貞子はニコニコ動画生主からYouTube配信者になったのだ「貞子」

貞子

2019年に公開された「貞子」。「リング」シリーズが「貞子3D」シリーズになり、そして「貞子VS伽椰子」を経て、中田秀夫監督が再びメガホンをとる(今、メガホンを持っている監督ってどのくらいいるのかしら?)ことに。すごく失礼だとは思いつつ、わりと大笑いしてしまった。
「貞子3D」で既に『ビデオ』ではなく、『配信動画』にスライドしていた貞子の居場所。今度は、ニコニコ動画からユーチューブに移動してきています。次はNetflixにでも移動してきそう。嵐とともに世界進出目指しそう。そのうち新しい映画のプロモーションでTikTokとか始めさせられそう。

この「ネット動画」と貞子、相性が良さそうでさほど良くない。ネットで動画が拡散される→それを見た人間が死ぬという構図が、そんなに目新しくないからだろうか。貞子が今更他のホラー映画の後追いしてどうなるよ?という気持ちが強いんですよね。あの「わけのわからないビデオを見ちゃったけど、どこのなんの映像だかわからない」のが怖いんだけどな。SNSやアプリでも、この感じはなかなか出せなさそうだけど。

ちなみにこのつながりで、ユーチューバーの水溜りボンドが出演しているのですが、私はこの人たちの動画をまったく見たことがないので、特に感想はないです。どうせなら炎上系ユーチューバーに死に役で出演してもらったほうが盛り上がりそうな気がするけど…とも思いますが、演技力がないと難しいのか。どっちにしろ興味ないからいいや。以前の「貞子3D」シリーズにはHIKAKINが出演していたから、わりと安易ですね。
「トモダチゲーム」でフィッシャーズ(だっけ?全然わかんない)が演技していたのも見ましたけど、ホントに刺さらない感じだから困る。

さて、主人公の茉優を演じるのは池田エライザ。心理カウンセラーの役なのですが、この設定を聞くまで精神科医かと思っていた。20代で病院に自分のオフィスとか持てるんスかね…?
そして主人公を助ける男性(といっても恋愛関係にはならない)・祐介は、茉優の弟・和真の知人として登場します。和真は無名のユーチューバー(ユーチューブという名前では登場しませんが、まあ意識しているのはこれだろう)で、祐介はその動画にアドバイスをしているんですね。で、何者なの?コンサルタントみたいな感じらしいけど、いまいちよくわからない。というよりも、うさんくさい。全体的にふんわりした感じの設定です。

話はクローゼットの中から始まります。クローゼットに閉じ込められている女の子が、自分の母親に外からガソリンをまかれて殺されそうになっているところからスタート。どうやら彼女は呪われた子供らしいのですが、その少女を貞子が助けに来て母親のほうが炎上。この母親を演じているのがともさかりえさんなんですが、このともさかさんの顔が非常に怖かった。さすがの演技。

この後、少女が街をさまようシーンがあるのですが、この女の子に声をかけたOLがそのままストンと飛び降り自殺をしてしまう場面は驚いた。飛び降り遺体も消えてしまうのですが、そもそもこのOLは生きている人間ではなく、事故現場にいた地縛霊のような存在だということがわかります。つまり、少女は霊感が強すぎて、悪霊におびやかされがちな女の子ってことですね。この後もエレベーターに乗っている車椅子の悪霊ジジイに襲われます。

結局、記憶障害として保護されたこの少女の担当となるのが、主人公の茉優。弟がフラフラして動画配信者なんてやってるのが悩み(しかもクソつまらない配信しかしてないので、見ているだけで恥ずかしくなる)。大学をやめて配信業にかける和真くんは、肝試しスポットで動画を撮影してはどうかと思いつきます。それが、なんと火事が起きた少女の実家のマンション!

ただ、少女もかなりの変わり者で、日本人形を抱っこしたまま取り調べに登場。驚かない警察官に驚きます。茉優だけが、彼女が持つ不思議な能力(念動力)に気が付きます。
案の定、小児病棟の他の男子児童にいじめられるのですが、いじめっ子も棚を倒して撃退!しかし小児病棟がガバガバすぎて違和感。医療器具が置きっぱなしになっているところで遊べるわけないだろ!

そして同時期に、ユーチューバーに呪いの連鎖が広まっていることがわかります。
(ただ、正直この設定は活かしきれていない気がする)

シンパシーを感じる茉優と少女。実は茉優と和真は児童養護施設の出身であり、少女とは親の愛に恵まれなかったという共通点があったのです。

と、ここで和真が失踪。拡散されている彼の肝試し動画から貞子と出会ってしまい、連れ去られてしまったことがわかります。実は少女の母の祖父江は霊能力者であり、貞子の血筋らしいのですが、それよりもこの動画の画面に骸骨が写ったのにはなんだか、笑ってしまった。誰よ?「オレオレ!俺みたいになるんだよ!」という警告なのか、「お前を骸骨にしてやるぜ」という警告なのか。どっちにしろ、昭和のおばけっぽくてかわいい。

そして茉優はストーカーの倉橋と遭遇(この倉橋は、「リング」から唯一続投している佐藤仁美がそのまま演じています)。茉優に依存する倉橋は、自分の思い通りにならない彼女を襲撃してきます。
ですが、ここで病棟のテレビから貞子が登場(貞子は呪いのビデオがなくなってもテレビから出てくるのか。お気に入りなの??)。倉橋は再度発狂してしまい、茉優も気絶してしまいます。

やや落ち着いた倉橋から話を聞き出し(しかしこの直後に倉橋はまた襲われます。かわいそう)、和真の行方を探す茉優と祐介。和真が大島にいるはずだという結論に至ります。

すぐに大島に渡った茉優たち。立入禁止の洞穴に入ろうとして現地のババアに怒られ(ホラー映画あるある)、夜に忍び込む茉優。祠に引っ張り込まれるも、怯える和真を発見します。しかし、そこにやってきたのは東京で入院中のはずの少女。彼女はビジョンとなって茉優の前に現れたのです。

おそらく少女は貞子や祠で死んだ少年少女たちの霊によってあの世に引っ張られて死にそうになっているのですが、茉優が命がけで彼女を救うことに成功。祐介もそこに合流するも、今度は茉優をあの世に連れ去ろうとする貞子。ここで和真が姉の身代わりとなります。身代わりの身代わりなのでややこしいですね。
わりとシュールなのが、貞子と茉優で和真の引っ張り合いになるのですが、貞子のほうが腕っぷしが強くて勝利。

結果、貞子のターゲットは少女から茉優に移り、茉優が貞子の影に追いつめられて精神不安定に(少女はしれっと退院)。そしてビクビク過ごしている茉優の襲われエンドで物語は終了します。

怖いのはともさかりえの顔と、飛び降りOL&悪霊エレベーターじじいくらい。貞子本体はさほど怖くないのがほんと、物悲しいですね。そもそも、動画で呪いが拡散しているってのはどういうことなのか?和真が呪われるのはまだしも、知らないユーチューバーが呪われたのは動画を見たから?それとも肝試しで彼らも少女の実家を荒らしたのか? そもそも貞子は何したかったの?と、モヤモヤが残る感じ。
あと、貞子ちゃん、ビデオの「7日間にビデオを他の人に見せないと死んじゃうよ」ルールはもう忘れちゃったのかな?今の時代なら「100万回再生させないと殺す」とか「1万いいねがつかないと殺す」とかになりそう。
そして、少女を自分の娘にするとか後継者にするとかじゃなく、やっぱりシンプルに殺そうとしているのもよくわからない。どうしたいの?自暴自棄?まあ、こんだけシリーズが続いたらそうなるのもわかる気がする。

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