンは娘たちのために朝食を作り、元妻は復縁を匂わせる。
アーニャとカーチャはアントンの作ったご飯を食べるが(まずいらしい)、そのままアーニャは咳き込みだす。

男を家に送ろうとしていたアントンだが、車が止まり、道路に落ちた指輪を見つける。慌てて戻る2人。

アーニャはおかしくなる。カーチャをナイフで襲い、隙間から覗いて目を光らせる。
アーニャ母は家に戻るが、クローゼットに隠れているカーチャを見つけ、さらに娘に襲われる。だが、けいれんを起こしたまま倒れるアーニャに救急車を呼ぶ。

アントンと男はアーニャが運ばれた病院に向かう。男はアーニャを病院の地下室に運び、ある手術をするという。アーニャを仮死状態にしてスペードの女王をネズミに乗り移らせ、アーニャを蘇生させるのだ。だが、実行したらうまくいかない(女王が出てこない)。アントンは自分に乗り移れと命令する。
アントンに乗り移ったスペードの女王だが、今度はSNSの男が女王を自ら受け入れる。
娘は蘇生してもとに戻り、夫婦にアーニャを渡して地下室に閉じこもる男。そのまま彼は自殺する。

アーニャの誕生日。カーチャをはじめ、いろんな友達が彼女を祝う。復縁したらしいアントンと妻の姿も見える。だが、そこで誰かがやってくる。勧誘員の女性だが、彼女は指にスペードの女王の指輪をはめている。
「捨てなさい」と怒るアントンに戸惑う女性。
アントンは、何かの気配を感じている。ゆっくりと振り返るアントン。

感想

・女幽霊が「スペードの女王」と呼ばれている理由はよくわからない。スキンヘッドで黒ドレス、常にゆらめいていて顔がシワシワという彼女ですが、アーニャに執着する理由もさほどない模様。昔自分がした行動をなぞっているのか?
・にしても、のっとられたアーニャがしたことが食事のナイフで「シャイニング」のオマージュ行動とは思いませんでしたが(扉グサグサ&隙間から覗く。でも、ドアから顔をはみ出させてはいなかったですけど)。
・鏡があんまり関係ないホラーでした。でも団地が舞台でオカルト×鏡、しかもロシアホラーというのは新鮮だったかもしれません。