「のぞきめ」

nozokime

2015年の映画「のぞきめ」を見ました。
ホンットーに話題にならなかった(「劇場霊」と比べるのもアレかもしれませんが)うえ、レンタル開始時に平置きではなく、棚にムギュムギュ詰め込まれていてなんだかなぁと思いました。
「何かが覗いてくる」というテーマ自体はホラー映画で手垢がつきまくっているのですが(でも原作小説は怖いと思う)、これは都市伝説にも「覗く女」など含め“覗かれる”恐怖を描いた俗説が多いからかもしれない。
とりあえず、ホリプロ映画なのでホリプロ所属のタレントさんがいっぱい出てるよ。
・小さい女の子の幽霊がとにかく覗きまくる!
・ある村の恐ろしい風習がそこには隠されていた……!
ちなみに、CGはかなりいいです。

あらすじ

三津田信三の同名小説を板野友美主演で映画化したサスペンス・ホラー。謎の怪異“のぞきめ”が引き起こした怪事件の真相を追うヒロインを待ち受ける戦慄の恐怖を描く。共演は吉田鋼太郎。監督は「トリハダ」シリーズの三木康一郎。
ある日、一人の青年が異様な死に方で発見される。この怪死事件の取材に乗り出したテレビ局の新米AD三嶋彩乃。青年の恋人は“のぞきめの仕業だ”と泣き叫ぶ。彼らは大学のサークルで山奥に合宿に行き、以来ずっと何かに覗かれているという恐怖におののいていた。やがて他の関係者にものぞきめの悲劇が次々と起こり、その恐怖はついに彩乃にも襲いかかる。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353795

登場人物

彩乃:主人公。テレビ局勤務だが、昼の情報番組を担当している。新人AD。
信二:彩乃の恋人。彼女と結婚を考えている。小説家志望。

城戸:彩乃が最初に出会ったのぞきめの被害者。ねじれた死体で発見される。
和代:キドの恋人。彼と共にある峠を訪れたことが事件の発端となる。
※この人たちも原作に出てくるらしいっす

四十澤想一:原作にも出てくる社会学者。民俗学に詳しい。

ネタバレ

地面が動いている。呼吸をしているように。

ガムテープを大量購入している城戸。カズヨが心配して電話をかけても、彼はそれを無視して部屋中の隙間にガムテープを張り続けている。
だが、小さな箱の隙間から、子どもの目が覗いている。城戸は倒れるが、その彼に小さな手が降りてくる。マンションに絶叫が響く。

テレビ局では、彩乃が映像をチェックしてもらっている。新人ADの彼女だが、映像編集にダメ出しをされてムクれている。電話で彼氏にグチる彩乃。テレビの仕事に憧れていたが、今の状況は思っていたものとは違う。シンジはその日のデートを諦め、出していた指輪をしまう。彼は彩乃にプロポーズしようとしていたのだ。

残業している彩乃は、報道から頼まれて木戸が死んだ現場に取材に行く。ブルーシートがめくれ、彩乃がまわしているカメラがそれを捉える。
カズヨはひとりで怯えている。

シンジの家に行く彩乃(どうでもいいけど、シンジは車もちでデッカイ家に住んでいます。でも何している人なのか不明)。彼は小説家志望だ。

彩乃はマンションの非常階段で見つかった城戸の死体がねじれていたことを知る。彼は背骨が折れ、内臓が破裂していた。しかも、喉に泥が詰まって窒息していたのだ。

彩乃は事件現場に花を供えに行き、和代と出会う。城戸の部屋に入って話をする2人だが、彩乃が席を外した瞬間、彼女はキッチンシンクの排水溝の中から覗いている目に気が付く。そして、排水溝から泥が噴き出してくる(ここでなぜかスローモーションになる)。
和代は部屋から逃げ出していく。
戻った彩乃は、手についた泥に気が付く。

和代を捜しに彼女の大学まで行く彩乃。そこで、同級生たちに和代と城戸がサークル合宿に行き、2人が山奥の誰もいない村に迷い込んだという話を聞く。

彩乃は和代の家にまで行ってしまう(ちなみにママは東ちずるである)。彼女の部屋はガムテープで覆われていて、しかも目にもガムテープが張られている。

入院する彩乃。彼女は城戸と肝試しを兼ねて六部峠に行き、その後の記憶はない。ただ、鈴の音が聞こえていた。いつの間にか村に辿り着き、お堂から覗いていた目と目があってしまった。

信二と六部峠に行った2人。ペンションに泊まろうとするが、「六部峠に行くならここには泊まるな」と言われていまう(主人はつぶやきシロー)。
彼らは峠に到着するが、和代が撮影した村のあった場所には、湖がある。彩乃は湖に近付こうとするが、彼女は振り返った時、信二は「湖の方を向くな」と命じる。そのまま引き返そうという信二。彩乃の背後に、小さな少女が迫るのが見える。しかし、彩乃は振り返る。子供がそこにおり、突然彼女の目が大きくなって充血するのが見える!

帰宅した彩乃と信二。湖はダムだった。村は既にダムに沈んでいたのだ。

少女の瞳が突然異常にに大きく丸くなり、血走る。
(なお、瞳がアップになるたびに大きいSEが入るので、物理的に驚くことになります)
入院している和代は、その悪夢で驚く。

信二は、さらに村について調べている。村では、巡礼者を襲って殺していた過去があったようだ。

その話を本に残していた学者・四十澤に会いに行く彩乃と信二。彼は昔話を始める。

四十澤は昔、のぞきめの話について調べるために村を訪れていた。(なお、作家はやたらと眉毛が薄い。おじいちゃんになってどうしてあんなにもじゃもじゃになったのでしょうか)
彼が挨拶をした家は、かつて村にやってきた巡礼者たちを殺していた鞘落家だった。
のぞきめの伝承について、四十澤はその村で学んだという。

和代は病院で目を覚ますと、天井の通気口から泥が落ちてくる。そして、そこから目が覗いていることに気が付く。病院から走り出す和代だが、公園で躓き、転んだ地面には無数の目が浮かび上がる。そして、和代はたまたま彩乃と信二が運転する車にぶつかり、そのままトラックにもはねられてしまう。

彩乃は体調を崩す。信二の家に行くも、奇妙な気配を感じてキッチンシンクの下の棚を開ける彩乃。そこには、ぐちゃぐちゃになった和代の死体があり、彩乃の方を見ようとカッと目を見開く。驚く彩乃(そしてなぜかスローモーション)。
そこに、信二が帰ってくる。棚の扉は閉まっているし、死体はもちろんない。
しかし彩乃は信二も「覗かれている」ことに気が付く。

死体は必ず、ねじれた姿で見つかっている。“アレ”― つまり、少女の目を目撃してしまったから。和代が死んだ後から信二は、視線を感じ続けている。彼は彩乃を巻き込まないように部屋から追い出すが、自身がのぞきめの恐怖にさらされてしまう。
(ちなみに、ドアの向こう側から「うわぁ~」という声だけが聞こえてきます)

信二は精神病院に入院させられる(ヘッドギアも装着される)。
彩乃は真実を求めて、四十澤のところに駆けつける。四十澤は、まだ語っていなかったことを話し出す。

彼は、村に泊まったその日に鞘落家を覗きに行く、深夜、鞘落家の当主は熱心に何かを唱えている。この家の当主は、時たま不審死しているからだ。それはやはり、彼らのしていたことの報いなのだろうか。
夜中に、四十澤はおにぎりを持った女性が寺の中に入っていくのを見る。鈴の音が響く。彼は寺の中に入り、隠し扉を見つけて中にいる。そこには少女が隠蔽されていた。そして、その少女にそっくりの亡霊が四十澤を詩の世界に誘おうとするが、少女・たえがお守りを使って彼を助けてくれる。四十澤は彼女を助けて村を逃げ出す。

寺では、少女の幽霊(のぞきめ)を鎮めるため、身寄りのない少女などを寺の床下に幽閉していたのだ。たえを背負って、逃げる四十澤。
だが彼が少女を逃がしたことで、村中に祟りが蔓延し、村は滅びてしまった。その頃から、四十澤も視力を失ってしまう。彼は助かるために、自分の目を犠牲にしたのだ。四十澤がサングラスを外すと、その眼は落ちくぼんでいる。
「目を合わせれば呪われる」
なお、たえはその後肺炎で死亡してしまった。彩乃はどうすれば信二を助けられるのか?

信二は病院で、換気扇の向こうから見ている視線に気が付く。病室から逃げ出す信二だが、廊下に幽霊少女がいる。少女は上半身を180度ねじらせ、口から大量の泥を吐く。信二は夕食のトレイに乗っていた箸で目をついてしまう(なんでパニック状態で自殺しようとしている患者に箸が支給されたのかは謎)

病院にかけつける彩乃だが、信二の姿に呆然とする。そして彼女自身も、病院の中のポストから何かが覗いていることに気付く。
「どうしてこんなことするの!」
ポストから覗く目のアップ。彩乃のアップ。
(このババーン!って感じのアップが何とも言えない感じ)

四十澤のところにまた行く彩乃。彼からお守りを受け取る彩乃だが、四十澤の家のテーブルの上には、少女の幽霊が座っており、不気味に微笑んでいる。

六部峠に到着した彩乃は、少女の幽霊と対峙する。
「あなたの命を助けることはできない。その代わり、あなたの生きた証を残してあげる」
彼女は持って来たカメラを掲げるが、少女は目を異常に見開く。その恐ろしい表情に、彩乃はカメラを落としてしまう。

彩乃は、少女の記憶の中に入り込んでしまう。
・親切にされ、鞘落家に寺に案内される少女と親
・寺で寝ている親子だが、八墓村スタイルで片手にカマ、片手にオノを持って走ってくる鞘落家の当主
・助けを求めながらも、母は殺される。その母の死体こそ、体がねじれて殺されていた。村人たちは、少女が必死で叫んでもそれを黙ってみている。

ふと、彩乃は境内の土の下から手が這い出しているのが見える。その手に、お守りを握らせようとする彼女だが、少女の手に自身の手を掴まれてしまう!
「お母さま……」
少女の顔が土からもりっと出てくる。その顔は一瞬にして干からびてしまう。
「お母さま……」
「私はあんたのお母さんじゃない!」
彩乃は叫ぶが、土の中に引きずり込まれてしまう。

その後。信二は盲目の小説家として成功している。だが、彼は孤独だ。
家で執筆活動をしている信二。ふと、机の引き出しに隠していた彩乃へのプロポーズの指輪を取りだす。
「いつくれるの、それ……」
信二は戦慄する。
「いつくれるのぉ、それぇ……」
不気味な声が響く。信二の後ろには、のぞきめと化した彩乃が立っている。

感想

・のぞきめが地面にいっぱいあるCGとかは怖いのですが、小物入れの中から、とか、排水溝の下から、とかだんだん大喜利っぽくなってきてたのは面白かったっす。
そのうち「スカートの下から」とか「バームクーヘンの穴から」とか覗かれそう。
・テレビ局がやすっぽすぎて……あと、新人ADってこういう仕事してるかなぁ?とは思いました。デスクワークしかしてなかった。
・信二の家が立派だし、車も持ってるし、でも本業がなんなんだかよくわからない。
・登山ルックが軽装すぎて、山をなめるな感がすごい。
・のぞきめが目を見開くたびに、すごい音がして笑ってしまう。あと、その充血っぷりに「ロート子どもソフト」の目薬CMを思い出してしまう……。
・泥がやたらと登場するのは、埋められたせい(そしてその後、村がダムに沈んだせい?)なのでしょうか。にしても、つまりそうにないサラサラの泥!!
・四十澤先生の眼のくぼみが変。特殊メイクなんでしょうが、目の穴から耳毛みたいなのが生えているように見える。
・やたらとスローモーションが挿入される演出が気になる。泥が噴出したり、彩乃が驚いたりするシーンがゆっくりになるので、「なぜここで??」という気持ちになりました。
・会社のカメラを持ち出していいのか?
・そして役立たなかったカメラ……勝手に持ち出されて壊されたカメラ……
・八墓村のコスプレをしている当主、ノリノリである。
・終了5分前で急に「お母さま……」とか言い出す少女もなんなんだ。
・土に食べられて、ゲフッ!というゲップと共に骨とか服とか飛び出してきたらよかったのに。
・ポスタービジュアルはクソですが、エンディングテーマはかなり良いです。CDほしくなった。