第9話 崩れゆく街
ニューヨークを守り抜こうとするフェラルド市議だったが警官たちの反発に遭い、立場を失ってしまう。同じ頃、ガスとエンジェルは街から脱出してエンジェルの故郷へ向かおうとしていたが、街を出ようとする車の渋滞に行く手を阻まれることに。一方、荷の行方を探るために動き始めたパーマーは糸口をつかもうとしていた。
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ネタバレ
ブルックリン
カドマンプラザ東165
ニューヨーク特別司令室
ジェラルドはかなり疲弊している。部下からも噴出する。全員撤退しないと死ぬという部下もいるが、彼女は引かない。彼女やフランク、数名の部下を残して、多くの者がまだ安全な街へと移動するためにニューヨークを去るようだ。
マンハッタン 西32丁目
車イスにスキンヘッドの男・ボブが、自宅でネクタイを締めている。だが、彼の家にパーマーがいたことで、大変驚かされる。元気そうなパーマーだが、デサイがボブに「パーマーから全権を引き継いだ」と言っていたとしって表情を変える。彼はこのボブを信頼しており、積み荷の行方を追っていると頼む。ボブはすぐにそれを調べると言い、「デサイは逃げきれると思ったんでしょうか」と言う。
「逃がさんよ」
1962年
マンハッタン
5番街765
ある男のもとを突然訪れる若かりし頃のパーマー。彼はある企業の社長の愛人の息子（私生児）なのようだ。腎臓を切ったばかりのパーマーは既に杖をついている。彼は手紙を送っても返事がなく、母の葬式に花も贈らなかった男― 父の会社で働きたいと告げるが、断られてしまう。そして1万ドルの小切手を渡され、縁を切られる。
マンハッタン
コロンブス街と西72丁目の角
エンジェルとガスは、エンジェルの故郷の島を目指している（シーズン2で出てきた料理店の一家はどうなったのだろうか？）。彼らの運転する車の横を何台ものパトカーが猛スピードで突っ切っていくが、彼らも逃亡しているのだと知り、2人は絶望を深める。
エフのシャワーをガスマスク姿で覗くダッチ。驚くエフだが、そのまま彼女を引き込んでキスする。
そこに、ヴァシリーがエフたちを訪れてくる。彼は安全地帯が縮小したせいで、今エフとダッチがいるヴァシリーの家も危険地帯に入ること、警察が撤退したことなどを知らせに来る。おまけにクインランも騒動で行方不明になっている。
石棺は完成したものの、クインランがいなければ計画はうまくいかない。
ヴァシリーは通信系統の実験を続けようとするエフに反対し、ダッチだけでも逃がそうとする。だが、ダッチもあと少しだと彼に反抗する。ダッチに「幸せになってくれよ」と告げ、ヴァシリーは立ち去る。
マンハッタン
セントラルパークの地下
エフとダッチは、感知者を探すためにセントラルパークの地下にいる。エフはダッチに感謝している。彼女だけが彼に協力しているからだ。
感知者を引きつける2人。なんとか捕獲する。
その後、感知者を解剖する2人。感知者は脳の通信機能をつかさどる部位が大きいので、彼らが考えている実験には最適だ。しかも、マスターの“声”を使えば、彼らをかく乱できるかもしれない。
マンハッタン西54丁目
アイヒホルストはまだオクシド・ルーメンを調べ続けている。彼のところにもクインランは戻ってきていない。ヴァシリーが代わりに戻ってくる。
実のところ、ヴァシリーはクインランを探しにエフのところに行ったらしい。
アイヒホルストは大惨事の前に起きる「星食」についての記述が、やけに細かすぎることが気になっている。だが、それは「日食」ではない。ここは退却するしかないというヴァシリー。生きていつか反撃しようというが、エイブラハムはもう時間がない（残された時間が僅か）と言う。だから、彼は退かないというのだ。
マンハッタン
西ハウストンストリートとヴァリックストリートの角
街から脱出しようとする車が、渋滞を起こしている。とりあえずUターンするガスたち。
ジェラルドのもとに残った警官は5人だけだ。市長は現状を思う存分嘆く。対岸のジャージーシティには物資もあり、安全区域もある。ジェラルドの気持ちもくじけそうになっているのだ。部下を殺すことにもつながりかねないだろう。覚悟を決めて、彼らは出ていくことを選ぶ。
マンハッタン ハドソン街701
ダンカンとパーマーは積み荷のある建物付近にいる。パーマーを車に残し、荷物を確保しに建物内に踏み込んでいくダンカン。あっという間にデサイは頭に銃を突きつけられている。
媚びるデサイを殴りつけ、パーマーは積み荷を開けさせる。
1992年
ニューヨーク アービントン
パーマーは施設にいるっ父・オニールのもとを訪れる。それまで笑っていたのに、急に顔をこわばらせるオニール。彼は父に感謝の意を示しにきたのだ。父の小切手を元手に、株で資産を増やし続けた彼は立派な実業家になっている。そして、彼は父に1万ドルの小切手を返しに来たのだ。しかしオニールは、その小切手をちぎってパーマーのポケットに入れる。
「地獄へ落ちろ」
オニールを呼び止め、オニール工業を買収したと告げるパーマー。会社の幹部を解雇して工場を閉鎖し、会社の名前をストーンハートと変えると宣言する。
だが父は息子を、自分に復讐するために人生を棒に振ったのかと嘲笑する。病気がちな息子を「自分よりも老けて見える」と笑い、お前の墓の上で踊ってやるとまで言う。パーマーはそのまま立ち去る。
積み荷を開けているパーマー。そこには、トランクが入っている。デサイにそれを開けさせるパーマーだが、なんとそれは核爆弾だった。しかも、1つなくなっている。サウスマンハッタンでの昨日の爆発は、おそらくそれだろう。核爆弾を持ち去り、デサイをも連れて立ち去る彼。
マンハッタン
178丁目
ジェラルドを乗せた車は、渋滞の最後尾に到着する。だが、そこには人気がない。調査に行く部下たちと見張りをしていた部下が同時にやられ、ジェラルドは窮地に追い込まれる。そこにたまたま通りかかったエンジェルとガスだが、エンジェルは彼らを助けようとする。ガスは見捨てるべきだというが、エンジェルに従うしかない。あっという間に、ジェラルドやフランクたちを助けるガスたち。ストリゴイは川を越えられないから、一定のところまでいけば逃げられると彼らに教えて、一緒に逃げる。
しばらくは静かだが、ストリゴイたちは車の下に隠れており、また部下がやられる。
エンジェルとガスは猛攻撃から逃げようとするが、エンジェルが脚を噛まれてしまう。感染してしまった彼はガスのために壁になると言い出す。ガスはそれを嫌がり、一緒に逃げようと主張する。だが、ガスを逃がすエンジェル。彼は雄々しく戦い続ける。
フランクもストリゴイに噛まれてしまった。ジェラルドも目に虫が入り込み、感染してしまう。彼女も戦い続けている。だが、弾切れだ。
車の上にいるエンジェルは、ガスに向かって十字架を掲げる。それはかつて、彼がプロレスラーのスターとして活躍した時の姿に重なる。その瞬間、車から漏れたガソリンに引火して、ジェラルドとフランク、そしてエンジェルも火に包まれる。ガスはそれを遠くから見つめている。
エフとダッチは、感知者の脳からマスターの“声”を飛ばし、ストリゴイの動きを無効化しようとする。外に機械を持ちだしている彼らだが、それはうまくいく。ストリゴイは音を聞いて動かなくなり、容易に殺すことができる。喜ぶダッチにキスするエフ。
エフとダッチは、エイブラハムとヴァシリーにこのことを報告する。通信が遮断されているので、このこともマスターにはバレていない。さらに、マスター自身にも効果があるかもしれないのだ。
だが、ヴァシリーはこの計画にエフが加わることに賛成しない。まだオクシド・ルーメンのことを怒っているヴァシリー。エフのせいで皆が不幸になるというヴァシリーに、エフはヴァシリーのセントラルパークの不手際のせいで警官が半分近く死んだと罵る。喧嘩になりかける2人だが、それではマスターの思うつぼだと喧嘩を止めるエイブラハム。だが、そこに突然クインランが現れる。そして、長老たちが死んだことを告げる。驚くエイブラハム。
パーマーは自宅に戻ってくる。彼はアイヒホルストを待つつもりのようだ。
2002年
パリ オルセー美術館
美術館でアイヒホルストと再会するパーマー。一度は彼の協力を拒んだが、アイヒホルストとマスターのために私財をなげうつことを決めたのだ。健康体を手に入れたいと願っているパーマーをうまくおだてるアイヒホルスト。彼はパーマーとマスターは「対等なパートナー」であると強調し、マスターと自分たちは彼を裏切らないと言う。
だが、現在。アイヒホルストは怒り狂ってパーマーの前に現れる。彼はマスターがまた自分の前に姿を現すことを願うが、アイヒホルストは点滴台を倒して彼を脅す。アイヒホルストは彼を殺し、寄生虫を体に入れてパーマーの記憶を読み取り、核爆弾の在処を調べてから殺すと明言する。だが、パーマーはひざ掛けの下に隠していた銃で彼を撃ち、隠れていた部下のダンカンたちも加勢する。ボロボロになりながら、エレベーターの扉をこじあけ、落下していくアイヒホルスト。
そして、パーマーはエイブラハムに会うために出かけると宣言する。
感想
・パーマーの過去回。彼もいろいろつらいことがあったんですね。病弱な肉体というハンデだけでなく、愛人の息子で母も早くに亡くしていたことがわかります。
・この回でエンジェルとジェラルドが死亡。エンジェルは結構重要な役なのに、HPの相関図に乗ってないからそうかと思っていたのですが……ガスは単独行動になったのでしょうか？
・またもや最終対決が迫ります。エフとヴァシリーの仲は険悪になっており、これでうまくいくのか？ザックとケリーは？と、最終回は視聴者の予想をはるかに上回る超展開が待っております！