煽りの才能と暗殺者スキルが高すぎる!無差別に襲ってくるおもちゃたち『トイズ・オブ・ホラー』

おもちゃに襲われるホラーは多いようで、そうでもない。

「人形」に限定すれば、それはそれは数が多いでしょう。『パペットマスター』『チャイルド・プレイ』、近年では『アナベル』『ミーガン』などなど… 大抵がオカルト絡みで展開するのも特徴ではある。

だが、このホラーはおもちゃの種類がとにかく豊富です。『パペットマスター』並みにそれぞれのキャラクターが立っているともいえる…のか。

2020年のアメリカホラー『トイズ・オブ・テラー』。

 

廃屋と化した小児病棟を高級別荘に改築して、金持ちに転売しようと考える夫婦。彼らはステップファミリーで、長女は夫、次女と長男(双子?)は妻の連れ子。高校生の長女はクリスマスを母と過ごそうと考えていたが、彼女は恋人とともに南の島に行ってしまったため、少々機嫌が悪い。

5人の家族に加え、シッターのローズが旅行に加わる。彼女は子供を死産した過去を持ちつつも働いていた。

改築を担当する職人も現地におり、吹雪で閉ざされた廃墟で過ごす7人のクリスマス。

しかし、病院に残されていたおもちゃたちが妻の連れ子の2人を洗脳し始め、暴走を始める―

というストーリーです。

問題なのは!最初、主人公が誰なのかよくわからないこと。一家の妻が主人公なのか?それとも、長女?それとも、シッターのローズ?

見続けた結果、「誰でもない」という結論に至りました。まあ、ローズが主体で話は進むのですが、イマイチ誰のエピソードも深掘りされないので、表面的にしかストーリーが進まない。

 

クリスマスの日に嵐になり、足止めをくらって家に残っていた職人(彼は泊まり込みではなく通いで家を直している)がまず犠牲になり、彼を車で病院まで運ぼうとする夫も交通事故で脱落。

家に残された妻・シッター・子供たちですが、洗脳されたキッズはクリプレをボコボコに壊して燃やしたり、崩れ落ちそうで危険なフロアにフラフラ迷い込んだりと迷惑をかけまくります。

妻はこの廃病院の隠された過去を語り始めます。

  • かつて、闘病していた少年のひとりが亡くなった
  • それを逆恨みした母親が、ハマっていた宗教の力で病院の子供たちを全員あの世に送ってしまった(なぜ同じ立場の子供を…??)
  • そのせいで病院は閉鎖
  • 妻は過去を乗り越えようと病院を新しい建物にしようとした(ということは、彼女の息子もこの病院にいて亡くなったという過去があるのか?よくわからない)

ということだったらしいのですが、どう考えてもこんな過去がある建物に住みたくない… ひどい不動産屋だ…

 

おもちゃたちが暴走を始めますが、役にたたねぇ妻とは違い、ローズと長女でおもちゃたちをおもちゃ箱に閉じ込めて封印。しかし、子供たちを守りきったローズは窓から落ちて転落、頭を打っておそらくは…? という終わり方。かわいそう。

交通事故にあった夫はフラフラと戻ってきましたが、夫婦&長女でおもちゃを燃やしてその場を立ち去って終わり…

えっ、ローズの遺体はどうなったんだ?放置??

あと、車の中に残してきたエメットの遺体は…?

ラスト、残った廃屋に電気がつき、クリスマスを祝う子供たちのそばにはローズの姿があった…(※全員亡霊) え、エメットは…??

という、別の意味で後味が悪いお話であります。エメットにもそれなりのエピソードを追加して、亡霊の中に入れてあげればおさまりがよかった気がするけど…

 

おもちゃの顔ぶれですが

  • サルの人形(ボス的な存在。物理攻撃が達者で危険度が高い)
  • 車の人形(ローズが転落する伏線を作ったおもちゃ)
  • ハチ人形(交通事故を起こし、エメットを窒息させた物凄い暗殺者スキルの持ち主)
  • ドラゴン人形(動きがトリッキーだが、それだけ。あまり出番なし)
  • エルフ人形(サルがボスなら司会者的な役回り。めちゃしゃべる)
  • ゾウ人形(おそらく、同じ製作会社の『バナナスプリッツホラー』に出てきたゾウちゃんのぬいぐるみでコラボ出演? ほぼ出番なし)
  • マッチョ人形(よくしゃべるナルシスト人形。ほぼ出番なし)
  • クリスマスツリーのリース人形(クリスマスツリーの飾りを操り、妻を襲った人形。『グレムリン』でお母さんを襲ったグレムリンを思い出すようなシーンでした)

こうして振り返ると人形ばっかり!なんですが、スペルを勉強するためのアルファベットボード(ウィジャボードみたいな見た目)が、「K!KILL!」と指示してきたり、被害者を選ぶために機能したりしていたのは面白かったです。

あと、長男がずっとかぶっていた恐竜を模したヘルメット(口の部分に仕掛けがあり、声が変わる)も面白かったな。ドキッとするシーンに使われたりもしていた(ヘルメットを剥いだら幽霊の子供の顔が一瞬出てきてビックリ、とか)。

人形たちがぬるぬる動くシーンはCGもあるのかもしれないけど、コマ撮りっぽいシーンもあり、スタッフのこだわりが感じられました。ほんと、絶妙に気持ち悪い表情。瞳孔と口が開いてる。

ホラー映画では、いわゆる富裕層(パリピ、プライドが高くてマウントしたがる、難でも粗末に扱う)が犠牲となり、貧困層(恵まれない環境で育つ、自立している、お金はないが行動力や決断力は高い)が助かるイメージが強いですが、この映画ではまるきり逆。セレブファミリーはほろ苦い感情を抱えつつ元の生活に戻り、彼らに雇用されていた人間たちだけが犠牲になります。

もしかして現世でたらたら生きるほうが地獄というギャグだったのか?

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