「脱出ゲーム」映画のなかでも最高に面白い!ゲームマスターへの憧れが募る『エスケープ・ルーム』

似たようなタイトルの映画がたくさんあるのですが、アメリカ映画『エスケープ・ルーム』。2019年。

同タイトルの別映画も見たのですが、ひっくり返るくらいつまらなかった。低予算でちょっとエッチで人間関係がこじれてて、ラストが何言ってんだコイツ?となって終わり。レビューする気持ちにもならなかった。

でもこっちは面白かったです。

完全なる「脱出ゲーム」映画なのですが、こんなに出来がいい映画は初めてかも。『CUBE』ほどひねりはなく、その代わりに誰でもほどよく楽しめる仕掛けや謎解き、スリリングでスパイシーな展開、大掛かりな仕掛けが散りばめられています。全然安っぽくないの!

キャラクターも立っているし、お金もかかっていて見ごたえもある。子供でも見られるくらいかな。ちょっとスリル過剰かもしれませんけど。

黒幕が生存者ギャンブルを運営している組織っていうところは、既視感がありますけどね。

キャラクターはこんな感じ。

ゾーイ:成績優秀な女子大生(おそらく数学を専攻)。飛行機事故の生き残り。母をその事故で亡くしており、飛行機恐怖症である。おとなしく内向的で、ひとりでいるのが好き。

ベン:スーパーのアルバイト。かつて自身の不注意で起こした交通事故で仲間4人を失い、自分だけ生き残った。苦労してきたため他の人間よりシニカル。

アマンダ:元軍人で戦場の生き残り。そのせいで首から背中にかけてやけどがある。面倒見がいい女性。

ジェイソン:優秀なトレーダー。友人とヨット事故に巻き込まれ、生き残った。本人は認めていないが、海上でコートを奪い合い、友人を殺した疑惑がある。頭はいいがプライドが高い。

マイク:鉱山の事故の生き残り。甥っ子に招待されてゲームに参加。気のいいおじさん。最年長。

ダニー:事故で唯一の生き残り。その時に家族を失っている。脱出ゲームマニアであり、最初の部屋ではみんなを先導する。

 

招待状が届く→箱根細工みたいな箱のパズルを解き、参加権を手に入れる みたいな流れで始まります。冒頭にエピソードが入っているのはゾーイ(ヒロイン)、ベン(ヒロインの相棒)、ジェイソン(ヒール役)だけです。

①火の部屋

部屋全体に電熱線が仕込まれていて、最後には火が噴き出す仕組み。ゾーイとベンが何気なくゲームをどんどん進行させて皆を追い詰めるので、当初はイライラします(ドジで死にそうになるのイライラしない?)。火がトラウマのアマンダは動けなくなりますが、机に仕込まれたギミック(コースター部分を押すか、重量のあるものを置いてドアを開く)を解いて脱出。アマンダのトラウマを刺激するようなギミックです。

②氷の部屋

当初は山小屋に出ますが、そこでベンが起こした事故にまつわるパスワードを入力させられます。外に出ると、本物の雪国のような景色が広がります。脱出の扉を開けるには、氷の下にある氷塊を磁石で釣り上げ、手で溶かさなくてはいけません。この際、ダニーの立っていた部分が爆発して氷が割れ(おそらく不運だっただけ)、溺死。

こちらの部屋ではベンの過去、ジェイソンの過去(1枚のコートをみんなで順番に着るようにと指示がある)に触れています。

③さかさまの部屋

音楽に関連する施設。バーのような部屋だが、すべてがさかさま。金庫に番号を入力し、ドアノブを取り出さなければならない。壁に飾られたレコードがパズルになっており、その色や模様をビリヤードの弾の番号と照らし合わせて金庫に入力。足元が崩れながらも、宙吊りになりながらも「さかさまの部屋だから、番号を逆に入力するべき」というゾーイのひらめきで脱出成功。しかし、アマンダが落下。

④トリアージ室

全員の病室が再現されている部屋。ここで、ゲームに参加した6人は「唯一の生き残り」であることがわかる。毒ガスが起動されるも、ゾーイは暴走して監視カメラを壊しまくる(予測不能な行動をとらなければ状況は変わらない、との思いから)。ジェイソンは心電図の機械がキーになっていると見抜き、マイクにAEDを当てて心拍数を限界まで上げようとするが、殺してしまう。そうではなく、限界まで下げなければいけないと理解したジェイソンは、毒ガスを吸って死にそうになりつつも心拍数を下げることに成功。ガスで倒れたゾーイにすがるベンを引っ張り、2人で脱出。マイクは死亡、ゾーイが脱落する。

⑤毒の部屋

ジェイソンの態度に、彼は友人を殺して唯一の生き残りになったのではと推測するベン。喧嘩をしながらヒントを探す2人だが、1つだけある解毒剤を奪い合う羽目になる。指紋をベタベタつけたような不安定な柄の部屋の中、激しく電気が点滅するなか、ベンが勝利。ジェイソンは脱落(死亡?)。映像がサイケですごくいい。

⑥最後の部屋

ラスト、わりと普通の脱出ゲーム(部屋からヒントを見つけて番号を入力する)だったので割愛。古い書斎の壁が迫ってきて家具やらインテリアやらドカドカ壊れるのはお金がかかっているなあと思いました。

ちなみに、この最後の部屋のシーンは冒頭で流れているので繰り返しになります。冒頭ではベンが死ぬような描写でしたが、幸いにも機転が利いたベン、ストーリー内ではなんとか生き残ります。

そしてアップルの創始者のコスプレをしているような服装のゲームマスターに出迎えられるベン。だが、ゲームの勝者のベンには約束の賞金は与えられず、ゲームマスターに絞殺されそうになる(ここだけは乱暴だと思った。なんで急に力づくなんでしょうか)。しかし、そこに助けに来たのがトリアージ室で酸素マスクを使って生き残ったゾーイだった。

彼女はベンを助け、ゲームマスターを撃ってビルから脱出する。

警察に出頭するも、ビルには証拠は何も残されておらず、犯人逮捕には至らなかった。しかし、ゾーイは事故で失っていた積極性を取り戻し、ベンは新しい仕事を見つける。しかし、ゾーイはデスゲームの主催者を許しておらず、その責任を追及するために探し続けていた。

(ちなみに二人の間にはほのかに恋の予感。吊り橋効果??)

そしてゲーム運営も、今までにない形でゲームを勝ち抜けたゾーイを稀有な存在としてとらえており、彼女のためにゲームを作り続けている…

という感じですね。

マイクとアマンダは生きていて欲しかったなぁとか、ベンが頼りなさ過ぎてどうなるかと思ったよ~(俳優さんがマジでニートに見えるような役作りをしている)とか、いろいろ思うところはあるのですが。

ただただ、ゲームマスターのシーンだけは余計でしたね。唐突。最初、マイクが「私が黒幕だったんだよ」と出てくる『イカゲーム』形式のオチかと思ったけど、よく見たら顔が違いました。

それにしても、おしゃべりなおじさんがしゃしゃってくる場面でもないような… ゾーイが生きているのを見越して、末端のゲームマスターをゾーイと対決させたっぽい流れではありますが。

ただ「私がゲームマスターだったんだよ、フッフッフ」と言いながら登場できたら脳汁がドバドバ出そうな感じはわかる。厨二病っぽくていい。

続編もありましたので、すぐ見ました。続編も面白かった!

あんまりこういうことを言うのは好きじゃないんですけど、日本のセンスと予算では真似できないだろうなあと思いました。

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