いかにも少女漫画!荒唐無稽なキャラクター設定に魅了される『地獄少女』

地獄少女

2019年の邦画「地獄少女」を見た。
大好きな白石晃士監督だったけど、こ、これは…

原作は『なかよし』に連載されていたコミックだったかな?
『なかよし』に連載されていたホラーなら松本洋子先生が最高だと思うんですけど…『りぼん』なら一条ゆかり先生と楠桂先生かな。
というのはおいといて、映画本編も少女マンガっぽい内容です。

恨みをはらしたい相手を地獄に送ってくれる「地獄通信」。依頼をした本人も地獄に堕ちることになるというのが基本ルールです。
主人公の美保はヴィジュアル系バンドが大好きで、そのライブ会場で遥という女の子と知り合います。しかし、バンドのコーラスに採用された遥は突然態度を急変させ…!?

要はバンドのボーカル・魔鬼(まき)が遥をたらしこみ&薬物を与えて洗脳して言いなりにしていたのですが、バンドが伝説になるために遥をライブ中に殺すと言い出すトンデモナイ展開が待ち構えています。
親身になってくれていた雑誌記者を殺され、怒りに燃える美保は「地獄通信」に依頼して魔鬼を殺すことに成功するのですが…

というのがメインストーリーで、魔鬼のバンドコーラスとしてもともと採用される予定だったアイドル・早苗の話がサブストーリーとしてあります。彼女は自分のファンに顔を傷付けられ、未来を奪われたことで地獄通信を使って復讐。しかしそのことを知ったファンの母親にやり返され、自分も地獄に送られてしまうという内容でした。

いや、もうムッチャクッチャつっこみどころがある…ように見せかけて、あんまり語ることがない映画。

そもそも、閻魔あい率いる地獄チーム、想像していたよりも全然出番がないのね。麿赤兒さんはさすがの存在感でしたが、他のお二人はあんまり印象に残ってない。橋本マナミは出てくるために「そういえばこの人、尾上松也と同級生なんだっけ」「そういえばこの人、鏡張りの部屋で裸に近い格好で生活してるって言ってたっけ」「そういえばこの人、医者と結婚したんだっけ」と、どうでもいい情報ばかりが浮かんでくる。
あと、地獄チームの出演する場面は画面が暗いシーンが多いので、部屋を真っ暗にして視聴しないとよくわからないっていうのもありましたが…

個人的に気になるのは森七菜ちゃんの演技。クセがありすぎる。
エッチなジョークを言われてからの「ばっ、ばっ、ば、ばば、バカじゃないですかぁ!」みたいな過剰なドモリ演技が象徴するように、微妙に気になる演技なんですよね。ものすごくオドオドしているのが逆に印象に残りました。オロナミンCのCMのせいで、放送室で水ブチまけるって何考えてんだこの女という気持ちが強いからでしょうか。

しかし、遥が調子にノリに乗ってるノリノリガールになってしまい、遥をぶん殴り、自分の母親もぶん殴りととんでもない女になってしまったのに、なぜ知り合ってすぐの女の子をそこまでして助けたいの…?という謎が残りました。
遥を助けたいのか、魔鬼を殺したいのかよくわからない。

まあ、魔鬼も「金持ちのボンボンで、薬と金で皆を従えている」「殺人も厭わないサイコパス」「有名になるために遥を儀式の生贄にしようとする」という、そんなイカレポンチのビジュアル系バンドマンなんているのか?という謎を残すキャラなのですが、厨二病詰め合わせセットみたいなてんこ盛り設定キャラクターなので、生温かい目で見るのがいいかもしれません。

キャラクターのアクの強さ(少女漫画ベースだからかもしれないが、荒唐無稽すぎる)に目がいきがちですが、怖いシーンも挙げておこう。

地獄通信にアクセスした時、まずは地獄に堕ちるビジュアルを見させられるのですが、このビジュアルは非常に素晴らしかったです。怖いというか、まがまがしいというか。極彩色の地獄っていう感じ。
早苗がアクセスした時には、彼女の体の中から虫がごわごわ湧いてくる悪夢を見させられていました(本人も虫になっていた気もするがあんまり覚えていない)。これは非常に気持ち悪かった。

また、アイドルの早苗が顔を傷付けられた後、加害者から謝罪の手紙をもらうのですが、その手紙を開けてみたら「これで俺のことを忘れられなくなったろ、ざまあみろ、ざまあみろ」みたいな罵詈雑言が書かれているんですね。
このシーンはホラー関係なしにめちゃくちゃゾワゾワしました。

でも、もしかしてこのシーンというか、展開自体、アイドルの女の子が実際に襲われて切られた例の事件をモチーフにしているのかなあと思うと、あまり好意的には思えない。いや、よくないと思います。そんなに時間が経過しているわけでもないし。経過していてもよいことではないはずですから、より悪いとしか感じませんでした。

それ以外のシーンはそんなに怖くなかったかなぁ…??
ちなみに早苗を傷付けた犯人は地獄に堕ちた後に斬首され、首だけが地獄の空間をぷよぷよみたいにさまよっていました。魔鬼はなぜか植物化していたな。

ラストは既に半分廃人みたいになっている美保と、そんな美保の変化に困惑している遥、その上を飛び回るカラスたち…みたいな終わり方でしたが、大量のカラスで『ゲゲゲの鬼太郎』を思い出した。カラスが出てくるラストといえば『殺し屋1』のゾワッとした終わり方が好きです。

関係ないですけど、ハゲワシが上空を大量に飛んでたら怖いですよね。
そういうホラー映画のラストも見てみたいですね。既に半分死にかけていて、ハゲワシとか野犬とか、大量の虫とかにずーっと狙われてるの。どうでもいいですね。おわり。

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