「ストレイン」シーズン3・第4話『消えた司令塔』のネタバレ

ストレインS3

第4話 消えた司令塔

ボリバルの姿をしたマスターの首をはねたクインランだったが、なぜか伝説と違い、命を落とすことはなかった。勝利を確信して喜ぶフェットをよそに、セトラキアンは不安を拭いきれずにいた。一方、クインランと共に「ルーメン」を盗んだことを白状し、フェットたちの怒りを買ったエフの前には、懐かしい人物が姿を現す。
http://video.foxjapan.com/tv/strain/s3/episode/index.html

ネタバレ

ブルックリン
カドマンプラザ東165
ニューヨーク特別司令室

取材に対応しているフェラルド議員。取材陣はストリゴイとの戦いの現状についてインタビューする。フェラルドは人間側が優勢だと嘘のコメントを出すが、インタビュアーの女性はそれが嘘であり、囚人たちが徴兵されて掃討に関わっているはずだと指摘する。フェラルドはそれを聞いて驚く(彼女も知らなかったことが後でわかる)。
インタビュアー曰く、囚人たちは罪の重さに関わらず徴兵され(外出禁止令を破っただけで逮捕された16歳の少年もいる)、ストリゴイを一掃するように強いられている。生きて戻ってくるものは僅か。フェラルドは取材内容の無礼さに怒り出して離席する。
「ニューヨークの崩壊を記録しているんです」
インタビュアーはフェアルドにその真意について尋ねられ、断言する。

マンハッタン
西54丁目

クインランの手当てをしているエフ。彼は死ななかった。計画は失敗したのだ。エフはマスターが死ねばクインランも死ぬという言い伝えに疑問を感じつつも、その回復力にも驚いている。そして、ザックを取り戻せなかったことに対して、エフはクインランに嫌味を言い続ける。彼の望みは叶わなかったのだ。

取り戻したオクシド・ルーメンを眺めながら、そわそわしているエイブラハム。祝杯を上げようとするヴァシリーだが、エイブラハムはそれどころではない。彼は喜んではいるが、まだやるべきことが残っていると言う。ヴァシリーはそれでも強引に酒を勧める。
「で、どうなる。この後は」
マスターの支配から解き放たれたストリゴイは好き放題動き出し、凶暴化すると推測するエイブラハム。ヴァシリーはどんどんストリゴイの首をはねようと楽しそうだ。
エフも部屋に入ってきて、ヴァシリーが誘う前に酒に手を伸ばす。
クインランが助かりそうだと告げるエフに、「なぜ、エフがあの現場にいたのか」を尋ねるヴァシリー。エフはケリーに持ち掛けられた取引について話、ザックを取り戻すために本を盗んだと白状する。エイブラハムはもちろん、ヴァシリーも、自分たちを裏切ってクインランと手を組んだエフに対して怒りをにじませる。ヴァシリーはノーラの死を利用して、本を盗みに来たのかとエフを罵る。エイブラハムもエフを卑劣だと非難する。

だが、逆ギレするエフ。そもそも相談してくれなかったことを怒るエイブラハムだが、ザックが生きている保証がもうどこにもないことから、エフは自暴自棄になっているようだ。
ザックのことを残念だと言いつつ、「出てってくれ。今、君の顔は見たくない」と言うエイブラハム。

エフは荷物をまとめて、車に乗り込む。だが、その背後に何かがいる。ストリゴイだ。
エフはまるで復讐するように、何度もストリゴイに銃弾を浴びせる。

ブルックリン
レッドフック
リチャーズストリート

ベッドサイドに飾られている、かつてのケリーとザックの写真。酒を飲んで眠っているエフ。ドアを叩く音で目が覚め、彼は扉を開ける。そこに立っていたのはダッチだった。
「トイレ貸して」
ゴミのような臭いをさせているダッチに顔をしかめるエフ。ダッチは立ち寄った風を装いながら、トイレを使う。ダッチもかなり酒を飲んでいたようだ。お互いに酒臭いことに笑ってしまう2人。ダッチもどうやら、エフ以外の人(というより、気まずい別れ方をしたヴァシリーと)と会いたくなかったようだ。
ダッチは具合が悪いようだ。ストリゴイにやられたわけではないようだが、「酒浸り病」と言う。そのままダッチは倒れ込んでしまい、その姿を見てエフは久しぶりに微笑む。
「どうぞ、歓迎するよ」

ベッドに寝ているザック。何か変な物音がして、彼は驚く。扉の向こうには、マスターの支配から解き放たれた獣のようなストリゴイがいたのだ。彼はザックの声を聞いて鍵を壊し、中に侵入する。母の名を呼ぶが、ケリーは来ない。
しかし次の瞬間、現れた母はストリゴイの首を折ってしまう。
不安がるザックに「状況下は変わった」「必ず守る、ママがついている」というケリー。だが、ザックの血を飲みたいという渇きには抗えず、息子に噛みつこうとする。
だが、そこに苛立っているアイヒホルストが登場して、ケリーは渇きを抑えつける。アイヒホルストも「この子は安全でなきゃならん」と断言し、ケリーもおかしくなっていないかを確認する。アイヒホルストは計画が狂ったことに怒っている。
「どうすればいい?」
「行動すればいい。反撃してやるのだ」

手術台の上で目覚めるクインラン。エイブラハムはそれを見ながらお茶を飲んでいる。
「まだ、この世か?それともここは地獄か?」
「いや、煉獄だ」
クインランに何があったか尋ねるエイブラハム。殺し方が不十分だったのか?それとも、マスターが死ねばクインランも死ぬという想定が誤っていたのだろうか?
とりあえず現在、ストリゴイは街を彷徨ってはいるが、統率はとれていない。いい手応えなのだろうが、どうにもおかしい。この現状(クインランが生きていること、あまりにも呆気なさすぎるマスターの死に)に、2人とも納得できないのだ。答えを得るためにできることはひとつしかない、というクインラン。

マンハッタン
ウエストビレッジ
カーマインストリート高校

朝。並べられたマットレスに寝させられている囚人たちは、無理やり起こされている。囚人たちを殴ったり蹴ったりしている看守(本職は警察官なのだろうか?)たち。ガスとエンジェルはそれを苦々しく見ている。
ガスは高圧的な看守のリーダーを殴ろうとするが、冷静なエンジェルに止められる。エンジェルのポケットの中を改める女看守だが、彼はポケットにハサミなどを入れていた(銀製なのか、護身用らしい)。特に見咎められず、すぐに彼らは出発することになる。5人チームを組まされたガスたちだが、仲間になった他の男たちになんでここにいるのかを尋ねる。
黒人の2人は腹が減って外出禁止令を破ったせいで、スーツを着た白人男性はオフィスに私物を取りに行ったところ、立ち入り禁止だったことに気付かず入ってしまったせいで逮捕されたのだという。

車に乗っているフェラルドは、担当の警部に囚人を徴兵していることを責め立てる。フェラルドは「刑務所にいるクズを有効活用している」と言う警部を怒鳴り、現地を視察するために彼を車に乗せる。

地下道のストリゴイを一掃する役割を与えられたガスやエンジェルたちには、武器が渡される。彼らに与えられているのは、釘バット(しかも数本の釘しかついていない)や棒にくくられた包丁だ。反抗的なガスに、看守のリーダーが目をつける。地下道の一掃作戦に協力しなければ射殺するというリーダーに、冷静にガスは「自分ならこの装備だけでも生き残れるが、他の人間は無理だ」と断言。準備が足らないと言い放つ。

ガスたちは地下に入っていく。恐る恐る進む彼ら。自然とガスがリーダーになり、進んでいく。と、ストリゴイがエンジェルを襲う!それを助けてすぐにとどめを刺すガスだが、まだまだストリゴイは現れる。だが、怯えるスーツの白人男はすぐにストリゴイにやられ、そのまま血を吸われてしまう。そのストリゴイを殺すガス。だが、逃げ出した黒人の2人組も襲われたようだ。
大量のストリゴイが湧き、ガスたちも逃げるしかできない。

戻ってきたガスは、ストリゴイの動きにまとまりがなく、統率が取れていないことを見抜いている。それを看守のリーダーに報告するガス。集団で行動していない、と断言するガスの言葉を看守たちはスルーする。
だが、そこにフェラルド議員が現れる。彼女は囚人と話がしたいと言い、ガスが近付く。運営についての意見を求められ、「見ればわかるだろ」と言うガス。そこには明らかに劣悪な環境しかない。
「ええ、そうね」
少し悲しい表情をするフェラルド。
「もう結構よ」
フェラルドは警部に言う。
「なんてこと。私たち、ここまで落ちたの」
議員は立ち去り、警部も後を追う。

アイヒホルストはストリゴイ達を集めて、話をしようとしているが、イマイチまとまりに欠けている。彼らには集中力がない。数人のストリゴイに重要な任務を与えるというアイヒホルスト。任務を達成したら70人分の汚れない血を与えるというが、ストリゴイはぼんやりしていて話を聞いていないように見える。フェラルド議員の元部下のストリゴイ2人が集められているところを見ると、彼女に関係していることのようだ。アイヒホルストは歌うように語る。
「諸君 もう一度 あの突破口へ 
平時において紳士には 節度と謙虚さが求められる
だが戦いを告げる音が響いたら
トラのように振る舞うのだ」
ストリゴイの1人を手術台に乗せ、腹を裂くアイヒホルスト。寄生虫が零れ落ちる。
「穏やかな心を恐ろしい怒りで覆い隠し
目をらんらんと輝かせろ
銃眼からのぞく大砲のように目を突き出せ
筋肉を強靭にし 奮い立て」
C4爆弾を、男の腹の中に埋め込む。
「士気なき者の手本となり 戦い方を示すのだ」

本部でフェラルドにマスターを殺したと説明しているヴァシリー。彼はマスターを失った今こそストリゴイを一掃するチャンスだといい、人員を全て投じるべきだとまで言い切る。

その頃、エフはダッチと2人でいた。ダッチはエフに眠れないと告白する。アイヒホルストに監禁されたことが、彼女の大きなトラウマになっているのだ。彼女に薬を渡すエフ。
ここで初めてノーラが死んだことを知り、悲しむダッチ。さらにマスターが死んだことも知るが、彼女は誰よりもザックの身を案じている。エフはザックのことは諦めかけている。
「根拠のない希望はもたない」
とザックの死をほぼ確信しているエフ。ダッチはエフに同情的だ。
と、テーザー銃(先端が飛び出し、相手の体に刺さって電流を流す銃)を見て興奮するダッチ。ストリゴイにも筋肉を収縮させて効果をもたらすため、10秒ぐらいは動きを封じられるだろうというエフに、「私にぴったり」とその銃をもらう気満々だ。これからどうするか聞かれ、ノープランだというエフは、また酒を勧める。
「つらい時にそばにいられなくてごめん」と謝るダッチは、エフを気遣うただ1人の人物になっている。

長老たちのもとを訪れているクインランとエイブラハム。彼はマスターの死を伝える。だが、ラーは「マスターは人の形を失っただけで、まだ存在している」と長老の言葉を翻訳して伝える。マスターは生きていて、次の体を探している。
そんな話をしながらも、長老たちは本を盗んだエイブラハムに対して警戒心をむき出しにしている。
エイブラハムはマスターの首から這い出した「赤い虫」の話を始める。深紅の虫を逃がしたなら、マスターを殺したことにはならないと断言するラー。彼はにやつきながら、次の肉体をマスターが見つけたなら、彼は力を取り戻すだろうと告げる。
クインランは赤い虫について告げなかった長老たちに怒りをぶつける。だが、自ら怒りを鎮めて剣を下ろす。クインランは自分が命を懸けてマスターと戦ったのに、長老たちは抜け殻のように座り込んで終わりを待っているだけだと罵る。
「この姿を目に焼き付けておけ。二度と拝めない」
彼は長老たちと断絶することを宣言して去っていく。

本部に戻ってくるフェラルドの元部下のストリゴイたち。彼らは普通の人間のように振る舞って入口をすり抜け、中に入る。ヴァシリーやフェラルドはまだ話を続けており、そこに男性警官のストリゴイが忍び寄っていく。それを上から見ている、女性スタッフの姿をしたストリゴイ。2人は次々に自爆し、大量の虫が肉片と共に飛び散る。多くのスタッフがそれを浴び、阿鼻叫喚の光景が繰り広げられる。フェラルドの目にも虫が入り込むが、ヴァシリーが紫外線ライトを浴びせて皮膚の上から焼く。
「グッドウェザー博士を呼べ!」

現場に到着したエフとダッチは、その惨状に顔を見合わせる。ヴァシリーを久しぶりに再会するダッチ。ダッチが着ている服が自分のものだと気が付くヴァシリーだが、彼女は今エフと一緒にいると告げる。今エフがいる家は、もともとはヴァシリーの家だったのだが、現在はエフしか住んでいない。
ヴァシリーは彼女に尋ねる。
「いつから奴の相棒に?」
「仲間が消えてから」
彼女の恋人だったニッキー(※ダッチはバイセクシャルで、元恋人は女性)の存在について尋ねるヴァシリー(少し嫉妬しているように見える)だが、彼女はニッキーが母と街を出て行ったこと、既に彼女との関係は終わっていることを告げる。ヴァシリーは今別の場所に住んでいるが、自分の家をエフに貸していることについて「愛情が少なければ失う悲しみも少ない」と口走ってしまう。気まずい雰囲気。
ダッチはエフと共に、彼の家を少し借りていていいかと尋ねる。承諾するヴァシリー。

感染したかもしれないフェラルドの具合をチェックしているエフ。ヴァシリーの処理はうまくいったようだが、あと2時間すれば本当に感染しているのかどうかがわかると告げる。だが、フェラルドは目に虫が入って助かった人数についてエフに尋ね、彼はゼロと答える。動揺するフェラルド。1人になった彼女は泣き出す。

エフとヴァシリーも顔を合わせるが、やはり気まずい。しかしエフは「あんたが(議員と)一緒でよかった(正しい処置ができた)」と言う。
他のエリアでも自爆テロが起きていると聞き、司令塔は生きていることを知るエフたち。ヴァシリーはクインランとエフがしたことが無駄だったと言い捨てる。

エフはフェラルドのもとに戻ってくる。彼女は突然、911のテロで夫を亡くしたことを語り始める。彼女は期待も希望も裏切られた当時のことを思い出し、あれも地獄だったと語る。そして、覚悟を決めて検査を受ける。
エフは彼女の肌に紫外線ライトを当てる。フェラルドは自分の死に場所をどこにするかをひとりで語り続ける。彼女は自分の家の裏庭で死ぬと決めたと告げるが、エフは「問題ない(感染していない)」ことを告げる。フェラルドは喜びのあまり、エフの頬にキスする。
彼女は雑念が消えたと告げ、エフは「よかった」と一言だけ告げて出て行く。
そして彼女の部下のフランクが部屋に入ってくるが、フェラルドは「ある人に会いに行く」と告げる。

エフとダッチは拠点に戻っている。ダッチはフェラルドが無事だったことに興奮している。
ダッチは外出して食料と酒を探そうとエフを誘い、彼も誘いに乗る。

マンハッタン
74丁目と1番街の角

フェラルドはある場所を訪れている。彼女は冒頭のインタビュアーのベラのもとを訪れたのだ。爆発事件があったのに、まだインタビューを報道しようとする彼女を責めるフェラルド。あのインタビューは彼女のエゴを満たすためだけの行為であり、皆が死ぬ確率が高まるだけだと告げる。だが、ベラはフェラルドに屈しない。するとフェラルドは機材を押収するよう命令し、ベラは逮捕されてしまう。
「恥を知りなさい!」
「これが適正な手続きよ」

酒を探しに行くため、車に乗り込むダッチとエフ。ただ、ダッチは暗がりを恐れているように見える。と、タクシーの後部座席からストリゴイが現れる!慌てて車を飛び出すダッチ。外に出たストリゴイは、エフのいる運転席に飛びかかる。だが、ダッチはテーザー銃でストリゴイを撃つ。一瞬倒れたストリゴイだが、それはマスターの声で話し始める。
「グッドウェザー、お前は失敗した。息子のことを聞きたいくせに、知るのが怖いんだろ」
ザックの居場所を尋ねるエフ。
「私と共にいる。常に私と共に」
変成したのかどうかについては返答しないマスターに焦れ、エフはストリゴイをまた撃ってしまう。ダッチはエフを見つめ、彼もダッチを見つめる。

感想

・マスターが死んだと思っていたら、生きていた!まあ、みんなが知っていた展開ですよね……。そしてフェラルドが主人公の回。爆散シーンは本当に気持ちが悪いですし、今までは比較的善人だったフェラルドの悪い面を見られる回でもあります。
・久しぶりにダッチが登場(4話まで登場シーンなし)。今シーズンは相性の悪かったエフとダッチがコンビを組むことになります。ヴァシリーとエイブラハム、ダッチとエフ。彼らはそれぞれ、ストリゴイ殲滅を目指して行動を起こすのですが……!
・女性らしいキャラクターがいない(ケリーは吸血鬼だし、ノーラは死んでしまったし、フェラルドは悩めるリーダーだし)ですが、ダッチは強くて男勝りなのに意外と繊細で優しいということを裏付けるシーンが増えて、激しさを増すストーリーのなかであたたかみのある演技を見せてくれています。