トンデモアイドルホラーの頂点「死幣-DEATH CASH-」第1話『呪われたお金・死幣』のネタバレ

死幣

AKB48ほど、ホラードラマを乱発しているアイドルグループはなかなかいないかもしれない。AKB48では「セーラーゾンビ」「CLOW’S BLOOD」、ちょっと毛色は違うけれど「アドレナリンの夜」。坂グループも入れるなら、乃木坂46「ザンビ」、サスペンスやミステリーも入れちゃうなら欅坂46「残酷な観客達」とけやき坂46(今は日向坂46か)「Re:Mind」もそうだろう。

しかし、このドラマほど豪華でありながらブッ飛んだアイドルホラーもなかなかない。「死幣-DEATH CASH-」。SKE48の松井珠理奈ちゃん主演。ということでAKB48グループくくりに入れてみたものの、彼女の単独主演であり、SKE48のメンバーは他に出演していません。

とにかくキャスティングが豪華。主人公を疑いながらもいつしかパートナーとして絆を深めていく刑事・若本に戸次重幸、ゼミの教授役に松井珠理奈とは「キャバすか学園」でも共演している筧利夫。 妹役にはかわいらしい清原果耶。同級生役に川栄李奈、吉岡里帆、山田裕貴、白洲迅などブレーク中の女優や俳優がずらり。同じく同級生役の葉山奨之や中村ゆりかだって演技はうまい。

松井珠理奈というと女優のイメージが薄いが、彼女の演技だって別に悪くはないです。ずーっと怒ってるか嘆いてるか怯えてる演技が続くけど。まあ、ホラードラマとはそういうものですし。

ただ、残念な点を3つ挙げるとすれば、
1.脚本がベタすぎてミステリーとしては物足りないし、それでいて既存の作品の影響が色濃くホラーとしても物足りない
2.ゲストキャスティングが安い
3.松井珠理奈のキャラクター設定がミスマッチ
というところでしょうか。

このドラマはミステリー要素もあり、ホラー的な要素もあり、実際に呪い殺されるシーンはまあグロテスクではあるのですが、それだけ。ゾッとするような怖さはない。真夜中にチャンネルを合わせてしまって「あー、いやなもの見ちゃった」的な気持ちにはなりにくいホラーです。

ゲストキャスティングについて。毎話ゲストが登場するんですけど、1話の森永卓郎、2話の森脇健児で私は考えることをやめましたね。まあ、ここがクライマックスだったんですけども(あとは木野花さんとか中島ひろ子さんとか、まっとうな女優さんがゲストです)。あ、でも6~7話の田中美奈子もバブリーでしたね。金を選んで娘を見捨てた母親の役だったけど、すげぇバブリーだった。背後にジュリアナ東京の陽炎が揺れている。
この謎のキャスティングは、膝カックンをされてイラッとした時の気持ちに似ている。

松井珠理奈ちゃんの設定については、仕方ないことなんですけども、ホラードラマで主演をするには若干大人びてしまいすぎている感じ。大学生という設定も別に違和感ないし、世の中には女子大生や社会人の女性が主人公のホラー映画・ドラマなんてあふれるほどあるのですが、現役アイドルなのだから、もうちょいキャピキャピした女子高生ホラーのほうがわかりやすかったんじゃないかなと思います。それともそこから脱皮させたかったのかな??

登場人物

由夏(松井珠理奈):人の死ぬ瞬間を予知できる女子大生。その能力を持て余している。
若本(戸次重幸):連続殺人事件の担当刑事。由夏を疑いしつこくつきまとうが、そのうちに信頼関係を築く。
小夢(清原果耶):由夏の妹。明るい性格でちゃっかりしているが姉思い。どうでもいいが「こゆめ」ってすごい名前だ。「小梅」ってお菓子を思い出した。

絵里菜(川栄李奈):由夏のゼミ仲間。占いマニアで噂好き。
一恵(吉岡里帆):由夏のゼミ仲間で、高校時代からの友達。奨学金で大学に進学しながらバイトで家族を養う。父はおらず、母が病気(精神病??)。弟がいる。
三浦(山田裕貴):由夏のゼミ仲間。由夏とは両思いの仲だが、就職活動がうまくいかずに悩んでいる。
灰谷(葉山奨之):由夏のゼミ仲間。FXで成功しており、そのせいか常に上から目線である。
真理(中村ゆりか):由夏のゼミ仲間。クールな性格で、他の女の子と交わることなく単独行動が多い優等生。
川辺(白洲迅):由夏のゼミ仲間。やり投げで世界選手権への出場を目指しているが、スランプ中。
郁美(西田麻衣):由夏のゼミ仲間。川辺と付き合っていたが、フラれてしまって以来落ち込んでいた。
財津(筧利夫):ゼミの教授。謎めいた性格。

第1話

死幣とは、お金の欲しい人のところに自然と現れる。それを使って、福沢諭吉のところにシミが出てきたら死ぬサイン(福沢諭吉の子孫は怒っていいレベルの設定だ)。しかも、とびきり残酷な死に方をする。

由夏は三浦に恋しているが、先輩の頭に庭師のハサミ(こんなトラブルあるんですかね?)がぶっ刺さって死ぬ予知夢を見て、それを回避させる。彼女は人の死を予知できるのだ。
このハサミシーンはなかなかにグロイ。このドラマ、死のシーンだけはやたらと力が入っているのだ。

一方、三浦は就職活動がうまくいかずに悩んでいた。同級生からは裏でいじられるほど(なんでこんなにこの人嫌われてバカにされてるんだレベル)、失敗が続いている。

夜、由夏は友達の郁美が街頭インタビューに応えていたシーンを見て、胸騒ぎがして彼女の家に押しかける。やはり、彼女は家の中で死んでいた。

郁美の葬儀で、突然乱入してきた若本は自論をぶちまけて葬儀を台無しにしたうえ、ゼミ生を呼び集めて事情聴取を始める(こんな刑事いるか?)。由夏を怪しむ若本。しかも、ゼミ生の中には若本に同調する人間もいた。一方、三浦は葬儀の席でも陰口を叩かれる(「あいつまだ就職決まってないんだぜ」的なやつ)。
しかし、三浦が家に帰ると押入れには金がたくさん入っていた。その金を使い、起業したら付き合ってほしいと由夏に告白する三浦。

そして、由夏は夜に三浦のオフィスができる予定のビルに呼び出される。突然、バースデーケーキを運び込み歌い出す三浦。由夏の誕生日を祝ってくれたのだ(ただ、目がいっちゃってるのでスゲー怖い)。会社の社名にちなんでガチの西洋鎧をオフィスに飾ろうとしている厨二病の三浦だが、勢いよく飛んだシャンパンの栓がきっかけで鎧が倒れ、剣が三浦の胸に刺さって死んでしまう。ここで若本刑事が(なぜか)さっそうと現れ、由夏を叱りつける。
三浦の社名「KNIGHT WILL」の文字はいつしか、「KILL」の文字に変わっている(血で)。

という1話。いや、三浦嫌われすぎだろとか、バカにされすぎだろうという気持ちでまず悲しくなるよね。「あいつまだ内定ないんだぜ」「あーあ、あいつみたいにはなりたくねぇよな」みたいな陰口。普段は意識高すぎで他の学生にグイグイ圧をかけていたのでしょうか?恨まれすぎです。そして金を得たら絵に描いたように調子に乗るわけですが、真剣をむき出しで飾ろうとしていたアホだからこうなったんだろうか?という残念な気持ちにしかならず。

若本刑事もやたらと神出鬼没なのですが、これはギャグなのか?キャラなのか?と悩まされます。ギャグならば安すぎる。「KILL」が浮かび上がる演出もなんだか安い。なんだろう。

というわけで、オカルト要素というよりも「ファイナルデッド」シリーズの影響が色濃く出すぎているこのドラマ。ラストまでこの調子であります。気になる方はHuluで配信されているはずなので、消える前にぜひ(すでに消えていたらスミマセン)。