「ミッドナイト・アフター」

midnightafter

2014年の香港映画「ミッドナイト・アフター」を見ました。監督がフルーツ・チャンっていう名前だそうです。カワイイっすね。
・あるバスに乗り合わせた人たち。彼らを残して、町からは人が消える
・謎のガスマスクの男とは……?
・彼らだけがなぜ、街の中に残されているのだろうか?
先に言っておきますと、かなりの雰囲気映画です。イケメンじゃなくて、雰囲気イケメンみたいな感じ。味わい深い。ただ、日本人としては「?」と言いたくなるような展開もありますが……。

登場人物

アチー:主人公。ラブラブな彼女がいる。
ユキ:ヒロイン枠。彼女にも彼氏がいる。ちょうど事件に巻き込まれた夜、クビになる。
シュン:メガネの青年。聡明だが、過激な一面もある。
パット:夫婦の妻のほう。熱狂的なサッカーファン。
ボビー:夫婦の夫のほう。妻同様、サッカーファン。
シューさん:バスの運転手。ギャンブル狂。
イン:おばさん占い師。電波系であり、皆の行動をかき乱すことも。
ファ:リーダーぶるおじさん。詐欺師のようなことをして生計を立てている。
フェイケイ:「飛行機」というあだ名を持つ不良。
パックウジョン:「接着剤」というあだ名を持つ不良。フェイケイの子分。
ラヴィーナ:出っ歯の女。スタイルはいい。ブランドバッグを持っている。
アウヨンハイ:オタクっぽいルックスの男。音楽に詳しい。実際にレコードショップを経営している。
マンファイ:ドラッグ中毒の男

ネタバレ

深夜。バスがさまざまな事情を持つ人を乗せ、出発する。出発直前に2人の男女が喧嘩を始め、バスを降りる。だが、出発直後に事故死した彼らの死体を見て、乗客は眉を顰める。
バスには上記のキャラ以外にも、4人組の大学生が乗っている。

トンネルを抜けると、街が静かだ。車も走っていない。
とりあえず、4人の大学生がバスを降りる。急に1人の具合が悪くなり、彼らは急いで寮に戻っていく。男の具合はどんどん悪くなる。だが、彼らは誰も見つけられない。

街にはやはり人はおらず、電話にも出ない。
ファは「自分たちが死んだんだ(ここは死後の世界だ)」と言い出し、インは「バスに乗ったのは選ばれた人間であり、自分たちが別の惑星に旅立つのだ」と言い出す。
とりあえず、彼らは自分たちの家に戻ることにする。ただし、電話番号は交換していくことにする。
「俺にも聞けよ……」とつぶやくバスの運転手。

大学には誰も人がいない。

皆はバスを降りる。アチー、ユキ、シュンは電話回線は生きていることを理解する。同じ方向なので一緒に帰宅するアチーとユキ。アチーはガスマスクをつけた男を目撃して驚くが、ユキの方向を向くと、彼女がニヤニヤと笑いながら立っている。だが、それは幻だ。ユキは、自分が仕事をクビになったばかりだと告白する。
アチーは帰宅するが、そこにも誰もいない。彼は自転車に乗り、走り出す。

具合を悪くした学生は、溶けてしまっている。他の3人も逃げ出し、助けを求めることにする。高速道路まで逃げるが、そこで自転車に乗ったアチーに遭遇する。だが、アチーは彼らと気付かず、逃げていく。学生の3人中2人が転んで土のように崩れ、もう1人は顔を大きく膨らませる。アチーの落としたヘッドフォンを握りしめながら、青年はアチーを「見捨てるのか、クソヤロー!」と罵った直後に死ぬ。

アチーは彼女の家にまで自転車を走らせるが、そこにも誰もいない。ただ、かなりのほこりが積もっているのがわかる。
そして、アチーに発信者不明の電話がかかってくる。アチーだけではない、バスの乗客全員にかかってきたのだ。そのまま、集まることにする彼ら。

ユキの家にも誰もいない。
アチーは、コンビニで適当に立ち食いしている。

朝。彼らはあるレストランに集合している。ユキに話しかけるアチーだが、昨日は一緒に帰っていないと明言されてしまう。だが、アチーはたしかにユキと一緒だった。あれは誰だったのか?それとも、ユキが嘘をついているのか。

録音した電話の通話音(キーンとした高音)を分析するシュンたち。モールスで「HELP」というメッセージを理解した彼らは、何かが起きていることを把握する。

アチーはユキの彼氏の話をするが、その情報は正しいことがわかる。あれは誰だったのだろう?だが、ユキはまたニヤニヤしているように見える。機能と同じように。

アウヨンハイは電話をかけてきた人間の謎のメッセージから、デヴィッドボウイの歌を引き合いに出し、「地球は青い、私たちにできることはなにもない」というメッセージを引き出す。

その頃、街を彷徨うマンファイはアチーが落としたヘッドフォンを拾っている。

突然、店の奥からアウヨンハイが火だるまになって飛び出てくる。そして、そのまま死んでしまう。外にはガスマスクの男がおり、アチーとボビー、ファがそれを追いかける。パックウジョンは、店先のあるビラ(女性の尋ね人。借金取りが彼女を探しているらしい)を慌てて剥がしている。

ガスマスク男を追いかけるアチーたちだが、途中でラヴィーナの死体を見つける。しかも、彼女は強姦されていたようだ。アチーとファはガスマスク男を捕まえるが、その男は日本人だった。「助けに来たんだ」と言いながら、男は逃げる。どうやら、彼はアチーの知り合いのようだが、アチーは彼のことを思い出せない。
だが、彼の顔にあるアザには、なんとなく見覚えがある。
「君たちを助ける!」男は叫びながら消える。

アチーは夢の中で思い出す。彼はかつての同級生だったはずだ。アチーは彼女とキスをするが、それが途中でユキに変わる。驚くアチー。

と、目を覚ましたアチーは、彼女からの着信に驚く。
(アチーは男が消えた後、1人で家に戻っていた模様)
電話先のアチーの彼女は、彼が6年間失踪していたと言い出す。とぎれとぎれの電話の先で、彼女は「爆発」と口にする。何が爆発したのだろうか?アチーはこのことを知らせるため、皆がいるレストランに戻る。

だが、皆の目の前でボビーが死んでしまう。具合が悪くなり、手から崩れて店先の水槽の中に突っ込んでしまったのだ。これはおそらく、ラヴィーナの死体に触ったことが原因だろう。

シュンは推察する。大帽山に「トム少佐」(デヴィッドボウイの歌にも出てきた人物。電話で助けを求めてきたキーパーソン)がいるのではないかと。そこに移動するため、バスをとってくるというシューさんに、ユキは武器となる包丁を持ってくる。だが、デカすぎる包丁しかない(ここ、ギャグです)。彼は出発する。

改めて自己紹介するキャラ達。ファは金の取り立てをしているが、詐欺師のようなものだ。結婚式に乗り込むも、「タダ飯喰らい」と式場スタッフたちに陰口を叩かれている。彼はオレンジを渡され、式場を叩き出された。
ユキはカラオケで上司にセクハラされ、それを拒否してクビになった話をする。

シューさんはバスまで辿り着くが、ラリっているマンファイに遭遇。喧嘩になり、シューさんもケガをする。だが、マンファイの肩に包丁を突き刺し、彼はバスの運転を始める。

ラヴィーナをレイプしたのは、フェイケイだったことがわかる。彼は金を盗んでいたラヴィーナに迫り、レイプしたのだ。パックウジョンは止めるが、フェイケイは無視する。
レストランで皆が見守る中、フェイケイがラヴィーナを強姦している光景が再現される(という演出)。
実はラヴィーナは入れ歯で顔を変えて、ウィッグをしていたのだ。実は物凄い美人だったラヴィーナだが、死んでしまう。だがそんな彼女の遺体をフェイケイは冒涜する。

そこに、血まみれのシューさんが戻ってくる。

彼らは、フェイケイを処刑すると決める。今度は小さいナイフを持ってくるユキ。彼らは変わりばんこにフェイケイを刺す。ファには子どもがいたことがここでわかる。

そして、恐ろしい感染の原因がわかる。日本人が伝えようとしていたのは福島原発事故のことだったのだ。そして、香港でも同様の原発事故が起こったのではないか、ということが推測される。

シュンとパックウジョンはフェイケイの死体を冷凍庫の中に入れようとするが、彼は生きていた。暴れる彼をなだめるシュンだが、油断した瞬間に、シュンは彼を撲殺する。

生き残った人間(アチー、ユキ、シュン、シューさん、ファ、イン、パックウジョン、パット)はバスに乗り、物品を調達。山にこもる準備をする(マスクと手袋なども購入する)。だが、彼らを待ち受けていたのは大量のマスクマンだった。彼らはバスを追いかけてくる!

横向きに転がって妨害してくる車をなんなく避けるバス(ドライビングテクニックを超越した何か、という感じ)。
突然パックウジョンはラヴィーナが借金があり、追われていた女だったこと(彼が必死にはがしていたビラの女はラヴィーナだった)を告白する。ファは激怒して、彼らはバスの外にパックウジョンを叩き出そうとする。(直接説明はないのですが、この事実を隠していたことに他の登場人物は激怒しています)

だが、そこに車が激突。もう片側にも車が激突し、バスはボコボコになる。ケガをしたシューさんの代わりに、運転していたアチー。だが、すんでのところで車を発進させ、バスを押しつぶそうと両側から走ってきていた車同士が激突する(コント?)。

雨が降ってきた。赤い雨だ。車から下ろしたパックウジョンを再度乗せてあげる彼ら。そこに、生きていたマンファイも乗ってくる。彼は肩に包丁が刺さったままだ。
「本当に、この街は汚染されたの?」
いつしか、バスの中はアンニュイな雰囲気に包まれている。
ユキは恋人のことを思い出し、占い師のインは同居していた母のことを思い出している。ファは娘たちのことを思い出す。
いつも一緒にいた家族。今さらながら、喪失感が彼らを支配していく。
彼らは町を脱出していく。

「夕闇の中、都市が眠るなか 輝かしい記憶までが薄れていないか
今宵はどんな夕べだろう」
バスは走り続ける。

感想

・で、何なんだよこの話は!というのは無粋でしょうか。
・彼らはタイムリープしたらしい?ということ、原発事故が原因らしい?ということは推測できるのですが、じゃあなんで日本人が「必ず助けるから!」と叫んでいるのか?もしかして、日本のせいで香港の原発も爆発したとでも……?
・ユキの亡霊みたいなのはなんだったんだ。
・アチーと同級生の日本人とはなんだったんだ。
・アチーの彼女は生きているのか?
・謎の電話のメッセージや、それを送ってきた人はなんだったんだ。
・結局「山に行く」っていう目的は果たされたんですかね。
・途中、なぜかマンファイを刺す流れになったのはなんだったんだ。「集団心理って恐ろしいね」ってことか?
・ルヴィーナのことを隠していたパックウジョンがどうしてあそこまで怒られたのか、イマイチよくわからない。ファが彼女に金を貸していて、彼女の正体を知りたかったはずなのに!ということなのか?
・オタメガネはどうして死んだんだ
・バスを追ってきたマスクマンたちは何がしたかったんだ。あと、運転が下手なのかウマイのかよくわからないことになってます。
・まあ、この映画はおそらく雰囲気を楽しむんじゃないかと思う……??