「アウトレイジ」並みに全員悪人感がすごい!あなたは絶対裏切られる『エスター ファースト・キル』

エスターファーストキル

わたしはこの映画を好きだという人を信用したい。昼ごはんくらいならおごりたい。一緒に路上でダンスを踊ってもいい。それくらい、ものすごく裏切られたし、オリジナルリスペクトが過ぎる作品だった。

ちなみにこちら、2009年に公開されてから、今もなお愛され続けているカルト作『エスター』の続編です。主演はイザベル・ファーマンが続投。大人になった現在でも同役を見事に演じて話題となりました。そんな今作が2022年『エスター ファースト・キル』です。

イザベルさん、既に視聴していた『エスケープ・ルーム2』とか『ダーク・スクール』に出てたの気付いてなかったです… ってくらい、エスターの時の演技はすさまじすぎる。邪悪そのもの。

母親役のジュリア・スタイルズもめちゃくちゃ良かったですね。

『エスター』前日譚ということもあり、どうせエスターが暴れまくるんだろ?純粋な家族を食い物にする話だろ?オリジナル焼き直しなんだろ?と思っていたら、全然そんなことなかったです。

 

最初はロシアの精神病棟にいるエスターですが、いろんな人間を味方につけたり利用したりブッコロ…たりして、見事脱走。ファースト・キルと銘打たれているわりに、もうファーストどころじゃない、数十人は手をかけてそうな貫禄であります。

誘拐された少女のふりをしてアメリカに渡り、ある家庭のもとにたどりつきます。その家庭は、エスターという少女が4年前に失踪したという経緯を持つのですが… もちろん、別人。

エスターはこの女の子になりすまします。豪邸&名家、優しいパパとママ、トップクラスのアスリートである兄。しかし、エスターちゃんはわりと激情型で爪が甘いところがあるから、おばあちゃんが亡くなってるのに「会いたいな~」と言ったり、ペットの名前を間違えたりしちゃって速攻で怪しまれます。

さらに、失踪事件を担当していた刑事は偽物エスターのことを怪しみ… もちろんエスターちゃんは速攻家まで尾行して、ブッコロ… ちゃうのですが!

そこに現れたのはママ。でも、ママの様子がおかしいぞ… めちゃくちゃ悪い顔してるぞ…!?!?!

実は、ママはエスターが偽物だと知っていて引き取ったということが判明!

  • 兄のグンナーが妹に乱暴して死なす(どんな乱暴したら妹を…??)
  • 兄に前科をつけないために、娘の遺体を遺棄して失踪扱いにする(井戸に投げこんで終了の鬼畜母)
  • 何も知らない父は心を病む
  • だけどエスターが見つかって父も元気になり、夫婦仲も戻ったからエスターにはいてほしい

という経緯があったんですね。

まさかの悪女同盟が組まれる(夫婦仲は良くなるし、エスターはいい生活ができるしお互いにウィンウィン)わけですが、お互いに嫌がらせしまくり、命狙いまくりの関係になります。

でも、エスターはなぜ金目のものだけ持って逃げないのか?それは、父親であり、母・アリシアの夫でもあるアレンのことを好きになってしまったから…!

アレンってアーティストで、優しくて(それだけ繊細でもある)イケメンでスタイルも良いみたいな設定なんですが、エスターちゃんってこういう人がどタイプなんですね…!意外!!

でも、母には気付かれて「あれは私の男だから」と煽られた翌日には、ママにお手製のネズミの亡骸入りスムージーを飲ませて反撃。いやぁ、すごいもの作るわね。

 

で、いろいろと気になるシーンがありました。ので振り返り。

まず、エスターがオリジナルで絵を描いていましたが、その元ネタとなる「ブラックライトを当てると別の絵が浮き出る」アートをやっているのがアレン、という設定が追加されています。

また、エスターはロシアにいたので当然ロシア語が話せるのですが、兄の友人にロシア語で下品な悪態つくシーンは面白かったですね。

そういえば、エスターのファッションは現在も健在。おもたそ~な素材で、黒とか濃い緑みたいなカラーの重厚なゴシックロリータが好みらしいのですが、今作では兄の友人にめちゃくちゃからかわれています(リジー・ボーデンみたいと言われていた)。倍以上に言い返してたけど。エスターちゃんレスバも得意なのちょっと面白い。「ぐぬぬ」ってならないの。絶対に言い返すの。

ちなみに、エスターを演じている人はたぶん2人いると思う。身長がもろにわかるシーン(全身が映るシーン)は、たぶん子役が代わりに演じているのかしら?と思いました。

 

もちろんラストのあたりの話にも触れておきたい。

父が出かけている間、お互いに殺し合う機会を狙う(見送りにいったホームで殺っちゃおうとした気が早いエスターちゃんの計画性の無さ!当然失敗)わけですが、捕まったエスターは逃走。

なんと母の車を盗んで勝手に運転、口紅をひいてサングラスをかけ、タバコをふかしながら運転… か、かっこいい… この後逮捕されるシーンがめちゃくちゃシュールでしたが。

家に戻り、最終対決に挑む母・兄VSエスター。エスターよりも頭のキレる母、力は強い兄。しかし、エスターにはたくさんの経験があるんだ!

兄をさくっと退場させた後、家に放火して屋根の上で母と対決。そこにアレンが帰ってきます。

慌ててアレンが屋根まで登ると、エスターとトリシアがそれぞれぶら下がっています。

どちらを助けるの!?という、究極の選択。いやいや、どっちも助けないほうが世のため人のためではあるのだが…(娘の死を隠蔽した張本人の鬼畜ママと血縁関係のない連続殺人犯だし…)

しかし、あっけなくトリシアが落ち、助かったのはエスター。抱きしめられたエスターの口から零れ落ちたのは…入れ歯!!!ぎょっとするアレン。おそらく、子供の口元にするために入れ歯にしてたんでしょうね。もともとの過去や栄養状態もあるのかもしれませんが、歯がぐちゃぐちゃなのよ。これはかわいそうである。シチュエーションとしてはちょっと新喜劇っぽくもあるが。

それでもうっとり愛を語りだすエスターちゃんと、ドン引きアレン。取り乱した拍子に彼は落下してしまい、拒絶されたエスターは大ショック。

傷付きながらもピンクのワンピース(トリシアの趣味)を脱ぎ捨て、本来の自分のワンピースを身に着け、火事の中を堂々と歩いて避難(都合よく焼け残る階段)。ラスト、階段を降りるシーンで蒲田行進曲が聞こえた気がしましたよ。わたしは。(階段落ちもしてるし)

唯一助かったエスターは、養子に行くフラグを立てられて終わり… なのですが、ラストで「こんなかわいい子、養子に欲しくない人はいませんよ」とカウンセラーが言ってましたが… わ、わたしはいいかな… 

この流れで『エスター』オリジナルのほうを見るとやっぱり怖いです。ホラーとしての完成度はオリジナルのほうが上(子役がこんな演技できるんだというゾクゾクゾワゾワ感がすごい)ではあるのですが、「家族全員悪者(父以外)」という裏切りも度肝を抜くものがありました。

あと、ヒロインポジションが毎回父親なのはなんなんだろうか?オリジナルをちょっと見返したら、化粧してパパの股間をチーン!(島田珠代)としてたことをはっきり思い出す。ファザコンなんですかね。おじさまだけど正統派ハンサム、優しい、爽やか、妻を愛しているっていうタイプを好きになっちゃうのがまたねぇ… エスターちゃん、あなたを好きになるのはニコニコ爽やかメンではなく、たぶんもう少しねじくれて生きにくそうな人だと思うの…(彼女の見た目を好きになれる人、つまり小児性愛者ってことじゃなく、彼女の「成長できない」ルックスを受け止められる人はそれなりにつらい経験を積んできて、共感力が高い人なんじゃないかと思う)

ホラーというよりもサスペンス要素が強かった気もしますが、オリジナルに忠実であり、かつエスターの演技が堪能できたから大満足。

またこういう子役がダークサイドで頑張る映画、観たいですね。

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