江頭グランブルーを思い出させる水の檻。映画は面白いです『エスケープ・ルーム2:決勝戦』

というタイトルはいかがなものか。2021年アメリカ映画。

そもそも、映画のタイトルに「決勝戦」ってつくのが珍しい。運動会とか腕相撲大会みたいな、少々のやぼったさを感じる。

前作では命を賭けた脱出ゲームに挑戦し、前例なしの「2人生き残り」を果たした主人公のゾーイともはやヒロインのベン。しかし、ゾーイの生還劇がゲーム運営を刺激し、彼らは新しいゲームに彼女を巻き込んでいく…というストーリーであります。

今度は、以前ゲームで勝者となった人たちを再結集させているのですが、この人たちがまぁ善人なんですね。「俺が生きる!お前は〇ネ!」なんていうサバイバルものにありがちな悪者、ゼロ。

みんないい人。そして個性的。2のメンバーもなかなか面白い。

前作と同じく、セットとギミックはとても豪華です。さらに、脱出ゲームの軸となる「謎」も追加されているので悩みながらも楽しめる。

あと、追加要素としては前作命を落とした元軍人・アマンダとゾーイが仲が良く、ゲーム中にアマンダにかけられた言葉がゾーイを支えている…というシーンが付け加えられていた。なんで?

新規追加となったキャラクターは4人。

ブリアナ:インフルエンサー対決での勝者。ゲームに巻き込まれたことにショックを隠せない。頑固だけどいい人。

ネイト:神職者対決での勝者。ゲームで優勝したことに罪悪感があり、今度は後悔のしない選択をしたいと考えている。おっちょこちょいだけどいい人。

レイチェル:痛覚がない人対決の勝者。そのため、前対戦ではひどいゲームを運営にやらされた経験を持ち、運営の闇を暴こうとするゾーイに共感する。見た目強ギャルっぽいけどいい人。

セオ(だと思う):丸坊主の男。何の勝者かは不明。ゲームで勝利はしているが、そのせいで片耳の聴覚を失った模様。唯一の既婚者。ゲームに協力的だったからたぶんいい人。

この4人と、ゾーイとベンがゲームに参加します。

そもそも前作のエンディングで、ゾーイを飛行機内で起こるゲームに参加させようとしていた運営ですが(彼女は飛行機事故の唯一の生存者であり、飛行機恐怖症でもある)、ゾーイはどうしても飛行機に乗れないため(運営側っぽいカウンセラーは彼女を飛行機に乗せようと画策するが失敗する)、車で次回のゲームがあると予測される会場へ。

しかし、突撃は失敗し、ゾーイとベンは強盗に遭い、車を失って地下鉄に乗る羽目に。しかし、その地下鉄でゲームが始まり…という展開です。

①地下鉄

鉄部分に電気が流れる電車の中で、広告に隠された誤字を発見し、24本あるつり革(24のアルファベットに割り当てられている)から該当するものを引く→コインが出てくるので、それを運転席の投入口に指定数入れる、というめちゃくちゃ大がかりな内容。

手すりに触らなきゃいいんでしょ?というレベルを超え、電気がビリビリ飛び回り、立ったら即死レベルの放電が行われます。坊主男がここで名乗ることなく脱落。かわいそう。

この描写もすごいんですよね。感電って怖いなと改めて思ったわ。

ちょっといいなと思ったのが、1では散々おっちょこちょいや無知でギミックを作動させていたベンとゾーイがてきぱき謎を解いていたところ。2では争いや喧嘩がないので、テンポがよくて引き込まれます。

②銀行

子供用の飴の中から鍵を見つけ出し、貸金庫を開けて手がかりを見つけ、出口(金庫の扉の向こう)への安全な道を見つけ出す。間違ったタイルの上に立つと(たしか3列×12列くらいはタイルがある)、レーザーに攻撃されてしまう。制限時間内に脱出しないとやはりレーザーに撃たれ脱落。

怪盗モノによくある(あと、バイオハザードやCUBEでもありましたね)レーザーで攻撃されるステージ。

このステージはものすごくよくできていました。インディジョーンズみたい。あと、ちょっと「おしり探偵」みたいでもあったわ。おしり探偵、こういう謎解きすきですよね。

ゾーイが手がかりを見つけて全員通過。

③砂浜

屋外を模したステージ。時間経過によって「蟻地獄」が発生し、砂が下部に落ちていく。吸い込まれると脱落確定(窒息するから)。ここでレイチェルが砂に呑まれるも、ネイトが身代わりになって脱落。ワイルドイケメンが…!

小屋の中の冷蔵庫がおそらく正確な出口なのですが、ゾーイは別の出口(灯台を上り、月のパネルを外すともうひとつの出口が出現)を発見。ビルの外に出られる抜け穴のはずだと、ゾーイはベンに主張。

しかし、ベンはそこに行きつく前に砂に呑まれて脱落。ブリアナは冷蔵庫の出口から、レイチェルとゾーイは月のパネルの出口から分かれて脱出。

レイチェルはゾーイに優しく、彼女の主義を応援すると誓います。

④街角

雑貨店とタクシーがあるステージに移動。

そう、ゾーイはゲームから脱出していたわけではなく、2つある出口の1つから次のステージに移動しただけ。これは結構うまいと思いましたね、どちらから出る?と揉めているうちに実際ベンが脱落したわけだし。決断を鈍らせる目的か。

既にゲームに参加させられていたブリアナと合流するゾーイたち。

そしてこちらのステージ、エグさでいうと非常に高い。定期的に酸の雨が降ってくるなか、ヒントを探して鍵を開けて安全地帯のタクシーに乗り込まなくてはいけないというもの。

最初は雑貨店の店先に雨よけが出るのですが、やはり強力な酸のせいで溶けていきます。傘も同様。しかも、謎を解いたゾーイがタクシーに乗ったら、そこで鍵が閉まり、レイチェルとブリアナは締め出されてしまいます。

2人はゾーイにすべてを託し、抱き合いながら酸に溶かされて脱落。痛覚がなくても絶叫するレイチェル。そ、壮絶すぎる… そう考えると、電気でショック死したほうが砂で窒息とか酸で溶かされ死とかよりはマシなのだろうか…?? いや、どれも嫌だけどさ…

そして、1人別のステージに辿り着くゾーイ。そこは子供部屋です。

ずっと4つのステージに共通していたのは、「少女」の存在。ソニアという名前が繰り返し出てきます。そしてこの子供部屋には彼女の日記があり、少女が地下鉄に乗り、銀行で飴をもらい、ビーチに行き、店でお菓子を買ったということがわかるのですが…

じゃあ誰なのよ?

と思っていたら、そこに現れたのは… 前のステージで脱落したアマンダ!ええええ~!

実はアマンダは死んでおらず(落下したと思っていたが、そう思わせられただけで生きていた)、このゲームを作らされたと告白。

そしてソニアというのは彼女の娘。運営に人質にとられているため、アマンダは言うことを聞くしかなかったと言うのです。

(このシーンのために、展開を付け加えてゾーイがアマンダの言葉に助けられたってことを強調したのだろう)

にしても、作るゲームがエグすぎて引くわよ。

そして、次はゾーイの番よ…あなたが次のゲームを作るの… と要求するアマンダ。そして、檻に入っているベンが登場します。それでも、頑なに運営側につくことを断るゾーイ。えらいけどベンの命はどうなるんだ?

そんなこんなで檻の中に放水が始まり、溺れそうなベン。昔放送されていたテレ東の『浅草橋ヤング洋品店』のグランブルー江頭を思い出す絵面(アラフォー以上しかわからないネタですね)。

それでもヤダ!やらん!と言い、むき出しのガスの配管(?)を引っこ抜いて火を放ち、火事の炎と熱でガラスを破ることに成功。えっ、これってもっと被害が甚大になるのでは?と思ったのですが、ガラスはキレイに割れて、檻の水で放火も収まり、出口も見つかって脱出して通報もして警察行って… と、いい感じに終了。

帰りは飛行機で帰るわ!私は恐怖を克服したの!とキリッとするゾーイですが… 機内にいたのはゾーイの飛行機恐怖症克服にやたらとこだわっていたカウンセラー。

そう、すべては彼女に飛行機恐怖症を克服してもらうための序章に過ぎなかった… 4人の命を奪って(ネイトはアマンダ同様生かされているかもしれないので、脱落確定とは言えんが)することかね?

と思ったのですが、ゾーイとベンのひきつった顔でエンドです。

しかし、ゾーイが「やっぱり飛行機が怖いから別の方法でかえろ」と言ったらどうしたんだろ。しかし、車はないし、電車はトラウマできちゃったし、さっさと帰りたいだろうし… となると、諦めて飛行機に乗るんですかね?

1のラストでは飛行機のシミュレーターを利用してゲームをしていましたが、今回は普通の飛行機っぽい(他にも乗客はたくさんいる)から大変そう。

この映画は面白いので、スケールダウンすることなく、続編を期待したいです。

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