「ヘルケバブ 悪魔の肉肉パーティ」

herugebabu

2015年のトルコ/アメリカ映画「ヘルケバブ 悪魔の肉肉パーティ」を見ました。邦題がヒドイし、パッケージの「野菜のつぎ、おまえ!」というフレーズも何なのだろう?
よくある不遜な若者たちが何かの逆鱗に触れてバクバク食べられる話?かと思いきや……全然違う!
・夢と幻と恐怖が混じりあっており、見る側を混乱させる
・いい感じのおっさんたちが、不思議なコミュニティに迷い込み、恐ろしい事態に巻き込まれる
・ビジュアルも夢に出そう!
個人的には大好き。見てよかったです。

登場人物

アルダ:新人警官
レムジ:アルダの後見人。ベテラン刑事であり、チームのボスである。
アポ:つるっぱげがキュートな刑事。
ヤヴズ:エロ話大好き、でもキレやすい刑事
セイフィ:車両の運転を担当している。

ネタバレ

子供が起きてくる。親の寝室からは何かの声が聞こえる(嬌声?)。だが、子供は突如現れた血まみれの手に怯えて、親の寝室のドアを叩き続ける。

時は流れ。警察の車の横を通りすぎる男。内臓が入ったように見えるバケツを下げ、建物の横を歩き続ける。そして、それをキッチンで店員に渡す。
店内では、男たちが卑猥な話で盛り上がっている。
「トルコ人男性の7割が動物で筆おろしする」という話題で大笑いし、ヤヴズは自分がニューハーフの男を抱いたという話を皆にする。だが、にやついた店員に絡むヤヴズ。
セイフィは気分が悪くなり、吐きにトイレにかけこむ。
店長とケンカを始めるヤヴズと、トイレで絶叫するセイフィ。
その声を聞いて、彼の様子を見に行く仲間たちだが、セイフィを発見して店を出る。

出発をし、テープをかけてノリノリで歌い出すアポ。それにつられ、皆も歌い出す。だが、その一方で道に迷い、無線も通じなくなってしまう。彼らは協力を要請された土地に向かい続けている。
とりあえず車は走り続けているが、丸裸の男が車の前を横切り、急停止する。停めた車は、何かが接触したように揺れる。おそるおそる外に出ると、車体には傷がついている。大量のカエルが蠢いているのが見え、慌てて車を出す彼ら。
だが、血まみれの別の男を轢いてしまう。

気が付いたら、アルダとレムジは先ほどまでいたレストランに戻っている。アルダはコスクンという友達の話をする。どちらかが先に死んだら、もう片方を連れに行くと約束した2人。ある夜、アルダの家を何かが訪れる(つまり、冒頭の夢はアルダのものだった)。その翌日、アルダはコスクンが死んだことを知る。

「お前はまだ目覚めていない。何が見える?」
「フードをかぶった男」
「俺以外で見えたのは、初めてだ」
突然アルダの手から大量の血があふれだし、彼は驚く。

目が覚めたら、そこは水の中だ。沈んでいくアルダだが、大きな手がアルダを掴もうと水中に入っていく。謎の男に助けられるアルダ。

彼らは助かったが、森の中の奇妙な人物たちに囲まれている。目的地まではもう少しだが、そのヒッピーのような人物たちは、彼らが目的地に行こうとするのを止める。だが、男たちはそのまま進み続け、廃墟に足を踏み入れてしまう。

血や肉片が落ちている廃墟の中を探検する彼ら。
そこには、壁に自らの額をゴンゴンと打ちつけている謎の男がいる。額にケガをして、おかしくなっている男。セイフィが彼を建物から連れ出し、他のものは中を調べる。ヤヴスは怖がり、自分だけ残ろうとするが、そうなったらなったで怯えてしまう。

建物内には、またカエルがいる。

セイフィは謎の男を連れているが、閉じ込められている狂人たちに遭遇する。まぐわっているようにも見える、裸の狂人たち。セイフィはそのまま彼らに押し倒され、食べられてしまう。謎の男は、ひとりだけその場で泣いている。

アルダたちは、儀式が行われているような部屋に迷い込む。血。カエルの絵。透明のテープでグルグルまきにされている人体。檻に入れられているような人も見える。
アルダは、そこで人が刃物でさばかれているのを目撃する。

彼らは襲われる。殴られる者、引きずり込まれる者、気が付けばそこにはアルダだけだ。だが、彼も襲われる。

目を覚ますと、アルダとレムジはまたレストランに戻っている。
レムジとアルダは会話を続ける。彼らには共通した何かの力があるのか。
「とにかく、俺達は今夜呼ばれたんだ」

再び目を覚ますと、アルダたちは縛られている。そこにはカエルみたいなポーズで飛び跳ねる男女が見える。彼らはアルダたちに手を伸ばす。それは冒頭の、血まみれの手が伸びてくる光景のと重なる。
そこに、彼らのボスが現れる。このボスは体も顔も奇妙な形をしている(とても小柄で、顔はひきつれているように見える)。

ボスは突然、彼らを殺し始める。
まず、アポだ。彼の腹を裂き、内臓をするすると抜き取る。アポは絶叫する。
ヤヴズは両目を潰され、彼らの仲間の女とセックスをさせられる。だが、ヤヴズは泣いて抵抗する。だが、彼は突然倒れて死んでしまう。その口からは、大きな蜘蛛が零れ落ちる。

次にアルダを見るボス。だが、ボスはアルダに何もしない。ナイフを舐め、額に血の印をつける。
「私の目に狂いはない、目覚めかけている」
ボスはレムジの前に進む。
「あの子を育てて、連れてきてくれてありがとう」
そのまま、レムジは首を切られる。

アルダが気付くと、レストランにいる。だが、その奥にはキッチンが見え、りんごにナイフが刺さっているのも見える。頭が痛い。レムジを探すと、テーブルの下で死にかけている彼が見つかる。レムジは彼に、鍵を託すという。レムジの切られた首の傷から、鍵が飛び出してくる。

「すべてには終わりがあるが、すべてよみがえる」
レムジの首から出た鍵が、いつの間にかアルダの前に顔を寄せていたボスの頭に刺さっている。アルダはボスを殺したのだ。血飛沫を浴びる彼。顔にその血を塗りすらする。カエル集団は、飛び跳ねてアルダに手を伸ばすが、彼は建物を出て行く。螺旋階段を上り続けるアルダは、大笑いをしながら脱出する。道路まで出て、走り続けるアルダ。だが、次の瞬間、車に轢かれてしまう。

彼が轢かれたのは、彼が乗っていたパトカーだ。
時間はループしている。
パトカーは、湖に沈んでいく。

感想

・意味がわからない!でもそれがいい!
・全体的にとても不安になる映画。
・カエルの姿で飛ぶ人たち、拷問、血、内臓。その一方で、レムジとの間の“夢”や、水中まで追ってくる大きな手など、不思議な要素も多いです。