美人美容師が「自分ではない誰か」になるまでの殺人悲話『殺人美容師 頭の皮剥ぎ取ります』

2020年のアメリカ映画『殺人美容師 頭の皮剥ぎ取ります』という、ムチャクチャなタイトルの映画を見ました。原題を直訳すると「スタイリスト」なんですが、これくらいシンプルなほうが… いや、わかりやすくはあるか…?

主演の女性が美人さんだなあと思っていたら、異色のゾンビ映画『スリーデイズ・ボディ』の主演だったナジャラ・タウンゼントさんでした。相変わらずめちゃくちゃ美人。あとクセある映画に主演しすぎ。

「スウィーニー・トッド」のように、男性の美容師が主演かとも思いきや… そう、女性美容師が同世代の女性を襲いまくるという壮絶な内容。

なぜ、襲うのか?なぜ、髪をはぎ取るのか?その理由は明確にはされないのですが、おそらく父親はおらず母親を酒で亡くし、仕事では認められていてもプライベートではひとりぼっちで、「違う自分になりたい」と願い続けていた結果がこういう形で噴出したと思われる。

「別人になりたい」と願うあまり、その髪を切り取って持ち帰り自分で着用することで他人の人生を乗っ取っている。ということなのだろうか。

男性だとあんまりこういう形で描かれないですよね。イケメンで恵まれててハッピーな同世代男性を襲いまくる男性犯罪者の映画って見たことない(男性犯罪者が襲って戦利品を持ち帰るなら、ターゲットは女性ですよね)。

また、結果的に彼女をさらに暴走させる学生時代の友達・オリビアやそのまわりのひとたちの性格の悪さもキツい。その説明はまた後で。

ストーリーに沿いながら、この映画について語っていきたいと思います。

物語は、まず来店客を手にかける主人公クレアの姿からスタート。皮をはぐところを存分に見せられます。皮をはぐっていうと、「メリメリ」とか「ヌルッ」という擬音がつきそうですが…

「パキパキ」という音がするのが、めまいがするほど気持ち悪かったです。

オリビアの結婚式のヘアを頼まれてしぶしぶ引き受けるも、一方で殺人を重ねるクレア。ただ、それをやめたいという葛藤もあり、顔見知りのカフェ店員を襲ってからははぎ取った髪の毛を収集している地下室を封印してしまいます。

バチェロレッテパーティに招かれるも、トイレでオリビアの友達が自分の悪口を言っていることに気付き、彼女を尾行して家に入るも襲えず帰ってきたり… ストレスで暴走してオリビアに付きまとったり、花婿に「嫁を大事にしろ」といきなり電話したり… 誰もいないオリビアと花婿の家に侵入してベッドでおひとりムニャムニャなさったり…

と、誰にも感情移入できずシーンが続くので、見ている側はもうつらすぎる~と白目になってきているところで、クレアはまた殺人を解禁。ストレス発散をしてからオリビアの結婚式に臨みます。

でも、本当に幸せそうなオリビアに嫉妬と執着が止まらず、結局彼女の髪の毛をベールごとはぎとって自分でかぶり、ドレスも着て結婚式場に登場するという暴挙に出て、ひとり式場に取り残される… というラスト。

オリビア、すごい美人で仕事もできて、でも自分のなかでは満たされていないんだなぁと思うと、もうそれだけで悲しい。他人を刺すことでしか生きられないというのがもう胸を打つ。許されないけれど、それだけに強く際立った孤独というものが理解できる。孤独は人を狂わせる。

あと、女性が犯行に走る映画って絶対トイレで悪口言われる設定があるのなんなんだ。悪口言う側のイケてる女子は女性誌の編集者かデザイナー率高いのなんでなんだ。わたしはトイレで悪口なんて言ったことないわよ。トイレでそんな話し込んだことがそもそもないな。そもそも、トイレが広くないとキツくない?あと、オフィスのトイレで歯磨きするの私耐えられない。芳香剤の匂いのなかで歯を磨くのって難易度高くないですか?

トイレの話になっちゃったよ!とりあえず、殺されないようにトイレで悪口は言わず、SNSの鍵垢でやりましょう。

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