「なにか」を見たら死ぬ「バード・ボックス」

バードボックス

2018年のネットフリックス映画「バード・ボックス」を見ました。CMがやたらと公開されていたので逆に期待していなかったのですが、見てみたらビックリ、すごくよかった。彷徨う系の映画かと思いきや、全然そんなことなかったです。
説明がなされないまま、ただひたすら恐ろしいものに翻弄されるという展開が魅力的でした。ちょうど見返した「ハプニング」とちょっとかぶったけど。

登場人物

マロリー:画家。シングルで妊娠中。人嫌いで偏屈なところはあるが、曲がったことは嫌いなタイプ。父の牧場で育った影響から、銃を使うこともでき、サバイバル術に長けている。
ジェシカ:マロリーの妹。世話焼きタイプであり、馬が大好き。だが、騒動直後にすぐに「なにか」に侵されてしまい…

ボーイ:マロリーの子供。
ガール:オリンピアの子供。

逃げ込んだ家で出会ったメンバー

トム:心優しき男性。マロリーよりもだいぶ年下だが、彼女に惹かれるようになる。
ダグラス:マロリーを助けようとした妻が死に、それをきっかけにマロリーに辛く当たる。近所でも有名なトラブルメーカーであり、仲間内でも自己中心的な意見を繰り返して周囲を困らせる。
グレッグ:マロリーが逃げ込んだ家の家主。ゲイ夫婦だったらしいが、パートナーは不在で生死も不明。ダグラスとはあまりいい関係ではなかった。進んで人を助けるなど善人らしさを見せる。
チャーリー:終末論者のスーパー店員。非常に気が弱い。自分たちの状況を小説にまとめている。

ルーシー:女性警官。いつの間にかフェリックスと交際していた。
フェリックス:薬物中毒者。
白人の老婆:マロリーが産気づいた時に助けてくれるなど活躍する。

オリンピア:後から合流した女性。ぽっちゃり体型でおっとりしており、マロリーと同じく妊婦。母性が意識できない彼女と違い、生まれてくる娘に出会えるのを楽しみにしている。
ゲイリー:オリンピアよりもさらに後から合流した男性。オリンピアが中に入れた。「なにか」を見ても死なない人間たちがおり、彼らが生存者を襲撃しているという情報をもたらす。

ネタバレ

家を脱出しようとしているマロリーと子どもたち。「目隠しをして歩く。その目隠しは絶対にとってはいけない」「川の上では静かにする」という約束をする3人。

時は巻き戻る。
妊娠中のマロリーは、集団自殺のニュースを見つめていた。無頓着なマロリーの面倒をかいがいしく見ている妹のジェシカ。妊婦健診を受けた直後、病院でも集団自殺が始まってしまう。急いで逃げる姉妹だが、ジェシカは突然おかしくなり、車を横転させた挙げ句トラックの前に飛び出し、マロリーの目の前で自殺する。
妊婦のマロリーは道で転んでしまうが、彼女を助けようとした女性もなにかに感染したようにおかしくなり、自ら炎上している車に乗り込んで死んでしまった。マロリーは彼女の夫が隠れている家に逃げ込み、そこで生活することになる。
子どもたちが心配だと出ていってしまった夫婦もいたが、7人の人間が家に取り残される。彼らは外で何かを見たら自殺してしまうという事実に気が付き、窓やドアを封鎖する。

現在。目隠しをしたまま川に向かって、ボートで川下りをしているマロリー。

過去。妊婦の女性・オリンピアが保護される。食料を確保しなければいけないが、外で何が起きているのかわからない。グレッグは監視カメラで外の様子を観察するというが、マロリーやトムはそれだけで彼が死ぬのではないかと心配する。案の定、カメラ越しにグレッグはなにかを感じ取り、暴れた直後に転倒して死んでしまった。

現在。霧の中から声がしてくる。見えないまま発砲するマロリーだが、川のなかでキチガイの中年男性がボートをつかんではなしてくれない(彼は目隠しをしていない)。マロリーは彼を殺し、ボートは進んでいく。

過去。チャーリーの職場まで食べ物を取りに行くことにしたマロリーたち。車のカーナビを頼りに、ウインドウは塗り潰して進むことになる。マロリー、トム、ダグラス、チャーリー、ルーシーの5人で車に乗り込むが、見えない何かが車を翻弄し、柱に激突させる。なんとかスーパーにたどり着いた5人。マロリーは鳥を見つけて保護する。
豊富な食料に浮かれる面々だが、誰かがやってきた。ドア越しにチャーリーの同僚のフィッシュだとわかったが、彼は無理やり中に入ってこようと暴れ、チャーリーは彼を押し出すために自分も外に飛び出し、犠牲になる。
そのほかの4人は帰宅したものの、その後にルーシーとフェリックスは車を盗んで家を出ていってしまう。

現在。ボーイが水に落ちたせいで、食料や毛布がなくなってしまった。途中で謎の施設に立ち寄り布切れなどは確保したものの、何かに追われ、必死で逃げるマロリー。彼女を探そうとしたガールは捕まってしまうが、マロリーが必死で助ける。ガールの優しさが命とりだと怒鳴りつけるマロリー。
その後、3人はひたすら漂流するはめになってしまう。

過去。オリンピアは新たに助けを求めてきたゲイリーという男性を中に入れてしまう。彼は警察病院から脱走した男たちに襲われ、仲間を殺されたと証言する。闇を抱えている(もともと犯罪者の思考がある、精神が異常であるなど)人は目隠しが必要ないのだ(このあたりの設定は「アイアムカヒーロー」みたいですね)。
ダグラスは彼を仲間に入れることに反対するが、逆に彼だけ監禁されてしまう。

現在。マロリーは助けを求めて移動しているが、正しい位置を把握してボートをコントロールするには、誰かが見なければいけない。ボーイか、ガールか。どちらを失うか?

過去。オリンピアとマロリーが同時に産気づき、老婆が彼女たちを助けてくれる。無事に出産した2人だが、リビングにいたゲイリーは突然真っ黒なイラストを描き始め、「なにか」の気配を察知できる鳥を冷凍庫に入れて、封鎖してあった窓を開けてしまう。そしてトムを襲い、ダグラスが監禁されていたガレージの扉を開けてしまう。
ゲイリーはマロリーたちのもとにやってきてその部屋の窓も開き、オリンピアと老婆を自殺させる。マロリーを追いつめるゲイリー。しかし、それを助けてくれたのはダグラスだった。ダグラスは殺され、意識を取り戻したトムとゲイリーは押し問答の末、トムが勝利する。

そしてその5年後。成長した子どもたちとトムと4人で暮らすマロリー。しかし、目隠し無しで行動できる襲撃者たちは、彼らの安全を脅かしていた。
さらに、リックという謎の人物と無線がつながり、ある施設までくれば保護すると約束される。トムは乗り気だが、マロリーはその言葉を信用できない。

別の家を漁っている時、襲撃者と鉢合わせてしまった4人。トムが身をもってマロリーと子どもたちを守り、そして話は冒頭に戻る(つまり彼女たちは、リックの施設に向かうために川を下っていたのだ)。

誰がマロリーに指示をするのか?ボーイが立候補するが、マロリーはそれを却下する。空気を呼んだガールが立候補するが、彼女は今までのことを思い出していた。オリンピアやトムが自分にしてくれたことを考えると、とてもそんなことはできない。彼女は「誰も見ない」まま、岩場をボートで越えることに挑戦すると宣言する。
案の定、川に落ちてバラバラになった3人。マロリーのことをジェシカやトムの声を出す「なにか」が誘惑する。
ボーイは見つけたが、ガールはいない。彼女はマロリーを怖がっていると指摘するボーイに、マロリーは素直に反省して彼女に謝罪を続ける。すると、ガールはマロリーの前に現れた。

そして目的地に辿り着いたマロリー。リックや生存者達と合流する。
そこは盲学校だった。目の見えない人、見える人も含めて全員が楽しそうに生活していた。自分の担当医であるラッファムと再会したマロリーは、自分にも母性が芽生えていることに気が付き、ガールにオリンピア、ボーイにトムと名付けることを決めた。そして、自分たちの安全を守ってくれた鳥を、中庭(屋上付き)にいた鳥たちと合流させる。

感想

てっきり逃げ回る話かと思いきや、閉じこもる系の話でした。
人間関係の描写、裏切りと優しさのバランスが絶妙でしたね。オリンピアやトムだけではなく、ダグラスの見せ場の良かったです。原作を読んでみたくなりました。