音を立てたら即死の世界で『黄金伝説』的サバイバルホラー「クワイエット・プレイス」

クワイエット・プレイス

2018年のアメリカ映画「クワイエット・プレイス」。もう、超ド直球のわかりやすいホラー映画という印象であります。
聴力がやたらと発達した化け物に支配された地球で、息を殺しながら工夫して生活している一家。その一家に訪れた恐怖の一夜を描くのですが、思っていたよりスケールのでっかい化け物が出てきたのと、思ったより「ホーム・アローン」みたいな工夫が散りばめられている設定には裏切られました。

クライマックスは、「宇宙戦争」で主人公と娘が知らないおじさんと3人で納屋に隠れているシーンを彷彿とさせますね(あの映画も大好き)。

クワイエット・プレイス1

「89日目」
行方不明者のチラシであふれる街。一家(父、母、娘、息子、末っ子)はドラッグストアで薬を探していた。しかし、末っ子が欲しがったおもちゃを末っ子に与えてしまい、そのおもちゃを起動させて音をたてた末っ子は化け物にさらわれてしまう。

「472日目」
父は化け物の研究を続けていた。それは音に反応し、ヨロイのような外皮を持つ。守備を固めた牧場に住んでいる一家。母は新しい子供を妊娠していた。夜に不注意でランプを倒してしまった子どもたち。化け物に襲われずには済んだものの、奴らは近くに潜んでいることがわかる。

「473日目」
耳の聞こえない娘は、末っ子の事件以来家族とぎくしゃくしていた。息子は父に連れられて外の世界を学びに出かけるのに、自分は家に置き去りなのにもショックを受ける。こっそり自分も外に出かけ、末っ子のお墓まで行く姉。
しかし、父と息子は森の中でおばあさんの死体とそれを見ているおじいさんを見つける。じいさんは絶叫して化け物を呼び寄せ自殺する。
一方、母は破水したうえ、釘に足をひっかけて物音を立ててしまい、化け物を呼び寄せてしまう。ライトの色で異変を知らせた母。父もそれに気が付く。
母が出産したり、父が銃を出したり、息子が花火をあげて怪物の気をひいたりとバタバタするなか、今度は息子が怪物に追われる羽目になる。母は赤ちゃんの声で追い詰められ、地下室に隠れて赤ちゃんは酸素マスク付きで箱の中に隠すことにする。戻ってきた娘は、父の作った補聴器でハウリングを起こし、化け物を撃退する。
しかし、母のいる地下室は水漏れを起こし、そこに化け物が入ってきて水の中をスイスイ泳ぎながらしつこく家族を付け狙う。

しかし、合流した娘と息子が音を立て、化け物たちはそちらに向かう。サイロの中に落ちた息子は、窒息して死にそうになっている。娘は彼を救おうとするが、今度は自分が穀物の中に沈みかける。サイロに入ってきた化け物をまた補聴器で撃退する娘。しかし、補聴器は壊れてしまう。
子どもたちを救うためにやってきた父は、自分が叫んで化け物の気を引き、子どもたちは古い車のブレーキを解除して逃げる。母はその様子を監視カメラで見ていた。
娘は自分が愛されていたことを知り涙を流すが、また化け物がやってくる。

ようやく補聴器を武器として使いこなし始めた娘は、マイクに補聴器をくっつけてハウリングを起こす。すると、化け物は頭が開花するように変形して死んでしまう(脳みそバーンみたいな感じ)。それをママが撃ち殺す。
化け物はまだまだ集まってくるが、一家は殺してやる気満々…というところでエンディング。

化け物から生き残るための小さな工夫(赤ちゃん避難用の箱、非常警報代わりの赤いランプ、監視カメラの設置など)があまりにハイスペックすぎる気もしたのですが、なんとなく『いきなり!黄金伝説』を思い出す工夫ぶり。ステーキハウスのダクトに残ったニオイでパンとか食べてそう。

そういや、娘が父とギクシャクしている理由がよくわからない(父は娘を守るための工夫をたくさんしていて、化け物にも遭遇しないように気を配っていた。だが、その気配りがあんまり伝わってなかったというだけ)。愛情表現をしていてもよそよそしかったのか、娘がものすごい引け目を感じていたのか??
化け物はなかなか怖い姿形はしていたものの、どこかで見たことがあるような…?という感じの化け物(「エイリアン」とか「宇宙戦争」とか「クローバーフィールド」とか「第9地区」とか、とりあえず人間よりはるかにでかい)。

あと、「音を出してはいけない」系の作品は『手話を使える』ことが生き残るポイントだったりしますが、そうじゃないパターンも見てみたいですね。『手話を使える』『問題を抱えていても愛情と絆がある一家』『サバイバルしながら工夫で困難を乗り越える』の三点セットがあまりに多すぎる。