アイルランド映画『ホール・イン・ザ・グラウンド』。2019年。
スタジオA24の製作です。主演はアイルランドのスカーレット・ヨハンソンことサーナ・カーズレイクさんだそうです。すごい肩書だなあ。
シングルマザーのサラは息子と二人暮らし。息子のクリスがある日をきっかけに変わってしまったように感じ、彼の一挙手一投足に怯えるようになる…
という、わりと聞いたことがあるような内容。
森の中(というよりも家の裏にある穴というほうが正しいのか?)にある穴がその異変に関係しているという展開はわりと好き。「穴」ってなんか好きなんですよね。ホラー映画において「穴から出られない」「穴の中にいる何かから逃げる」って鉄板ですけど。まさに“深淵”というビジュアルもたまらない。だから洞窟も大好き。
私が穴が好きなのは、『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』というアニメ映画の影響かもしれませんね。穴の中から化け物が出てきて過去を改変し、現代も化け物の寄りの世界に変わってしまうんです。この化け物が穴から出てくる時のビジュアル、異常性が本当に子供心に恐怖でねぇ… 穴から手がびとっと伸びてくるだけなんですけど、めちゃくちゃ怖いの。
話を戻します。映画、始末が悪いことに(言葉遣いが悪くて申し訳ないが)何も明らかにならないまま終わるんです。
おそらく最初から中盤の時点で、子供は入れ替わっているのかなと推測させるのですが。
- 入れかわった息子ではなく本当の息子を取り戻せたのかは不明
- 主人公の母親も穴の中に入り、異形の化け物に追いかけられ、最後は自分の姿をした化け物に追いつかれる(その後不明)
- 急に都会に引っ越し、外で遊ぶ息子の写真を隠し撮りして確認。家の中には大量の鏡がある
おそらく化け物は鏡に本当の姿が映るので置いてあると推測。
そもそも私はあれ?息子は元に戻り、母ちゃんのほうが入れ替わった(息子は人間、母親は化け物)?と思っていたんですけど、そうでもなさそう。
それともふたりとも人間だけど、母は息子を疑い続けている?
すべてを明らかにせず、どうともとれるモヤモヤさせる終わり方なのが粋だねぇ!ホラー映画らしいねぇ!という意見もあるのかもしれませんが、今回はスッキリしないのが気持ち悪いという感想のほうが先に出てくる。ただ、ヒドイ!はっきりしてちょうだい!と言いたくなるほど、この映画に情熱をもって接することもできない。
ちなみにこの主人公シングルマザーの家の近所に、同じような目に遭った老夫婦がいます。でも、その家はまあまあ不幸そうでした。が、真実を追い求める力にはなってくれませんでした。
しかし、この化け物は息子と入れ替わって何がしたかったんだ?とも思ったんですが、昔の童話だと、悪魔は人間の赤ん坊と悪魔の赤ん坊を入れ替えていたずらをしていたという話もありましたし、悪魔が善良な女性の人生を狂わせて嗤っているみたいなことなのかもしれませんね。