すべてがバカで心地いい!良質の韓国ゾンビコメディ「感染家族」

感染家族

韓国のゾンビコメディ「感染家族」を見ました。劇場で見てもいいくらいの面白さでした。邦画だと漫画や小説原作のゾンビ映画が多くなってきていますが、やっぱりオリジナル脚本はいいですね。 「ゾンビに噛まれると若返る」ことを発見した一家が、一攫千金を夢見てゾンビで若返りビジネスを始めるも…というお話。

ガソリンスタンドを経営するも詐欺まがいの売りつけ商法で日銭を稼ぐ長兄・ジュンゴル。愛想は悪いがとにかく頼もしいジュンゴルの嫁・ナムジュ。ろくでなしの次兄・ミンゴル。自分が生まれたせいで母が死んだと自分を責め続けている暗めの少女・ヘゴル。さらに、この一家にゾンビのチョンビが加わります。
韓国映画だからか、とにかく女が強いんです。ナムジュは男にとにかく冷たいのに、ヘゴルには優しいのがいい。

物語の発端は、チョンビが一家の父を噛み、その父が若返ったこと。一家はチョンビを捕まえ、村中のおじいさんやおっさんを若返らせて荒稼ぎします。そのおかげで寂れていたガソリンスタンドもキレイに建て直すことができ(この時点でガソリンスタンドが全壊するフラグがビンビンに立っている)、一家はニコニコ。
ちなみに父は「ハワイに行く」という理由で冒頭で姿を消しています。

そして注目すべきはヘゴルとチョンビの恋。貧しさもあり、質素に過ごしてきたヘゴルですが、どこか人間の話がわかるようなチョンビに少しずつ惹かれていきます。チョンビもヘゴルに対して、他の人間よりは懐いているような…?
ちなみにチョンビは髪を整えて(死者の肌をごまかすための)メイクをするとめちゃくちゃイケメンの設定です。

しかし、一家きってのろくでなし・ミンゴルがチョンビを売っちゃおうと暗躍(悪い人じゃないし、ヘゴルのことが大好き気味なシスコン)。しかし、このあたりで村の男たちがゾンビ化して女達を襲いまくり、ゾンビ増えまくり。
ヘゴルはジュンゴルとナムジュとともにガソリンスタンドに立てこもり、ミンゴルは悪運を発揮して駅から自宅へと命からがら逃げ続けます。駅に置き去りにされたチョンビですが、ヘゴルの助けを求める声をキャッチ!(このあたり、ゾンビのくせに耳が良いという謎設定)単身、ガソリンスタンドに戻ります。
ちなみにこのゾンビたち、何度も噛まれるとゾンビ化するスピードが早くなるらしい(たくさん噛まれると、それだけ菌が体内に入るということか??)。

ヘゴルたちはミンゴルが残していたゾンビ対策マニュアルを読んで、厚着と鍋かぶりで対策(意外と効果的)。家の中にゾンビが侵入するものの、ミンゴルが戻ってきて助けてくれることに…と言いたいですが、なんと、ミンゴルは花火でゾンビを散らそうとします。いやいや、音と光で集まるだろう!というツッコミ通り、ガンガン集まってくる村中のゾンビ。しかも打ち上げ花火まで上がり、ゾンビが押し寄せフラグであります。
しかしながら、エキストラの限界なのか、CGを使うまでもないという話なのか、20~30人くらいのゾンビ集団でラストまで押し通します。

ナムジュが産気づいてしまい、ジョンゴルとミンゴルはゾンビにまぎれて助けを呼ぶために外に出てみるも、ゾンビに見破られて終了。ヘゴルがそれを助けようと飛び出すも襲われ、そこを助けてくれたのが…チョンビなのであります!この知能のあるゾンビっていう感じが「死霊のえじき」みたいでいいわね。

この映画の優れているところが、ハラハラさせつつも意外な展開で物語が二転三転するところ。チョンビがヘゴルを助けるところもそうだし、ジョンゴルがゾンビに襲われそうになったところで赤ちゃんの産声がしてゾンビの気が逸れる…など、無理のない範囲で話が転がります。
また、一家の仲がベタベタしておらず、それでもピンチのときにはお互い助け合うというところがゾンビ映画らしくて大変よろしいと思います。「母さんの代わりに、姉さんは私が守る!」とヘゴルが立ち上がるところも素敵です。

ジュンゴルはゾンビに囲まれて死にそうになるものの無事生還し、一家は車&キャンピングカーで逃亡。チョンビはヘゴルを守り、自分だけがガソリンスタンドに残ってガソリンにライターを投げて爆死エンドです。

しかし、ようやくここですべての設定が明らかになります。
・チョンビはゾンビ(蘇った死者)ではなく、人体実験によって仮死状態だった患者(似たようなもん??)
・ゾンビ化したのはウイルスのせいで、チョンビが噛んだせいではない
・ハワイから帰国した父だけ元気ピンピン。なんと、父はゾンビウイルスの抗体を持っていたのだ!
みたいな感じの設定だったと記憶している。
ジュンゴルがゾンビ化してお葬式ムードだった一家も、人間に戻せるとわかり大喜びであります。

半年後、ゾンビたちを人間に戻すために津々浦々を車で旅する一家の姿が…!そして人間に戻ったチョンビはヘゴルと結婚しているという急展開ぶりであります。ただ、チョンビが普通に言葉を話しているとなんだか変な感じ。

そして、チョンビが人間を噛まされていたように、父もゾンビを噛んで人間に戻さなきゃいけない立場になっているのがなんともおかしい。風刺とまではいかなくとも、因果応報って感じがする。

振り返れば、この映画はゾンビ映画にありがちな「ゾンビを撃退するために肉体を破壊する」というシーンがほぼなかったんですね。年齢制限への対策かと思ったら、殺したら後で人間に戻してあげられないからなのか。
ストーリーも演出もキャスティングもすごくいいゾンビ映画ですので、未見の方はぜひ!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>