2011年の韓国映画『The Cat ザ・キャット』を見ました。
猫がからんだオカルトホラーなのですが、真っ向から猫の殺処分問題を扱っているので、2023年現在の日本ではタイムリーな作品かも(問題となっている某ペットショップは犬が大変かわいそうな目にあっていますね…)。
ペットをおもちゃのように扱い、虐待に近いかわいがりかたをする。かわいがっていても、時が経てばポイ。動物を道具としか考えていない。そんな人たちが犠牲になるので、こちらの胸もほぼ痛まないぞ!!!
ペットショップでトリマーとして働くソヨンは、自身のトラウマから閉所恐怖症を患っていた。動物思いの彼女だが、ある猫を担当したその日から少女の幽霊を見るようになる。そして、猫を粗末に扱った顧客や友達が次々と変死してしまい…!?
というお話ですが、やはり殺処分を待つ犬猫たちを見せられるのが一番キツイ。粗悪なシェルターで病気で苦しんでいる猫の姿は本物なのだろうか?
話はそれますが、韓国ホラー映画では今まであまり見かけなかった(たまたまだけど)三角関係が描かれているのも興味深い。ソヨンとその友達のボヒ(この女は動物を虐待しているのでマジでダメな人だと思うんですが、なぜソヨンは友達なんだろう?)、ボヒの元カレで警察官のジョンソクの三角関係ですが、早々とボヒがいなくなるので、恋愛要素は一気に薄くなるから肩透かし…
猫が意味ありげに暗闇にいる→悪い人間がものすごい変顔した状態の遺体で発見される の繰り返しではあるのですが、主人公の死んだはずの父親が部屋にいてペットのエサ入れから水を飲んでいる幻覚?が登場したり、猫が手の傷の血を舐めていくシーンが挿入されていたり、ソヨンが猫のように毛玉を吐き出すシーンもあり、生理的に気持ち悪いなと思わせる場面がちょくちょくあるのが個性だなあと思いました。
こっちはマジで知らないおじさん(粗末な肌着みたいな恰好なのがまた怖い)が美女の部屋で水を啜っていたシーンを突きつけられて飛び上がりましたよ。
結局、ペットショップでトリミングを担当した猫・ビダンと少女の幽霊はソヨンに何を訴えたかったのか?
実はソヨンとちょくちょく接触していた認知症のおばあちゃんがいるのですが、彼女が住むマンションの一室(ボイラー室かと思ったら違った)が悲劇の舞台だったのです。そこには大量繁殖した猫を遊び相手にしていた孤独な少女が出入りしており、その猫たちを殺処分にするという話を聞いた少女が猫を隠そうとする→そのまま足をすべらせて高いところから転落して亡くなる という過去があったというわけです。
そしてその少女こそ認知症のおばあちゃんの孫だった!かつソヨンの前に現れる幽霊だった、ということらしい。
そして、猫の飼い方が非人道的な人を見つけては復讐していた模様。このあたりの関連性がよくわからないのですが、お話自体はバッドエンドではなくハッピー寄りで終わったのでほっとしました。とはいえ、たくさんの猫も少女も亡くなっているからハッピーじゃないんだけども。
ちなみに猫のビダンって美男=イケメンってことかな?と思ったのですが、調べるのが面倒なので放置することにしました。
ビダンくん、ほっぺたをピンクに染められてバカ殿みたいな顔にされていたのも映画といえど絶句。一時期海外セレブの間でもペットを染めるの流行っていましたが、アレまだやっている人いるのでしょうか?と思って調べたら、ピカチュウのカラーリングにされた犬の画像が出てきてまた絶句… Chim↑Pomじゃねぇんだからさ…
※私はネズミが苦手なので思い出すだけで気持ち悪くなるのですが、ネズミを標本にしてピカチュウカラーに塗ったアートがあるんだよ。
ちょっと昔の韓国ホラーなので、少し前のJホラー同様、暗闇をねっとり撮ってくれているのはたまらない。主人公の性格にイライラするシーンもありますが(戦う系ではなく怯える系なので)、ホラー映画ながらもしっかり問題提起してくれている良作だと思います。