「ストレイン」シーズン3・第3話『宿命』のネタバレ

ストレインS3

第3話 宿命

「オクシド・ルーメン」を盗まれたセトラキアンとフェットは、ザ・ボーンが犯人だとにらみ、その行方を追うことに。そして「ルーメン」を前に苦悩するエフは、ザ・ボーンから意外な事実を聞く。それはザ・ボーンの過去につながるものだった。一方、ストリゴイとなった母親を守り続けるガスの元にはある人物が現れる。
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ネタバレ

ザックの出産時。ケリーは必死にいきんでいるが、施術されることになる(帝王切開なのかはよくわからない)。自然分娩を望む彼女だが、それは叶わなかった。ケリーはがっかりする。
「完璧にしたかったのに」
「完璧じゃないか。あんまり自分のことを責めるなよ」
生まれてきた子供を見て、医師や看護師たちが絶句している。大網膜に包まれていたのだ。その赤ちゃんは、まるで肉のさなぎのように見える。それを「ラッキーな証」と断言した女医師は大網膜からザックを取り出し、夫婦は喜んでハグし合う。

ザックは先ほどの光景(母が少年の血を飲んでいた光景)にショックを受けている。血を吸われていた少年を「救われた」と表現する母に困惑するザックだが、飲まされた白い液体の正体を母に尋ねる。母は白い血のすばらしさや、マスターの偉大さを語り続ける。そして、彼女はいつかザックにもそれがわかると言いながら、彼の髪の毛を撫で続ける。

拠点であるホテルに戻って食事をつまもうとしていたヴァシリーだが、エイブラハムに呼ばれて駆けつける。オクシド・ルーメンが盗まれていた。2人はクインランの仕業だと推測するが、もともと彼を信用していなかったヴァシリーはストリゴイが触れない銀の装丁の中にGPSを仕掛けていたと告白する。2人はGPSで彼の行方を追跡することにする。

ブルックリン
レッドフック
リチャーズストリート

オクシド・ルーメンを眺めているエフ。彼は息子のために人類の未来を売り渡そうとしているのかと悩んでいる。そんなエフを「人間らしい」と言うクインラン。クインランはエフが息子への愛情のためだけに悩んでいるだけでなく、妻への憎しみや復讐心も複雑に絡んでいると推測する。自分の中の真実を見逃してはいけないとクインランは語る。どちらにせよ、オクシド・ルーメンをマスターは喉から手が出るほど欲しがっているし、本は2人の希望なのだ。
「君は息子を取り返し、私は父を殺す」
エフはその言葉に驚く。

西暦58年
ローマの田舎

夜の市場の見世物小屋。「ヒル男」と名付けられたストリゴイ(クインラン)がそこにいる。ある女性が、その檻を覗き込む。「食事しているところが見たいの」。ヤギが連れてこられる。
「私はアンカリア、あなたをずっと探していたの」
驚くクインラン。だが、次の瞬間、ヤギを口から出した触手で殺す。
「あなたは祝福されし者。闇の者から生まれた王子よ」
女性はクインランを引き取るといい、それを飼い主は訝しがる。だが、彼女はクインランが半分は人間、半分は「ストリックス」(当時のヴァンパイアか?)だと言う。

彼女のテントに連れてこられたクインラン。名前を聞かれ、「クイントゥス」と答える。
「名前の由来は“5番目のインヴィクトゥス”」というアンカレア。
彼女はクイントゥスこそ「倒されることのない無敵の存在」であり、「7番目のストリックスであるマスターの子」だと彼に伝える。そして、彼の顔にはめ込まれていた口輪を取り除く。

彼はマスターの特徴を継いでいると言いながら、アンカリアは「ただ、角のあるものが悪魔とは限らない」と続ける。クイントゥスの渇きを本能だと認め、彼はマスターの予言を成すための存在だというのだ。

「マスターがあなたを探している。私とここに隠れていましょう、予言を果たす力がつくまで。あなたはたたえられる。偉業を成すために生まれた存在。あなただけが災いからこの世を救える、救世主なのよ」

ハーレム
東115丁目

ニューヨークの空を、ヘリが飛んでいく。
ガスはやはり自分の血を抜いている。彼はもうフラフラだが、それでも母のために血を抜いているのだ。血を吸っている合間に、ストリゴイとなった母に加工したバイクヘルメットを被せて触手が出せないようにするガス。それでも母は暴れまくっている。
そこに、ガスの友人のエンジェルが訪ねてきた声がする。彼は「今は手が離せないから後で連絡する」と言うが、そのまま倒れてしまう。エンジェルは扉を破って中に入ってくる。ガスを助け起こすエンジェルだが、彼の母親の姿を見て、絶句する。

車で移動しているエフとクインラン。エフは彼に、クインランとマスターがどうして親子関係にあると言えるのかを尋ねる。ストリゴイには生殖器がないからだ。クインランは当初答えようとしないが、しぶしぶ答える。

彼はもともと人間として生まれてくるはずだったが、妊娠中の母がマスターに噛まれ感染したのだ。実は、伝説によるとストリゴイは妊婦を噛んではいけないという。赤ん坊はストリゴイの特徴は受け継いで生まれてくるものの、それを移す力は持っておらず、むしろストリゴイの脅威になるとされている(ストリゴイを脅かす存在になる)。
マスターは途中で妊婦を噛んだことに気が付いたが、なぜか母を殺さなかった。そのため、クインランは生まれつきの化け物として生き続けてきたのだ。
クインランはマスターに「自滅の種」を埋め込まれているという(それが具体的に何かは明かされない)。つまり、マスターを殺せば、クインランも死ぬ。クインランは、自分の死は仕方のないことだと諦めており、「伝説(本当のことではない)かも」というエフの言葉を全否定する。エフは口をつぐむことしかできない。

西暦60年
ローマの田舎

テントに黒いマントの男が近付く。クインランだ。彼はテントのまわりを見渡し、それから中に入る。それを追うように森の陰から、ストリゴイたちが何人も出てきてテントの中に入り込む。入ってきたストリゴイたちを次々殺めるクインラン。その強さは圧倒的だ。テントの陰にいるアンカリアは怯えている。
マスターに居場所がバレたと判断する彼女。彼女は逃げるべきだと言うが、クインランは戦おうとする。だが、アンカリアはマスターは強大すぎる、戦うには時期尚早だと彼に告げる。

雪山を歩んで逃亡する2人。夜、眠っているアンカリアのそばで見張りをするクインラン。
だが、そこにマスターや配下のストリゴイ達が現れる。
「お前はインヴィクトゥスだ」
クインランはマスターに銀の刀を向ける。
「私はクイントゥスだ」
「お前の振る舞いは、まるで人間だ」
「私はお前を破壊する使者」
クインランを止めるアンカリア(マスターの言葉から、彼女が女ハンターだったことがわかる。彼女はマスターを倒すため、クインランを育てていたようだ。そのわりには戦力にならないのだが……)。
戦おうとするクインランだが、
「渇きがお前の本当の姿を見せてくれる」
と言い捨てたマスターは、アンカリアとクインランを洞穴の中に閉じ込めてしまい、そのまま去っていく。

ストリゴイとなった母を部屋に隠していたガスを叱っているエンジェル。ガスはストリゴイが自分の母であることを明かす。エンジェルはこのままではガスは死ぬと説得するが、ガスは母をストリゴイのままでもいいから、生き永らえさせたいと考えている。
だが、エンジェルはやはりガスの母を殺すべきだと思っている。フラフラのガスは、母親から殺されなくとも外に出てストリゴイに襲われたら死んでしまうだろう。母がまだあの中(肉体の中)にいると抵抗するガスだが、「苦しんでるぞ、見てみろ」とエンジェルは言う。

母を殺そうとするエンジェルを止めようとするガス。2人はもみ合いになるが、そこに自警団らしき男たちが乗った車がやってきて、建物から退去するようにと、通りから警告する。ガスは慌てて母を車イスに乗せて逃げようとするが、エンジェルは手を貸そうとしない。とはいえ、友人の窮地を目の当たりにすると、ブツブツ言いながらも手伝うエンジェル。見つかったら刑務所行きだ。
母を車イスに乗せてテープでグルグル巻きにし、毛布までかぶせるガス。エンジェルはやはりブツブツ文句を言っているが、「文句があるなら階段から出て行け」とガスに言われても、なんだかんだで手助けを続ける。
男たちを避けるように建物内を逃げ続けるガスとエンジェル。彼らの間をうまくすり抜けるが、結局建物の玄関で見つかってしまう。エンジェルとガスは車イスのテープを切り、ストリゴイの母は男の1人を襲う。次々と人が集まってきて、エンジェルとガスは取り押さえられてしまう。

荒らされた雑貨店の中に、静かに入っていくエフ。ゆっくりと進んでいく。
そこにアジア系のストリゴイが現れるも、彼の目が意味ありげに光る。マスターがストリゴイ越しにエフを見つけたのだ。なかなかの通信網だと褒めるエフ。エフはストリゴイの目の前にオクシド・ルーメンを出し、この本が欲しければこちらの出している条件を飲めと言う。
「条件を言う。おまえが取引に来い。ナチの執事じゃなく、お前だ。息子を連れてこい。この目で確かめたい。息子が人間のままかどうか。取引は日没直後に行う。場所はザックと僕がよく釣りをした場所だ。ケリーは知らない。連れてこなければ― 息子は死んだか変成したと見なし、本は渡さない」
ストリゴイをその場で殺し、通信を終わらせるクインラン。果たしてマスターは本当に現れるのか。クインランは確信している。
「マスターは現れるさ、それで充分だ」

洞穴の中。冷たい水がしたたり落ちている。アンカリアにその水を与えるクインラン。彼女は衰弱しきっている。アンカリアはマスターが戻って来た時、自分を守るための力、逃げるための力を持つためにも自分の血を飲めと提案する。
まだ、マスターを倒せるだけの力は彼にない。だからこそ、逃げるべきなのだ。
「マスターは愛を知らない。だから人々から愛を奪い、血と共に吸い尽くす。あなたが愛を感じるかはわからない。でも私は、愛してる。あなたを息子のように」
クインランは少し迷い、こう口にする。
「母さん」
「息子よ、どうかお願い。私は苦しいの」
ナイフに喉を当て、自ら裂くアンカリア。
「飲みなさい」
間髪を入れず、クインランはその血を吸い取る。

洞穴が開かれる。アンカリアの死体に優しく寄り添うクインラン。
マスターが現れ、彼のしたことに満足する。だが、クインランはマスターの命令など耳に入らない。
「私は2つの世界を行き来できる存在。光と、闇の世界を。お前は私を操れない。腹立たしいだろ。私のマスターには、決してなれない」
マスターに飛びかかるクインランだが、マスターの動きが早すぎて何も捉えられない。
「また会おう」
マスターは消えてしまう。

オクシド・ルーメンの後を追うヴァシリーとエイブラハム。オクシド・ルーメンは安全地帯を出ようとしている。そのエリアを出たら、もう無法地帯だ(ストリゴイたちが支配している)。エイブラハムは具合が悪そうで、ヴァシリーは心配している。クインランに追いつけても、彼から本を取り戻さなくてはいけない。彼は素早くて強くて、無敵の「ザ・ボーン」だ。
そこでヴァシリーは特製の対ストリゴイ手榴弾を取り出す。
エイブラハムはクインランが復讐のせいで目が曇っていると話す。それはエイブラハムも一度経験していることだ。彼が言うことを聞かないのなら、手榴弾で彼にわからせてやるつもりだ。

マンハッタン
ウエストビレッジ
カーマインストリート高校

ガスとエンジェルは高校の体育館に連れてこられている。そこには囚人服を着ている者たちがいる「檻」と化している。逮捕された2人はストリゴイの掃討チームに加えられることになる。非合法だとくってかかるガスだが、人手不足のため、掃討チームに無理矢理入れられてしまう。

車に乗っているヴァシリーとエイブラハム。本を持っている人物はボートに乗って湾に出たようだ。ヴァシリーとエイブラハムは想像もつかなうルートに困惑するが、ストリゴイは人間の助けがなければ流れる水の上を渡れないことから、協力者がいると気が付く。

ブルックリン
ブライトンビーチ
コニーアイランド

ボートにひとりで乗っているエフ。彼はボートから降り、目的地を目指して歩き続ける。既に日が暮れかかっている。だが、待っていても誰も現れない。
闇がビーチを包み込む。

そこにマスターとケリー、袋を被せられたザックらしい子ども、武装した護衛らしき男(ストリゴイのような外見ではなく、髪の毛があるので人間のように見える)の4人が現れる。
オクシド・ルーメンを掲げるエフ。ケリーとザックだけこちらに来させるように命じる。進んでいくケリーたち。マスターは何かを企んでいるように見える。

ザックの顔にかぶさっている袋をとると、それはやはりザックではなく、ストリゴイの少年だった。オクシド・ルーメンの銀の表紙を押し付け、少年の顔を焼くエフ。襲ってきたケリーの触手も、銀の表紙に触れて焼ける。ケリーの顔を何度も殴るエフ。
彼らは約束を破ったのだ。
「あの子は渡さない!」
ケリーは叫ぶ。だが、ケリーはエフが落としたオクシド・ルーメンを拾い上げ、マスターに渡してしまう。
エフは再度襲ってきた少年のストリゴイを銀の剣で殺す。ケリーはマスターに尋ねる。
「変成させますか」
「いや、苦しませておけ」
冷淡に返答するマスター。エフの剣は、少年の頭に食い込む。だが、次の瞬間、護衛らしきストリゴイ男が射殺される。クインランが二丁拳銃で現れたのだ。
「数千年にもわたった狩りが、ここで終わる。この遊園地で」
マスターと対峙するクインラン。

現地に到着したエイブラハムとヴァシリーは車を降り、銃声のしているほうに向かう。
と、そこには特殊部隊の男たちが見える。顔見知りだとヴァシリーが声をかけるが、それは変成したかつての仲間の姿だった。彼らはストリゴイとなり、マスターのしもべとなってしまったのだ。ヴァシリーは愕然とする。
特殊部隊のストリゴイたちはクインランを狙って撃ち続ける。
エイブラハムは、迷いを見せずに銀の手榴弾を投げ、クインランを守ることを選ぶ。

エイブラハムの投げた手榴弾は特殊部隊たちに命中し、ヴァシリーの続けて投げた手榴弾はマスターにダメージを与える(クインランはエイブラハムの声掛けがあり、とっさに伏せたため、ダメージは最小限で済んだ)。クインランはマスターに近付いていく。そしてそのまま、剣でマスターの首を落としてしまう。するとマスターと同時に、クインランも倒れてしまう。

マスターの首から零れ落ちた大きな赤い寄生虫だけが、地下への排水溝にくねり落ちていく。それを止められず、見ていることしかできないエイブラハム。ヴァシリーと顔を上げたエイブラハムは驚きながらも、そのまま顔を見合わせることしかできない。

感想

・二丁拳銃で現れるクインランがとにかくカッコイイ。実は彼にも、マスターに愛する人を殺されたという過去があったということがわかりましたが、何千年もさすらって身を隠してきたという過去はなんとも重い。よくよく考えれば、アイヒホルストよりも年上なのですが、見た目は20代~30代ぐらいの肉体に見えるので、年下に見えます。
・マスターは死んだ!でも、呆気なさすぎる……!
・エフはザックを取り戻すこともできず、ただオクシド・ルーメンは失うことなく済んだ。ケリーとエフの敵対はまだまだ続きそうです。