「ウェイワード・パインズ」シーズン2・第9話のネタバレ

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第9話 死の選別(Walcott Prep )

マーガレットが仲間の元へ戻り、アビーたちが街を襲うのは時間の問題と思われた。ジェイソンはすべての住民を機能停止装置に入れて眠りにつかせることにする。アビーの脅威が去った未来で、再び目覚める計画だった。しかし街の電力不足により、稼働できる装置は住民の半数ほどしかないことが判明する。そんな頃、ふとしたことから、ジェイソンはケリーに関するファイルを目にする。そこには、思いもしないことが記されていた。
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ネタバレ

♪なぜ太陽は まだ輝いているの
なぜ海の波は まだ打ち寄せるの
世界は終わってしまったのに
あなたがもう私を愛してないから

イリノイ州・シカゴにある高校。アビゲイルという生徒について、会話が進められている。父は上院議員、母は慈善団体の代表。彼女自身も才女だが、妊娠している。相手はラクロス代表でハーバード大学に進学予定だ。その学園の教師と話しているのは、ピルチャーだ。彼はその子供を引き取る予定らしい。「年末には長い旅に出るから、それまでに生まれないとな」と言い、彼は立ち去る。

ジェイソンとケリー。集まっているアビーについて話している。その目的は何なのか、ケリーはわからない。マーガレットは群れに戻っているが、死にそうだ。ジェイソンは彼女が死んだら、別のリーダーが現れるだけだという。でもそれが時間稼ぎになる、というケリー。ジェイソンは彼女の話にも耳を傾けず、ミッチャムとテオを呼び寄せることにする。

テオは銃を片手に、メインストリートを歩いている。「マコニグル」というアイスクリームショップには、閉店の看板が出ている。ザンダーの店だ。
「もうやめろ、彼女は決断したんだ」
「その件じゃない、過ぎたことだ」
テオは改めて2人を祝福する(レベッカはいないが)。
「おめでとう、パーティには呼んでくれ」
「妊娠祝いのな」
テオは少し言葉を止める。だが、すぐ話し出す。
「我々には時間がない。だからこれ以上、あの若造には任せておけなくてな。そこで、君の立ち位置は?」
「俺が重要?」
「重要じゃないさ。まったく。だが円滑に進めたいから協力は歓迎する。とはいえ、君なしでも俺はやる」
ザンダーは同意するように頭を振る。
「協力してもいいが、あんたの計画はどんなものだ?アビーのリーダーが群れに戻った。奴らが何らかの方法で、街に入りこむのは時間の問題だ。だからその対策になら喜んで協力するが、あんたの計画とは?秘密の作戦や問題を消し去る魔法の薬があるのか?それとも、人類最後のリーダーになるだけか」
「ドクター」
ミッチャムが現れ、会話に割りこむ。
「本部へ呼ばれた」
テオたちは出て行く。

食糧は残り1ヵ月。だが、医薬品はもうない。フェンスの外には、一触即発のアビー。未来を受け入れ、住民に伝えるべきか?皆で心の準備をして、最期を待つのか。それとも戦うのか?
最後の武器はピルチャーだとジェイソンは語る。
「彼の意志が我々をここまで連れてきた。時代を誤ったが、考え自体は正しい」
ジェイソンは全ての住人を本部に戻し、再び眠りにつくことを提案する。

ピルチャーは、アビゲイルの両親に、娘の子どもを養子にもらえないかと交渉している。彼は養子に遺産を渡すという。でも、お金や地位じゃない。指導力、使命、そして
「無条件の愛。人類への」
と伝える。

彼は、温室の中に入っていく。そこにいるのはアビゲイルだ。
「思っていたよりおじさんね」
彼は笑い、彼女の体調を気遣う。
アビゲイルの読んでいた本「動物農場」を取り上げ、朗読するピルチャー。
「“同志たちよ。あの黒い雲の反対側にあるのがシュガーキャンディー山だ。哀れな動物たちが、労働から解放される夢の国”」
「“その動物の外見は、ブタから人 人からブタへと変わり、ついには区別できなくなぅた”」
アビゲイルが暗唱する。
「たしかにそうだが、理想の新世界だ」
「始めはね、最後まで読んだ?」
「掟そのものは有効だし、不可欠とさえ言える。寓意的な物語だ」
「教訓なんかない。昔とか2000年後とかに読めば、訴えるものがあるかもね。でも現代では無意味」
「今はね」
ピルチャーは微笑み、そこから立ち去えろうとする。
「ジェイソン」
彼は振り返る。
「お腹の中の子の名前よ」
ピルチャーは温室を出て行く。

マーガレットを必死で看護しているアビーたち。

ウェイワード・パインズでは、電話が鳴り響く。

ジェイソンは住人たちを集めている。彼は住人たちに正直に現状を伝えるつもりなのだ。ジェイソンは自分の計画を発表するが、住人たちはざわつく。ミッチャムは横からマイクを奪い、住人たちに安全を強調する。「唯一の方法」だとも。
眠る期間やその後の計画について質問する住人たちだが、彼らは答えることができない。とりあえず、住人たちは自宅待機となる。

学校で生徒たちに機能停止装置について説明をするミッチャムと、彼の手伝いをするマリオ。ミッチャムは生徒たちの不安を和らげようとする。眠っている間、機械のメンテナンスをするのはミッチャムだ。彼は自分が何度も装置を使っているが、なんともないと言う。
「夢を見る?」
ルーシーの質問に、彼は微笑む。
「時々だ」

機械を調べているミッチャム。だが、機械はエラーを出し続ける。ミッチャムは電話をかける。
「問題が起きた」

ピルチャーとミッチャム。ミッチャムは機械に余裕があるので、まだ人員を増やせると報告する。ピルチャーは微笑み、指示を出そうとするが電話がかかってくる。
彼は驚いているが、アビゲイルを気遣って電話を切る。
ミッチャムは彼の様子をうかがう。どうやら、子どもが死産したようだ。
「後継者として完璧だったのに」
ミッチャムは血筋よりもどう教育するかが大事だと慰める。だが、新しい子どもを選別している時間はあまりない。

ジェイソンとミッチャム。フェンスに3倍の電力を注いでいるので、機能停止機械にまで電力をまわすことができないことを知り、焦るジェイソン。
使えない装置に入った住人は死ぬことになるだろう。
571人分しか、機械は正常に機能しない。住人は1000人以上いるのに。

マーガレットへの看護はまだ続いている。

準備を済ませて現れた家族は、研究所前(かつ、ここは本部前でもある)で警備をしている男に「眠る準備ができた」と話しかける。5人家族に、帰宅して待つように命令する兵士。だが、彼らは建物の横で待つという。他にも、家族が続々とやってくる。

テオは研究室で資料をひっかきまわしている。参考になるものがないか調べているのだ。
「そもそも何年間、住人を眠らせる気だ。適当に決めるのか」
「あなたにやってほしいことがある。住人たちの健康状態の査定だ」
「査定?」
「ファイルを調べてくれ」
「住人全部?」
「昔の世界の記録をもとに、そうだな……5段階で評価を」
「2~3時間で頼む。結果が出たら避難を始める」
テオは察する。
「全員は無理なのか」
ジェイソンは立ち止まる。
「健康状態を調べるのは、住民を選別するためだろ」
「稼働できる装置が限られていて、救える住人は半分強だ」
「他にはCJ(ミッチャム)しか、この状況を知らない」
「じゃあ、クジ引きで決めるのが平等だろう」
「君のような街に必要な医師が、クジ引きで漏れたら?」
「俺なら受け入れる」
「大勢のためにならない」
「第1世代と、有益な技能を持つ者を優先させる」
「役立たずは置き去りか」
「ああ」
「そう単純なら、俺の助けは不要だ」
「僕だってつらい」
「第1世代をそれほど評価するのは、彼らが若いからか?それとも、知能が高いのかな?身体能力が高いとか?誰かのいいなりだしな」
ジェイソンは怒りで震える。
「やる気がないようだが、このままでは人類は絶滅だ。僕が決める」
「街にとっての役立たずとは― 君の定義では、体や精神に問題を抱えた者だろう。選別も簡単なはずだ。それなら、こういうことだよな。子を産めない者は役立たずだ。考えるまでもない。では君はどうする。役立たずとされた者が、愛する者なら?ピルチャーなら、ケリーを連れて行かない。見捨てるだろう。彼女が死のうと、痛みは感じないはずだ
ジェイソンは強く、テオを睨みつける。

しばし睨みあう2人。だが、ケリーがやってくる。
レベッカがジェイソンを呼んでいると言うが、様子のおかしい彼に気が付くケリー。だが、ジェイソンは彼女の頬にキスをして去っていく。ケリーは立ち去ろうとするがテオが呼び止める。
そして、彼女に装置に異常が起きたことを告げる。だが、彼女はジェイソンとそれを話し合うとだけしか言わない。テオはまた苛立ち、住人に真実を告げるべきだと求める。ケリーはそれと避難は別問題だと主張する。
「役立たずは置いていく」
テオは呟く。ケリーは、それがジェイソンの言葉そのものだと勘違いする。テオはわざと彼女を惑わせる。ジェイソンがテオの助言に耳を受け入れず、役立たず(ケリー)を置いていこうとしていると発言を続ける。
「ジェイソンは君を見捨てる気だ」
「何とかする」
「彼を殺せ」
ケリーは驚く。
「できない。やるわけない」
「街に残れば、餓死するか食われるかだ」
「彼は私を愛してる」
テオは笑う。
「ピルチャーの次だ」

レベッカとジェイソンは、眠りから覚めた後の街作りについて話している。地盤の変化だけでなく、気候や生物の変化もあるかもしれない。だが、ジェイソンはうわの空だ。レベッカは彼を気遣うが、ジェイソンはレベッカの妊娠について触れる。レベッカの表情が曇るが、肯定する。彼女が街に重要な貢献をしたというジェイソン。
「重要ではあるけれど、別に“最も”ではないわ」
「掟では……」
「掟はもうたくさん。銃で脅されているわけじゃないし、時には心のままに行動して」
「そうだね。その通りだ」
レベッカは話を切り上げる。
ジェイソンは帰宅して、別れを告げるように言う。
「街にね」
ジェイソンはレベッカにお礼を言う。彼女が街に貢献してくれたことのお礼だ。
「君は街にとって有益な住人だ」

病院。泣いている赤ん坊。アイダホ州ボイシ。
廊下からそれを見ているのは、ピルチャーだ。彼は病院に多額の寄付をしたらしい。彼は急いで、養子を連れて帰ろうとしているようだ。病院の担当者は、赤ん坊の母親に会ってくれと頼む。
ピルチャーは病室に入るが、その少女は寝ているようだ。彼は病室を出ようとするが「起きてるわ」と彼女が振り向く。その少女は、ケリーだ!

ケリーとピルチャーは、病室で会話をする。ケリーはごく普通の少女に見える。彼女は小さな街の出身だ。彼女の相手、そして赤ん坊の父親は、ケリーが7歳の時からの知り合いだという。ピルチャーは「君を踏みにじった」と男を非難する。
「私なら大丈夫。継父も実父も最低なやつだったけど、私は大丈夫。心配しないで、実父とかの子じゃないわ」
「過去は忘れることだ、ケリー。話すのもよそう。重要なのは君が強くて賢いことだ」
「知恵ならあるの。力が強いかはわからないけれど、生き抜く力ならある。それが強いってこと?」
「強い者が生き残る」
「“柔和な者が地を受け継ぐ”よ」
「その聖書の一説は疑問だな。それでは、金の話を」
ケリーは辞退するが、ピルチャーは彼女に大金を払う予定のようだ。彼女はイスタンブールやウユニ湖、パリに行きたいと計画を語る。また、「プルースト」を読んでいるとも語り「マドレーヌを食べただけで人生が変わる、そう言う思い出が欲しい。今ある記憶の代わりに」と呟く。
「まずは人生が必要ね」
「手に入るさ。今までとは、違う人生が」
「私はアイダホを出られないかも。過去はその人についてまわる。何をしようと、逃れることや変えることはできない。私にしかなれないの。もう決まっている。それが私の人生
ピルチャーは彼女を見つめている。
「私を信じなさい。君は今と違う人間になり、違う人生を歩める」
「それはあり得ない」
ケリーは涙をこぼしている。

本部。ジェイソンは、ファイルを開く。そこにはケリーがいる。彼はケリーの書類を見て微笑む。箱の下に、ピルチャーだけが閲覧できるファイルがあることに気が付くジェイソン。ケリーの極秘ファイルをも見つける。それが、彼女の本当のファイルだ。
「最重要機密事項」
と書かれているファイルには、彼女が2013年にボイシで赤ん坊を出産したことや、男児を生んだこと。そしてその子供が、ジェイソンであることが記されている。ジェイソンは思わず、そのファイルを投げ捨てる。そして銃を抜き、安全装置を外す。
「ジェイソン」
ケリーが現れたのを見て、銃を隠す彼。
「大丈夫?」
「いや、大丈夫じゃない」
「状況は厳しいけど、必ず道はあるわ。アビーの大群が来ても私たちは眠りにつくし、安全よ」
ジェイソンは外を見ている。
「どうしたの?」
「装置に入れられる人間は半数だけだ。住人には知らせず、できるだけ早く眠りにつく者を選別する」
「それで?」
「君に言えてよかった。分かってほしい。街に残す者たちを決めるのは、つらい。彼らを待つ運命は―過酷だ」
ケリーの頬を撫でるジェイソン。
「愛してる」
「私もよ」
「君とはすべてを分かち合い、何の秘密もない」
「そうよ、いつだって」
「では、なぜ黙っていた」
「何を?」
「出産しただろ?」
「それが不妊の原因かは……」
「事実なんだな」
「子供はテキサスに行った。2000年も前のことよ」
ジェイソンはケリーの肩を強くつかむ。
「ピルチャーは私を選んだ。私に何かを見出したからよ」
「他には?」
「何も」
「嘘だ!」
「何も隠してない」
「テキサスとは?」
「何?」
「赤ん坊のことだよ」
「それが何なの」
「なぜだ?」
「ピルチャーが言った!」
ジェイソンは顔を歪める。
「私はあなたのパートナーよ、何があったの?話して!」
ケリーはしびれを切らし、ジェイソンを置物で殴りつける。もみあいになる2人。そして、2人の間で銃声が鳴り響く!

装置の横で作業をしているピルチャー。
「過去はその人についてまわる。何をしようと、逃れることや変えることはできない。私にしかなれないの。もう決まっている。それが私の人生」
ケリーの声を反芻している彼。
アビゲイルの写真とケリーの写真をすり替えている。

首吊り自殺をしている男(前シーズンで、見せしめの絞首刑にあっていた人間?)の横で回るメリーゴーラウンド。その横のベンチで、警備員のような恰好をしたジェイソンはアイスを食べながら住人の過去のファイルを見ている。その中から、ケリーのファイルを見つけて微笑む彼。
マリオにそのファイルを渡し、「この子がいい」と笑う。
「頼もしいパートナーになる」
彼はアイスを食べながらニコニコしている。

ソファの上に寝かされているケリー。ジェイソンは鏡を見ながらネクタイを締め、挨拶の練習をしている。ケリーはようやく目を覚ました。ジェイソンは練習通り挨拶をして、ニッコリ微笑む。混乱しているケリー。
「君はとてもキレイだ。目覚めるのを見守りたかった」
ジェイソンの言葉にまんざらでもないケリーだが、すべてを話すように彼に要求する。
彼も笑い、「すべてを話し、すべてを教える」ことを誓う。
そして2人は立ち上がり、歩き出す。
「君は安全だ。この先もずっと。僕を信じて」

だが、カメラが反転すると、そこには倒れているケリーとジェイソンが見える。血まみれの2人。だが、ジェイソンは腹を撃たれている。
「“ウォルコット学園”の、教育の成果か」(※本物のアビゲイルが通っていたお嬢様学校)
思わずジェイソンの手を握るケリー。

♪なぜ太陽は まだ輝いているの
なぜ海の波は まだ打ち寄せるの
世界は終わってしまったのに
あなたがもう私を愛してないから

ウェイワード・パインズの街の模型の上を、ジェイソンの血が侵食していく。

♪なぜ鳥たちは まださえずるの
なぜ夜空の星は まだまたたくの
世界は終わってしまったのよ
あなたの愛が消えた時に

沢山の人が、本部前に行列を作っている。

♪朝 目覚めて不思議に思う
何故何もかもいつもと同じなの
私には分からない
こんな風に人生が続くなんて

マーガレットが飛び起き、咆哮する。彼女は病気から蘇ったのだ。アビーたちが騒ぎ出し、立ち去る。マーガレットが寝ていた岩の下には、大量のアビーが待ち受けている。

世界は終わってしまったのよ
あなたから別れを告げられた時に

感想

・テオがケリーとジェイソンの仲に亀裂を入れたシーンではちょっとガッカリ。意外と粘着質なやり方しますね。
・まさかの近○相姦展開とは……そしてジェイソンが死亡。ケリーがテオに復讐しそうな気もします。
・ベンとテレサはやっぱり死亡確定なんだろうか。ベン、全然おいしくない役のままだったな……
・これからどうなるのか全然想像がつかないなあ。結局、ダメな人たちばっかりが生き残りそうだなあと思ったりもします。