妊婦が亡くなった夫のために復讐したけど…ドンデン返しがエグい!『プリベンジ』

プリベンジ

2016年のイギリス映画『プリベンジ』を見ました。

監督・脚本・主演はアリス・ロウ。『サイトシアーズ』という映画でイギリス観光をしながら殺人を繰り返すカップルの片割れを演じていた方(そしてこの映画でも脚本も担当している)。顔に特徴があるので覚えてた。

こちらの映画はコメディのようでも笑えない。超絶ブラック。しかも、女性の視点から描かれた「アーッ!こういうのあるよなっ!もうやだ思い出しちゃった!(白目)」的な展開もしっかり登場します。セットを見ると低予算な感じがするけど(小汚いほうのイギリスの姿をあますところなく伝えているともいえる)、お話は面白かった。

妊娠中のルースは、夫を山岳事故で失ったばかり。見えない声(胎児)に導かれるまま、夫が死ぬきっかけとなった山岳ツアーに参加していた人たちを襲い続ける…!

この襲われている人たちが何とも言えないキャラクターばかり。

パブでDJしながら実家に寄生しているおっさんとか、ヨガ好きキラキラママとか、意識高い系キャリアウーマンとか。なかにはめちゃくちゃ優しい、裏表ない男性もいるのですが、その人もまんべんなく襲います。このキャラチョイスも、演じている方々も、なんとなくコメディアンっぽくて(みなさん熱演)、濃いけどなかなか面白いです。

そしてメインターゲットは山岳ツアーのインストラクターだ!

しかし彼を襲おうとしたら、この人が突然懺悔を始めます(こういうのズルイよな)。そのうえで、亡くなった夫はもうルースと別れようとしていたという話を聞かされ…(こういうの善意で言ってるとしたら相当なクソだと思うが)ルースは発狂。そして出産。

自分がしていたことはなんだったのか?自問する日々が続きます。

※よくわからないが逮捕はされていない。

彼が亡くなった崖を再度訪れるルース。そこには山岳ツアーのインストラクターが立っています。狂ったルースを見て、自分のしたことの重さを再確認したんだろうなあという表情。彼はルースに改めてお悔やみを言おうとすると… 狂気の表情に包まれながら、ルースは彼に襲いかかる!!

というエンド。彼のことはきっかけに過ぎず、彼女は本当に狂ってしまったのかなあという終わり方。

なお、ルースが影響を受けるホラー映画のキャラクターがいるのですが、このキャラクターが誰だかがわからない。吸血鬼カーミラ?彼女は映画で見たこのキャラクターの表情を真似て夜中の街を闊歩したり、ラストも影響を受けているような演出(何度もフラッシュバックする)があったのですが… モノクロホラーはあえてチェックしていない(きりがない)からわからなかったのですが、悔しいですね。

妊婦の復讐劇はさほど珍しいわけでもないですし(セクシー要素や派手なアクション要素が入れられるからか、若美女のリベンジ映画は定期的にリリースされている印象)、胎児や赤ちゃんが悪意を持って母を操ろうとするというエキセントリックな構図も目新しさはあまり感じない。

でも、亡くなった人はあなたのこと本当は嫌いだったんだよ、一緒にいるの限界だったんだよって聞かされるのは新しい。好きな人が理不尽な形でいなくなってやるせない、つらいという気持ちを上書きするに十分な絶望であります。じゃあなんのために私は復讐したんだろう?手を汚したんだろう?と、ポカーンとしちゃうと思う。

また、生活苦のシングルマザーが出産することに対してイギリスの制度やら医師やらが不親切じゃない?みたいなアピールも微妙に感じました。

なんとなくいとうあさこさん主演の『鈴木さん』に通じるものを感じたのも事実。ものすごい生きづらいタイプの人を描いている映画です。

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