「ドロメ」【男子篇】

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「ドロメ」【男子篇】。2016年の邦画。
私は男子のほうから先に見たのですが、どっちが先のほうがいい!とかは言えない。ダブルアングルホラーなので、女子篇を見ると意味がわかるところもあります。ただ、男子篇のほうが闇が深いっす。

あらすじ

「先生を流産させる会」「ライチ☆光クラブ」の内藤瑛亮監督が小関裕太と森川葵を主演に迎えて贈る青春スプラッタ・ホラー。男子校と女子校の演劇部の合同合宿を舞台に、謎の化け物“ドロメ”が引き起こす惨劇の行方を男女それぞれの視点から2作に分けて描き出す。本作はその男子編。
山の上の男子校・泥打高校と山の麓の女子校・紫蘭高校は、来年には統合して共学になることが決定していた。そこで両校の演劇部は合同合宿を行うことになり、川那小春たち紫蘭高校演劇部の面々は、開催場所となる泥打高校へ向かって坂道を登っていく。その途中、不気味な泥まみれの観音像と行方不明者を探す張り紙を見ても、とくに気にする様子もない小春たち。そんな彼女たちの到着を期待に胸膨らませて待ちわびる星野颯太たち泥打高校演劇部の面々。やがて女子が到着し、一同が顔を揃えて楽しい雰囲気の中、合宿は始まるのだったが…。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=355186

登場人物

ソウタ:男子篇の主人公。少し変わったところがある。
リュウセイ:ソウタの友達。
リク:ソウタの友達。
コウキ先輩:現在ニート。演劇部の先輩。女子校との合宿を聞きつけ、やってきた。

コハル:ある事件以降、不登校気味。親友のミカに誘われ、演劇部の合宿に来た。
ミカ:コハルの親友。
アヤ:演劇部の先輩。
カンナ:セクシー担当の先輩。

キリコシ:イケメン風の教師。優しげにも見えるが、かなり厳しい一面もある
モッチー:女子演劇部の顧問。
山岸響子:少し前から失踪している女教師。

ネタバレ

女子生徒たちを迎えるため、学校の部屋の掃除をしているソウタ、リュウセイ、リク。だが、その歌い踊る様子を、窓の外から女性らしき影が見つめている。
壁にある変なシミに気が付くソウタあち。だが、それを拭いて女子生徒たちを迎えに出る。やはり、赤い服の女性がソウタを見守っている。

女子生徒たちが到着し、彼らは出迎える。
ソウタは、元同級生のコハルに気が付く。

山には、失踪者(教師・山岸響子)のチラシが張られている。

男子校と女子校メンバーたちは、それぞれ仲を深めるための練習に勤しむ。目隠しをして障害物を超える側・導く側に分かれてゲームをするが、コハルは見えない何かに引っ張られる。

ソウタは、それにはっとする。また、カンナの胸の谷間に見とれていたソウタは、なぜかズッコケてしまう。

稽古に集中できないコハルは、すぐに過呼吸になってしまう。彼女は不登校らしい。

男子生徒の作った、まずいカレーをつついている生徒たち。
コハルは、来る途中で見かけた山岸先生の捜索についてのビラをまた見つける。彼女は理由もわからないが、失踪したのだ。

さらに生徒たちは、道の途中に祀られていた『ドロメ』についてキリコシから教えてもらう。ドロメとは、昔からこの土地にいる観音像。願いを込めて泥を投げると、その願いを叶えてくれるのだ。だが、人の不幸を願う者たちばかりのせいで、観音像の首が折れて、「ドロメ」という化け物が生まれ、人間を襲った。観音像の首が戻ったらドロメは消えたが、伝説は残っているという。

首があれば、ドロメは封じられる。しかし、現在はその首は消えてしまっている。
しかも、観音像の首がなくなった時期は、山岸が失踪した時期とかぶっている。

ソウタは、実は幽霊を見ることができる。それを知って、リュウセイは興奮する。

だが、ソウタの布団に入ってくる幽霊。それは枕元に頬を寄せる。
白い服の女幽霊はおいでおいでをして、ソウタを導く。廊下の先からは、コハルが走ってくる。だが、赤い服の女幽霊がソウタの前に立ちふさがり、彼はコハルを追いかけることができない。

※女子篇:コハルはこの時、ドロメに追いかけられている。

2日目。

小道具作成中。ソウタに話しかけようとしたミカだが、何かに引っ張られる。

ソウタは、実は幽霊を見ることができることをカミングアウトする。アヤはおせっかいにも、コハルとソウタを近付けようとしている。

ハイタッチをする男女。だが、コハルとソウタはハイタッチをすかしてしまう。

ラップをする男子にノる女子だが、それをキリコシは厳しく咎める。
コハルは演技のことでキリコシに厳しく指導され、過呼吸を起こしてしまう。アヤは「自分をひどくフッた男と一緒に演技をしているから当たり前だ」と、つい真実をバラしてしまう。

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ソウタは、コハルの告白を無視したことがある。それには理由があった。
ソウタの死んだ母は彼を厳しく管理していた。交通事故で死んだ後も、彼女はソウタから離れない。
コハルから告白した時にも、彼女の後ろに立ってソウタを睨んでいた。恐ろしかったのはもちろん、コハルに危害を加えないために逃げたのだ。
男子校ならばと思いこの高校を選び、女子に近付かないようにしてきたソウタ。コウキ先輩はエロ画像を見せようとするが、その瞬間にスマートフォンが割れる。また、女性の裸像を見せようとするが、そのまま画集は破かれてしまう。

つまり、コハルを引っ張っていたのも、カンナの胸が見えそうになった瞬間彼の頭を叩いたのも、ミカを彼に近づけさせないように引っ張ったのも、コハルとのハイタッチを阻止したのも、全部母(赤い服の幽霊)だったのだ。

女子部屋のシミが顔のようになっていることに怯えるコハル。

食事時間。アヤやカンナはリクやコウキ先輩とはしゃぎ、ソウタとリュウセイはミカと食事している。コハルはモッチーと一緒だ。
落ち込んでいるコハルの頭をポンポンするキリコシ。
それを複雑な気持ちで見ているソウタ。

花火タイム。
生徒たちは、花火を片手に狂ったように踊り続ける。

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ソウタはまだコハルのことが好きだ。彼女のフェイスブックやツイッターをネットストーキングしており、恋人がいないことを知っている。

リクとカンナは保健室で逢引している。だが、そのドアの隙間からドロが入ってきて、どのドロからドロメが這い出して来る。そして、さらに、ドロメはリクを襲い、カンナをも襲ってその口にドロを流し込む。

3日目。
リクの行方を探して保健室に入るソウタたち。ベッドや床には、大量のドロが残っている。舞台の準備のために衣装を着けて、体育館に行くソウタ、リュウセイ、コウキ先輩(先輩は出演はしない)。ボール入れの中に先輩を入れて体育館内を移動しているが、そこにドロメが現れる。ボール入れにハマって出てこられないコウキ先輩。写メを撮ると、怒ったような顔をして溶けていく。

彼らは美術室に逃げ込むが、粘土細工が溶け、ドロメになる。リクとカンナは感染しており、既に人間ではない。カンナはコウキ先輩に泥を吐きかけ、感染させる。ソウタとリュウセイは逃げる。

「要はゾンビシステムなんですよ!」
ソウタとリュウセイは、キリコシと合流する。だが、電話も通じない(ウーウー声が聞こえるだけ)。しかし、ソウタの目の前で、白い服の女幽霊がキリコシを指さしている。その幽霊こそ、山岸響子その人であった。ソウタは山岸を殺したのがキリコシだと理解する。だが、バレたことを理解したキリコシはソウタをブン殴り、2人を隠す。

キリコシは、山岸にフラれたことを逆恨みして彼女を殺し、ドロメの伝説になぞらえて隠ぺいしようとしたのだ。

ソウタとリュウセイは手足を縛ったガムテープを口でちぎって逃げる。

※女子篇:この間、コハルたちはドロメに追いかけられまくっています。

だが、ソウタを阻止するのは母親の幽霊だ。コハルを助けようとするソウタを、母親は暴力で阻止する。
「束縛ババアなんてクソだろ!」
そう叫んだリュウセイを殴る幽霊。
ソウタは「俺はコハルのことが好きだ!邪魔すんな!」と叫び、母親を刺し貫く。

元に戻ったコウキ先輩と遭遇するソウタたち。泥を吐き出したら、元の状態に戻ることを知る。
観音像の首を手に入れるソウタ。たまたま現れた感染状態のアヤの腹を殴り、元に戻す。ドロメの腹も、観音像の首を握って殴る。すると泥が溶け、山岸響子が中から出てくる。
キリコシを見つけ、ボコボコにするソウタたち。山岸響子は、それを見ている。

コハルや元に戻っている面々と運動場で合流するソウタ、リュウセイ、コウキ先輩、アヤ。

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全員で協力してドロ人形を殴り、爆発させる。
「やったぁ!」
ジャンプしてストップモーションで『終』。

男子篇EDはコウキ先輩が撮影した写メのスライドショー。
(男子のおふざけ風景)

だが、男子たちは何かに気が付く。彼らが後ろを向くと、巨大化したソウタの母親が山の間から顔を出す。女子たちと背中がぶつかり、彼女らと顔を見合わせながら、また戦うことを決意する彼ら。

※女子は別の相手と対峙しています。

感想

・赤い服の女と白い服の女の対比が面白い。ドロメの恐怖もさることながら、幽霊臭われる恐怖もなかなかです。
・でも、ドロメの造形が面白いんだよな。登場の仕方とか。個人的には貞子とか伽椰子になれるポテンシャルあると思うのですが……
①見た目が怖い(女性に泥がこびりついて、カピカピになった状態)。
②感染力がある
③泥を口移しで吐きつけるビジュアル
④閉鎖された環境でも入ってこられる
ただ、もともとの脚本がギャグありテイストな感じなので、シリアスにはならないと思うけど……。
・でっかいママさんの登場は、ある意味日本昔話みたいですね。