「JUKAI -樹海-」

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樹海をテーマに海外の監督がホラー映画を撮る。というのは、もはや定番なのでしょうか?その手のホラーのDVDレンタルが始まるたびに「これじゃねぇよ」とザワザワさせられたものですが、この映画はなかなかどうして、面白いのであります。2016年のアメリカ映画「JUKAI-樹海-」。
・樹海で行方不明になった双子の妹を捜す姉
・だが、幻覚が次々と彼女を襲い……
という、初めてやってきた海外でオカルトな出来事に巻き込まれるお話。小沢征悦さんが樹海(というか山岳)ガイドの役で出ていますが、いい味出してます。ただ、微妙に「コレジャナイ」のもたしか。

登場人物

サラ:主人公。真面目な姉。
ジェス:サラの双子の妹。問題児だが、それには理由があって……。
ミチ:樹海をガイドしてくれた日本人。自殺者の説得もしている。
ロブ:サラの旦那。

ネタバレ

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森を逃げている女性。助けを求めている。

と、それはサラの夢だった。彼女は双子の妹のジェスがいなくなったことを確信し、彼女がいる日本に向かう。

サラを乗せたタクシーは新宿を通る(なお、空港→新宿→東京タワーの近くのホテルという謎経路をたどるのはご愛敬か。ボラれてるわよ!)。ジェスは山梨で失踪したことがわかる。樹海でいなくなったのだ。
ロリータファッションの女性を見つめるサラだが、そのタクシーの窓を突然ホームレスが叩く。
寿司屋では、活き作りのエビの握りに困惑し、日本人女性に笑われるサラ。
(活き作りは残酷ってことなのでしょうが、日本人でもほとんど食べないということ、いつ海外に伝わるのだろうか?)
樹海について調べているうちに、死体写真にいきついてウンザリする。

夜。夢の中で、昔住んでいた家の中にいるサラだが、地下室に向かう。そこには双子の遊び用のテントがあり、開けたら二つ結びの少女がいる。だが、その少女の買いが禍々しく変形する!

ジェスが働いていた学校に行くサラ。女生徒たちはサラとジェスを勘違いして、パニックが起こる。ジェスは学校行事で樹海ハイキングに行き、行方不明になったらしい(こんな学校行事はありなのでしょうか)。
「霊は安らぎを求めて戻ってくる」と主張する日本人たち。

ジェスとサラは祖母に育てられた。問題児のジェスは行き場をなくし、日本に来たのだ。

サラは樹海のそばに移動する。すると、案内所にたどり着く。そこで話を聞こうとするジェスだが、突然地下の死体安置所に案内される(どんな案内所なんだ……)。常温で放置される死体。その中にジェスがいるというのだ。だが、サラは1人で死体を確認して、それがジェスでなかったと見抜く。
「悲しい気持ちでいると、幽霊につけこまれる」という安置所にいた若い女性。「幽霊とゴーストは違う」「奴らは幻覚を見せてきて、樹海の餌食にする」という。
サラはホテルへ向かうが、森からセーラー服の集団が出てくるところに遭遇する。

お酒を飲みに出かけるサラ。(この店、カウンターに大量の赤ちょうちんぶら下がってるんだが……しかも鉄板ないのに「お好み焼き」って書いてある)
ここで、サラは男にナンパされる。彼はエイデン。オーストラリアの旅行雑誌の記者だというのだ。彼に事情を話すサラ。妹はまだ生きていて、自分の中の悪魔と戦っているはずだという。
エイデンはガイドに紹介する代わり、彼女を取材させてほしいと頼む。

実は、ジェスは両親が死んだところを見ていた。サラはすんでのところで目を反らしたが、交通事故で死んだ両親をジェスは見てしまったのだ。それが双子の唯一の違いだという。

サラはホテルに戻るが、認知症のおばあさん(髪を振り乱した白い着物の老婆)につかみかかられる。

翌朝。紹介されたミチと共に樹海に入るサラとエイデン。コンパスは使えない。
ミチは樹海では幻覚を見ることがある、おかしなものを見ても信じるなという。

テントを発見して、その中にいる人と話をしに行くミチ。サラは、ジェスも自殺に憧れ、何度も睡眠薬を飲んだことがあるという。エイデンはジェスが好きな詩をそらんじて、サラは不思議に思う。と、自殺死体を発見してしまうサラ。パニックになる。

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妹のテントを発見するが、そこに彼女の姿はない。ミチは翌朝また来るべきだというが、サラは残るという。結果として、サラとエイデンはテントに残る。エイデンは自分の弟もいじめで耳が聴こえなくなったといい、サラも共感する。サラはジェスとの違いを語り、「自分は(いろんな不都合から)目をそらして生きてきた」と分析する。

深夜。テントの外に、白い着物の老婆がいる。だが、それは幻覚だった。と思ったら、セーラー服の女の子がいる。彼女はジェスの教え子のようだ。汚れたセーラー服の彼女は「彼を信じないで……」とだけ言い残して消えてしまう。

手をケガしたサラのために、下山することを提案するエイデン。サラは抵抗するが、それに従うしかない。
下山中、川を流れる死体を見つけるサラ。だが、その死体は下流から上流に流れていった。彼女は何を見ているのか?

だが、サラはエイデンの話が嘘だと見抜く。エイデンの弟の話は嘘だった。彼のスマートフォンを奪い、取材で録音した会話を消そうとするサラだが、ジェスの画像を見つけて愕然とする。エイデンは驚き、慌てる。
エイデンから逃げるサラ。

ミチは彼らを迎えに来たが、姿を消していることに驚く。

逃げるサラに「周りを見て、サラ」という声がする。「イヤ!」というサラ。と、後ろに死体が立っている!
サラはさらに逃げ、穴に落ちてしまう。

ミチは警察を呼んで捜索を始める。そこにサラを追いかけてきたロブもやってくる。

穴の中。そこはかなりスペースがあり、なぜかジェスの生徒(深夜に現れたセーラー服の女の子)・ホシコがいる。ジェスのところに連れて行くという彼女だが、突然彼女の顔がオニババのように変化する!
と、エイデンがやってきて彼女を助けようとする。

足元に落ちていたスライドが入っているおもちゃ(ある部分を覗いて、スイッチを押すとスライドがどんどん入れ替わる小さなおもちゃ?昔マクドナルドでも配ってたね)を拾うサラ。だが、そこに入っていたのは彼女の両親が死んだ時の家の写真だった。と、そこに幽霊が突然カットインしてくる!(場違い感がすごいけど)

結局、戻ってきたエイデンはサラを助けてくれ、山小屋に案内するという。だが、山小屋の存在を知っているエイデンをまた疑いだすサラ。エイデンは自分が危なくないということの証明に、唯一の武器であるナイフを渡す。
彼女は自分の手の傷や皮膚の下にウジ虫が湧いているのを見つける。ナイフで肌を裂こうとするが、それは幻覚だった。

山小屋で、地下室らしき扉を発見するサラ。彼女は閉じ込められているらしいジェスを見つけ、エイデンから武器を奪えとメモで支持される。エイデンを襲うサラ。彼はそれはジェスではないと主張するが、サラはそれでも彼を襲い、殺してしまう。

また幻覚の世界にいるサラ。彼女の両親は交通事故で死んだのではない。父が母を殺したのだと思い出す。と、自殺したはずの父親が目を覚まし、サラに迫る。叫ぶサラ!

走り続けるサラ。木の合間から、たくさんの死霊が彼女を見ている。ジェスを追いかけるサラだが、ホシコがその前に立ちふさがる。

ミチとロブの前に、姿を現したのは……ジェスだった!道に迷っていたという彼女。
森の中に立ち尽くすサラは、自分の手を見る。手首が切られている。幻覚の中で父の指を振りほどこうとして、彼女は自分で自分の手首を深く傷つけていたのだ。そして、そのまま死んだのだ。木の葉と土の中から出てきた幾本もの手につかまれ、引きずり込まれるサラ。

森の外にいるジェスはサラを捜そうとするが、ふと「静かになってしまった」とサラが死んだことを感じ、おとなしくなる。
ミチは森を振り返るが、そこにシワシワになった死霊のサラが立っているのを見つけ、震える。

EDは「とおりゃんせ」をラップ風?にアレンジした謎の曲です。

感想

・霊が怖いんですけど、微妙に今の時代じゃない幽霊っていう感じ。セーラー服も着物も、戦後の匂いがするデザインでした。最後のサラ、あたりめみたいになってるし。
・サラがエイデンに助けてもらっておいて「やっぱり怪しい……」はないだろう。ただし、エイデンがどうしてジェスの画像を持っていたのか?それも彼女の厳格だったのかは明らかではありません。でも、おそらくエイデンは悪くないです。
・ホシコちゃんはじめ、セーラー服の女の子がゾロゾロ森から出てきたり、暗闇に立っていたりするのは怖い。日本語が話せるキャストだったのもいいですね。
・間違い探しのようにちりばめられた「コレジャナイ」日本を探すのもいいですが、森の中にぼんやり幽霊が立っているシーンは本当に怖めです。ただ、ピントが合うと途端に怖くなくなるんですけど……カタツムリのアップとか、苔のアップとか、怖い構図チョイスは素晴らしいです。