「スナッチャーズ・フィーバー -喰われた街-」

sfever

今回は2014年のカナダ映画「スナッチャーズ・フィーバー -喰われた街-」を見た話です。
“「ゼイリブ」×「28日後…」の衝撃映像”とパッケージに書かれていたけど、う~ん……まあ、SFモノで追っかけられてるシーンがある、ってところくらいしか類似点がない。類似点なんて乱暴に片づけてもいいものなのでしょうか。
予告編の出来が素晴らしかったので見てみました。
・ある大学の出身者たちへのインタビューを撮影をしている学生たち
・しかし、不思議な者たちに囲まれでおかしな目に遭ったり、奇妙な出来事に遭遇したり
・彼らは、モンスターに囲まれてしまったのか?
原題は「THESE ARE MONSTERS」。こっちのほうが好きです。

登場人物

ベス:主人公的な存在。クルーの中では紅一点。
ジェフ:ベスのボーイフレンド。
ダン:仲間のひとり。
ヒゲのデブ:名前を忘れましたが、まあ、ムードメーカーです。

ネタバレ

駐車場でバーガーを食べている彼ら。ふと、車の中にデブだけが取り残される。彼はふと、車の横に後頭部を見せて立っている女の子がいることに気が付く。声をかける彼だが、声を掛けられた少女は振り返った瞬間、窓ガラスに顔を叩きつける。その表情は、まるで狂人か、モンスターか。

彼らは、ある大学の出身者たちに現在の話を聞いて回るインタビュアーの仕事を引き受ける。そのインタビューをネットにアップして、受験者を増やそうとしているのだろう。

ベスたちはある小学校を訪れる。教師に取材をしている間、子供たちに話しかける男たち。だが、あるアジア人の子どもの弁当に、何かの塊が入っているのが見える。それは髪の毛のようにも見えるし、人のどこかの部位にも見える。

その後も
・トイレに入っているベス。洗面台のところで、口を大きく開けて口紅を塗り直している奇妙な女がいる。
・豚のマスクをかぶった子供が、じっとこちらを見ている。
・ベスは同級生のアンと再会する。アンは突然昔話をして、ベスもそれに同調する。ベスがどうやら“本物”だと知ったアンは、慌ただしく去っていく。
・アンはアイスを買いにスーパーに入る(実は、冒頭のシーンはこのあたりなので、映画を見ている人は繰り返し見ている場面でもある)。スーパーは無人だが、変に散らかってもいる。バックヤードには誰かが立っているが、それは誰かわからない。店員の女は、彼女をやたらと奥に行かせようとするが、ベスはそれを拒否する。
・取材先の歯医者に双子がいる。ベスは、双子がこの街での“不吉”の象徴だと思っている。気味の悪い双子に驚かされたのだ(だが、そのシーンはない)。
・歯医者の患者の少女が、「助けて、あの人はパパじゃない」と、付き添いの父親のことを告発する。父親は一瞬、カメラの方に歯を剥いて恐ろしい表情をするが、娘を連れ帰ってしまう。

ベスは、カプグラ症候群について話している。人がモンスターに感じられる精神病。周囲で彼らを見つめている人たちの視線は、普通の人間のそれなのか、それとも?

街は停電が続いている。
モーテルに宿泊する彼らだが、ニュース番組からは司会者が消えている。司会者がいないのに、垂れ流される映像。
そこに、おばさんが乱入する。彼らが騒いでいるから人間だと思ってきたのだという。夫が別の何かに入れ替わったと主張するおばさんだが、そこに彼女の家族がやってくる。おばさんは精神病だった。彼女は家族に連れられて出ていく。だが、主人公はおばさんを信じている。

彼らの仲間のダンも、いろいろと忘れているようだ。麻薬のせいなのだろうか?

朝。街の扉に、しるしがつけられている。鉤爪のようにも見えるが、その部屋の中にいる人の人数を記しているようだ、そのしるしの意味とは?

また取材に出かける彼ら。
だが、彼らはベスがトイレで見た女とダンが話しているのを見かける。そして、隣では女が突然、何かを吐き出している。まるでレバーのような何か。車で逃げようとする彼らだが、ダンやおかしくなった人たちは、車に突っ込んでくる。そしてそこには、ベスがトイレで見た女(しかも彼女は双子である)もいる。

車で走る彼ら。人が襲われ、殺されている。車が故障して、徒歩で逃げる彼ら。家の中に逃げ込むが、すぐに見つかってしまう。窓ガラスに、また少女がくっついて顔を見せる。お母さんらしき女性の両手にぶら下がり、子どもたちがそれぞれ、母の腕を飲み込んでいくのが見える。

ベスとジェフは2人で地下室に逃げ込む。スマホのフラッシュで、周囲を確認する2人。何枚も写真を撮るが、最後に撮った写真には、こちらにとびかかろうとする奇妙な女が映る。ドタバタと暗闇で音がする。

デブは外に逃げており、車に隠れる。だが、それを豚マスクの少年が見ている。そして、同じくマスクをかぶった姉らしき少女もいる。車の中で怯えるデブだが、少女はやすやすと車のドアを素手で外し、豚マスクの少年が恐ろしいスピードで襲ってくる。

ベスとジェフはなんとか逃げ、ベスの実家に戻ってくる(ベスの実家は、この事件が起きた近辺にある)。ベスは自分の妹を確認して、「本物の妹よ。私があげたシャツを着てる。仔馬が好きなの」と涙ぐむ。しかし、何かに足を引っかけて物音を立てた人が再度顔を上げると、近くの家じゅうの人たちがこちらを見ている。もちろん、妹もだ。追いかけられる2人。ベスはやられてしまう。ジェフだけでもと逃がそうとするベスだが、幼なじみのジェフは彼女との思い出を何も思い出せない。もうジェフも乗っ取られているのだ。

アン(ベスの同級生)は、怯えながらバスに乗っている。ふと、ベスを見つけて、彼女の近くに異動するアン。親しげに話し変えようとする彼女だが、バスの中の全員が彼女を見つめていることに気が付く。もちろん、ベスも。
「誰?」
「始まったの」
「何のこと?」
その答えのように、アンはベスやバスの乗客たちに襲われ、食べられ、侵食されていく。

感想

・全体を通して、CGなのかどうじゃないのかわからないほど「恐ろしい表情」がリアル。
・低予算っぽいですが、奇妙なシーンをうまく切り取ってつなぎ合わせている感じはします。
・ただ、後半の追っかけっこのシーンがそんなに好みではないかなあ?という気もする。もっとテンポ良くてもよかったかなあとか。「いろんな家から、いろんな人がこっちを冷たく見ている」シーンとか、別映画でも散々見ているからか。
・ただ、エキストラっぽい人たちのキャスティング(奇妙な顔の人たち)は見事でした。日本バージョンでもこの映画は見てみたい。