アルゼンチン/ウルグアイの映画『VIRUS/ウイルス:32』。
ウルグアイの映画って日本であまり見かけたことがないのですが、興味深く拝見しました。舞台はウルグアイの首都であるモンテビデオ。
主人公はやたらとチャラついた母親、イリス。夫と娘のタタとは別居し、友達と住んでいます。今日はタタと一緒に過ごす日だったのに、忘れてシフトを入れてしまったイリス。仕方なく、職場のスポーツジムに彼女を連れていくのですが、ゾンビが大量発生して…!?
もう、この時点でひっかかるのよ。スポーツジム!?うそでしょ??ボロボロやんけ!!!ってくらい、設備が古く見える(照明が暗いのもあるが)。地震が起きたら大丈夫なのかなと心配になります。
そもそも、イリスは酒浸りで鼻ピアスにピンクの髪で、およそ母親らしくないのですが… これには理由があり、第二子を自分が目を離したすきに亡くしているという設定なんですね。だから生活も荒れている。その自責の念があるからこそ、タタを守らなきゃ!という意気込みがある感じ。
ただ、この設定がそこまで物語に影響を及ぼしているのかなぁと考えると、そうでもない。未成熟な母親だなあとは思いましたが。
しかしイリスはタタとはぐれてしまい(どんだけでっかいスポーツジムなのか?)、さらに生存者夫婦であるルイスとミミと遭遇。しかし、ミミは既に感染しています。妊娠している彼女の出産を手伝えと脅すルイスに従うしかないイリス。
なんとか出産は成功するものの、ミミは生まれてきた子供(ゾンビではない)を食べようとしたためルイスが阻止。ミミは撃たれて動かなくなってしまいます。もうむちゃくちゃだよぉ!
タタを探すイリスですが、焼却炉の中で燃えている遺体を見つけて大号泣。でも勘違い(すぐに判明するので、いいことなんだが、なぜか私が少し恥ずかしくなる)で、タタと再会できます。
一方で、妻と娘を追ってきたタタの夫(ひたすらいい人)は脱落。
と、だらだらとストーリーを書き連ねてきましたが。
この映画の肝でもある「ゾンビが32秒停止する」という謎の設定。
このおかげで助かったりもするし、32秒過ぎてビクビク動き始めるゾンビの間をすり抜けるシーンは本当にスリリングではある。
ただ、なんで32秒なのかはわからない。34秒なんだか24秒なんだか42秒なんだか、だんだんわからなくなる。
そもそも一旦絶命して生き返っているわけでもなさそうので、ウイルス感染系の映画であり、ゾンビ映画としてカテゴライズするのは間違っている気もする。
あと「32秒停止する」という設定以外にも「水がダメ(溺死する?)」という設定があり、そちらのほうが注目されてしまう(エンディングと関連してくる)ので、結果としてあまり「32秒」が目立っていないのよ。船で逃げよう!というお決まりの展開なんだけど。
しかし、ラストでプールの中で動きが停止していたゾンビが急に起き上がるので、結局水がダメってわけでもないらしい。なんだろう。1時間くらい飲んでたのかな、水。
でも主人公たちはそれを知らない。ある意味絶望エンドですね。
ゾンビのクオリティはすごいし、バスケットコートになだれこんでくる大量のゾンビの中を走り抜けるシーンは迫力がある。狭い通路を追いまくられ、動きが止まったゾンビの中をすり抜け、なぎ倒し… それだけで応援したくなるような場面。
ただ、ルイスとミミのシーンは既視感がすごいし(『ドーン・オブ・ザ・デッド』…)(まぁ細かい展開は異なりますが)、ルイスが最後に改心してイリスたちを助けてくれるのも唐突だなあという感じ。
そもそも施設に現役感もないし(体育館とプールとロッカーぐらいしかジム要素がなかったのもある)、ゾンビがどこから入ってきているのか明確に説明がないし(玄関があきっぱなしというわけでもないような?)。
あと、最後に外に向かう扉を開けたら目の前が港だったのでちょっとビックリしました。すごい立地いいところじゃん。
展開もストーリーもベタだけど、身体能力が高いゾンビが多いのはよかったですね。