「クランプス 魔物の儀式」

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2015年のアメリカ映画「クランプス 魔物の儀式」。サスペンスコメディかと思いきや、がっつりホラー。クリスマスを信じなかったらこうなるぞ!という、「グレムリン」と同じ系統のお話。
・サンタの代わりにやってきた妖精?があたり一帯大虐殺する
・突然現れたクリスマスモチーフの悪霊たちの造形のまがまがしさ
・とにかく後味が悪いお話
と、いろいろ揃ってます。主演のアダム・スコットは普段はコメディに出演することが多い印象だったのですが、「LIFE!」とか「ブラック・スキャンダル」とかにも出てます。イケメンなのにクソおバカ、という役だったり、イジワルな役が多いイメージ。今回は普通のお父さんです。

登場人物

マックス:主人公。おとなしい性格の少年。
ベス:年の離れたトーマスの姉。彼氏がいる。
トム:父。優しい性格で家族思い。妻とうまくいっていない。
サラ:母。几帳面な性格。妹のリンダと義弟を心の中ではよく思っていない。
オミおばあちゃん:トムの母。ドイツ人である。

ハワード:リンダの夫。脳筋である。
リンダ:サラの妹。若いうちにデキ婚したらしい。

スティービーとジョーダン:双子の姉妹。レスリングをやっており、力が強いうえに意地汚い。マックスにもイジワルに振る舞う。
ハーウィー:長男。無口のデブちん。
クリッシー:赤ちゃん。
ロージー:リンダの飼っているパグ。食いしん坊だが、意外と賢い。

ドロシーおばさん:サラとは犬猿の仲。酒好きで口が悪い。

ネタバレ

オープニング。クリスマスプレゼントを購入するために店に押しかけ、大喧嘩をする大人たち。

マックスはクリスマス劇の途中で級友と喧嘩をしてしまい、両親に叱られる。両親も喧嘩ばかりで、彼の味方はオミおばあちゃんだけ。クリスマスは聖なる日なのに、皆がそれを軽んじている。
ベスは彼氏のデレクのところに行きたくてたまらない。だが、いとこたち一家がやってくる予定がある。誰もそれを望んでいないが、外面がいい母のために、ウンザリしながら一家を迎えるしかない。しかも、招いていないドロシーおばさんまで来てしまう。

ぎくしゃくしながら夕食が始まる。雰囲気は最悪だ。双子の姉妹はマックスがサンタに書いた手紙を取り上げ、読み上げる。「姉さんとまた仲良くなりたい」「ママとパパがまた仲良くなりますように」「おじさんとおばさんの家が良くなりますように」。だが「おじさんとおばさんは(レスリングが強い)男の子が欲しかったみたい」という一文を読んだ双子は手紙を破いてしまう。マックスは双子と喧嘩をして、手紙を外に捨ててしまう。彼はクリスマスを信じることをやめたというのだ。手紙は、空へ舞い上がり、どこかに吸い込まれていく。

すると、嵐が広がり、あたりが停電になってしまう。

23日の朝。停電は続いているし、謎の雪だるまが突然、庭に出現する。電気も水もない。宅配便を受け取ったリンダは、家の前に置かれた謎のプレゼントを家に入れてしまう。何も作れないと嘆くサラだが、オミおばあちゃんは暖炉の火を絶やさずに水を溶かして、ココアを作る。

ベスは彼氏のことが心配で仕方がない。様子を見に行くという。周辺の家は、ほとんどがバカンスに出かけている。
なんとか家から脱出したベスだが、何かに気が付く。蹄のついた足を持つ、マントをまとった何かが、彼女を追いかける。助けを求めるベスだが、その人は凍死していた!車の下に隠れるベス。そこに、オルゴールが落ちてくる。それはパカッと開くと、ビックリ箱のように中から小さなピエロの顔が覗く!その顔はどう見ても禍々しい。叫ぶベス!

ベスが戻ってこないことを心配するトム。ハワードと車で偵察に行くことにする。オミはそれを止めるが、息子は聞かない。彼女は何を知っているようだ。
外に出た2人は、除雪車が道の途中で停車しており、その屋根の上に穴が空いているのを見る。近隣の家にも、押し入られた跡が見える。

家に残ったサラとリンダは、関係を修復している。だが、外?天井?屋根?に、何かがいる!「ドーン」という大きな音がする!

デレクの家に着いたトムたち。人形に、包丁が刺さっているのが見える。蹄の後もある。ヘラジカ?ヤギの足跡にも見える。だが、それは2本足で歩いているとトムは指摘する。ベスの声を追う2人。ハワードは何かに足を噛まれ、引っ張られる!トムはそれを止めようと頑張り、彼を助ける。ハワードは足をケガしてしまったうえ、自慢の車(頑丈で雪道も走れる)を何かにグチャグチャにされてしまう。

ベスを見つけられず、家に戻るトムたち。オミは「火を絶やすな」と言い続ける。
彼らは家に立てこもることにして、内側から封鎖する。オミは様子がおかしい。

深夜、見張りをしていて眠ってしまうハワード。全員が寝ていると、暖炉の上から火が消され、クリスマスソングも止まってしまう。暖炉から何かの気配を感じ、起きるハーウィ。クリスマスならではのクッキーボーイが暖炉から(ひもつきで)垂れさがってくる。かぶりつくデブだが、かじられたクッキーが突然怒りだし、ハーウィ本人をくさりでつないで連れ去ろうとする。まだ微妙に火がついている暖炉にかけよる、目を覚ました大人たち。サラはハーウィにつかまり、全員がそれを引っ張る。だが、蹴り出された薪がクリスマスツリーやプレゼントに引火して、火事になる!しかも、ハーウィは連れ去られてしまう。火事はマックスが冷静に沈火する。

オミは突然、英語を話し始め(それまでは英語)、皆に警告する。
それは吹雪と共にやってきた。そして、それは皆をさらう気だと。

オミの思い出。戦時中、人々は常に奪い合い、クリスマスの精神を失っていた。だから、邪悪な妖精・クランプスがやってきた。クリスマスを信じない人、忘れた人から奪いに来る。魔物を従えて。オミの村の人たちは、オミ以外連れていかれてしまった。だが、彼女だけは残された。見せしめのために。

ハワードは外に出て息子を探そうとするが、既にハーウィは雪だるまと化している!オミは火を絶やさなければ、クランプスは侵入してこないという。

だが、リンダが運び込んでしまったプレゼントの袋が、もぞもぞと動いているのが見える。

大人たちは、除雪車を動かして、その後を普通車で追いかけることで全員で脱出しようと考える。モールにはシェルターがあるし、警察にも行けるかもしれない。

その頃、スティーヴィーとジョーダンの双子はベスの声に呼ばれ、屋根裏部屋に向かう。そこには穴の空いたプレゼントの箱があり、ベスはいない。いたのは、化け物たちだった!
・巨大なピエロのびっくり箱(口がタテに裂け、人を飲み込む)
・ずる賢いクッキーボーイたち(道具を使って攻撃)
・口が裂けたテディベア(噛みつき)
・悪魔のような天使の人形(くるみ割り人形?)(首を吊り上げる)
・手が刃物になっているロボット人形(刃物攻撃)
などが、次々と家族を襲う。

ジョーダンはびっくり箱のピエロに飲み込まれるし、クッキーボーイたちはハワードを釘打ち機で襲う。サラとトム、リンダは天使の人形やテディベアに襲われ、クリスマスの飾りで首吊り状態にされながらも双子を取り戻そうとする。
ハワードはランプを撃ち、クッキーボーイたちに引火させる。バラバラになるクッキーたち。トムはロボットに背中を刺され、ビックリ箱ピエロは階下に降りて行ってしまう。まだ生きていたクッキーボーイは、犬のロージーにぱくりと食べられてしまう。
リンダはテディベアを殺し、まだ飲み込まれていなかったスティーヴィーを助けようとする。天使の人形、ロボットも撃退に成功する。

びっくり箱ピエロは、通気パイプの中を移動している。ロージーがその中に入り、ピエロを追いかける。ドロシーおばさんはまだ生きているモンスターたちをショットガンで撃つ!そこに、クランプスがが登場して、ドロシーおばさんにキックをする。
火が消えて、たくさんのモンスターが乱入してくる。ドロシーおばさんと赤ちゃんのクリッシーが捕まり、「地獄で会おう」という言葉を残したおばさんは引っ張られ、勢いよく外に飛び出していく。また、ハワードもピエロに捕まり、外に飛び出していく。ロージーも犠牲になってしまう。

残された者たちは脱出を決意するが、オミは家に残ると言う。家に残ったオミの前の暖炉が膨れてひび割れていく。クランプスはオミの間に現れる。異様に長い指が伸びる。震えるオミ。

脱出した生存者(マックス、トム、サラ、リンダ、スティーヴィー)だが、あっけなく父が犠牲になる。雪の中に引きずり込まれるトム。さらに、リンダもそれに続き、サラも消えてしまう。

子供たちは2人で逃げることにするが、除雪車のエンジンはかからない。そこにモンスターたちが現れ、スティーヴィーも死んでしまう。彼らが逃げた後を追うマックス。そこには、クランプスとそのしもべたちが勢ぞろいしている。
バラバラになったマックスの手紙と、クランプスがきた証拠である鈴(オミもこれを渡された)を雪の上に落とすクランプス。マックスだけが残される。見せしめのために。

だが、マックスは彼らを追い続ける。悪魔たちは祭りを開いており、そこにはスティーヴィーがいる。マックスは彼女を助けるためにクランプスからもらった鈴を投げつけるが、落ちた地面が割れていき、たぎっているマグマが見える。「僕を連れていけ」と言うマックスだが、スティーヴィーはマグマの中に突き落とされる。
マックスはクリスマスを信じなかったことを謝罪するが、彼も捕まり、マグマに落とされる。

と、マックスはベッドの中で目を覚ます!25日。クリスマスがやってきた!階下に降りると、全員が彼を迎える。ベスも無事だし、全員が穏やかにクリスマスを楽しんでいる。双子はメリケンサックのプレゼントに喜んでいるし、サラには妹一家から剥製が送られている(ここ、笑うとこ?)。

マックスもプレゼントを開けるが、そこにはクランプスの鈴が入っている。クランプスからの挨拶だ。ふと、皆は何かを思い出す。吹雪の音がどこからか聞こえてくる。
リビングを移していたカメラが引いていくと、クリスマス仕様の家が見える。さらにカメラが引くと、その家がスノードームに包まれているのが見える。大量のスノードームが、さびれた部屋の中に並べられている。
と、画面の四隅から、大量のモンスターたちが飛び込んでくる!

感想

・ゲゲゲの鬼太郎のEDでもあった、ラストは急にお化けが画面に飛び込んでくるスタイル。
・お化けの造形がとにかく気持ち悪いし、家族がようやく思い合うようになったのが死の前だった、というのも恐ろしい。次々と脱落していく人間たちが、決して救われないというエンディングもゾクゾクする。
・姉ちゃんのベスが重要なポジション化と思いきや、ほんの少ししか出てこないのも驚きです。
・この家だけでなく、近隣全体が全滅というのも後味悪い。