「ハッピーボイス・キラー」

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2014年のアメリカ映画「ハッピーボイス・キラー」。
・ライエン・レイノルズ主演、またアナ・ケンドリックが出てきます
・多重人格の男が、いろんなものから聞こえてくる声に従って殺人を犯してしまう
・それを自覚しながらも、彼はそれに抗えない。事態は取り返しがつかないほど大きくなっていく……。
「キュートでポップで首チョンパ!CPスリラーがやってきた!!」(CP=首チョンパらしい)というキャッチフレーズの、センスのなさに泣けてきます。
ライアン・レイノルズってこんなにクレイジーな演技もできたんだな~ってくらい、演技は素晴らしい。うさんくさいイケメンといいますか、顔はキレイなんだけど、裏にものすごく闇を抱えてそうな田舎青年を演じてます。

登場人物

ジェリー:おとなしい青年。便器の工場で働いている。経理のフィオナが気になっている。飼い犬(善を担当)と飼い猫(悪を担当)の声が聞こえる。
フィオナ:経理担当。イギリスから彼氏を追いかけてきたが、捨てられてそのままアメリカにいる。ジェリーは苦手。
リサ:ジェリーに心惹かれる優しい女性。ただし、かなりの恋愛脳である。ジェリーとは飼い猫の話で意気投合する。
ウォーレン博士:ジェリーの精神科医。

ネタバレ

便器の工場で働いているジェリー。会社内の親睦BBQで、一緒に運営委員をしたフィオナのことが好き。

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だが、フィオナと打ち解けたつもりでディナーに誘うジェリーだが、彼は好かれていない。女心がわからず、ダサダサの中華料理(プレスリーの真似をする中国人のショーが見られるほど、ダサダサ店)に誘ってすっぽかされる。彼女はその頃、リサたちとカラオケをしていた。だが、フィオナの車が故障して、ジェリーはたまたまずぶ濡れの彼女を助けることになる。森の中のハンバーガーショップに行くことにした彼ら。

しかし、ジェリーが不注意でシカをはねてしまう。死にかけているシカを殺してあげる(善意で)ジェリーだが、それを見たフィオナはパニックを起こし、逃げ出す。そしてそのまま、ジェリーはフィオナを刺してしまう。

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翌朝、死体を拾いにいって処分するジェリー。だが、フィオナのハイヒールと内臓がそこに落っこちている。警官に話しかけられるジェリーだが、彼はまったく疑われていない(田舎町だし)。

ジェリーは精神科医で処方された薬を飲むのをやめている。そして、フィオナの体をバラバラにしてタッパーに詰める。そして、フィオナの生首を冷蔵庫に入れる。
フィオナの生首は陽気に彼に話しかける。「友達を作って!」とねだりさえする。

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ジェリーに、薬をやめた副作用が出始める。現実が目の前に姿を現す。にくったらしい猫も、彼の味方をする犬ももう喋らない。ジェリーの母も精神障害を持っており、彼自身も子供の頃から声を聞いていたことがわかる。そして、その精神不安定に厳しい義父が関わっていることもわかってくる。
薬を飲むジェリー。また、動物たちは喋り出す。

フィオナが行方不明なのが広まりつつあるが、ジェリーはすっとぼける。
フィオナの失踪を気に留めるそぶりもなく、次はリサを誘うジェリー。彼女の家に飼い猫を見に行くことにする。

しかし、その前にジェリーは寄り道をする。かつての実家に足を運ぶジェリーは、母を殺したことを思い出して泣き出す。そう、彼は精神を病んで病棟に収容されそうになった母を殺していた過去を持つのだ。だが、リサはそのことを知らずにジェリーにキスをして、彼を家に連れ帰って体を重ねる。
リサはすっかりジェリーに夢中だ。

リサは夜、ジェリーの家にケーキを持って押しかける。だが、ジェリーは様子がおかしい。自分で犬の声や猫の声を出していることに気が付かず、ぶつぶつ喋っているのが外からもわかる。リサを追い帰したジェリーだが、鍵が内側からかかってしまい、天窓から入ることにする。だが、リサはドアをさっさと開けてしまう。

家の中はひどい有様だ。犬の糞が落ち、何かの血がいたるところに飛び散っている。戻ってきたジェリーと対面したリサはひどく怯える。そして、逃げようとしたリサをベッドに思いきり投げるジェリー。木枠に頭をぶつけ、リサは動けなくなる。そしてそのまま、首を切られてしまう。

ジェリーはリサの生首を、フィオナの隣に並べる。

会社のなかでは、ジェリーの過去が広まりつつある。精神病患者であること、母を殺した過去を持つこと……リサとフィオナの友人であるアリソンは、勇気を持ってジェリーの家を訪れる。しかし、彼女も殺されて生首になる。

精神科医のウォーレンのもとを訪れ、殺人を告白するジェリー。「僕には先生のカウンセリングが必要だ」と、彼女を誘拐する。
「声に従わなくていいの」と彼に説くウォーレン。ジェリーはその考えに驚く。

その頃、彼の同僚がジェリーの家に押しかけてくる。その異常性を理解した同僚たちは通報する。ウォーレン先生を家に連れて帰ってきたジェリーだが、警察が来て裏口から逃げる(彼の家はつぶれたボーリング場の2階にある)。
そしてボーリング場に火がつき、彼は涙を流しながらそこに留まる。彼は全てわかっていたのか。“ハッピーボイス”はすべて、自分が出していただけの偽物だったということを。

彼の頭の中で、犬と猫が軽口を叩き合い、去っていく。現実では、ペットは捕獲されている。ウォーレンも救助されている。
しかし、死の世界でジェリーは、彼は死んだ母と縁が切れている義父と出会い、フィオナやリサとも再会。歌い踊る彼ら。職場で使っているピンクのフォークリフトが、彼をスターのように神々しく高い位置へと押し上げる。宴はいつまでも続く。

感想

・ジェリーの目を通して描かれるものと、他の人の目を通して描かれるものが違いすぎる。ジェリーの世界のほうが、なぜだか数倍幸せそうに感じるのはなぜなのでしょうか。これこそ、この何とも言えない魅力こそ、この映画の魅力だと思います。
・リサのだめんずぶりが微笑ましい。殺人鬼と恋してる場合じゃないぜ!
・犬と猫がかわいいです。
・ただ、「CP」なんて流行らせない。DAI語なのかな?でも、ホラー映画にこじつける理由とは?別に話題にもなってないしねえ……。