「人生スイッチ」

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2014年のアルゼンチン/スペインの映画「人生スイッチ」。
・ブラックコメディありの短編集、というかオムニバス
・サスペンスあり、笑いあり、ドラマあり
・短編によって出来にばらつきがある
ちなみに「スイッチ」出てきません。てっきり「運命のボタン」(キャメロン・ディアス主演のサスペンス)みたいに、スイッチがキーアイテムなのかな?とかいろいろ考えたのですが、ぜんっぜん関係ない。ちなみに作品はそれぞれ、なんのつながりもないです。

あらすじ

本国アルゼンチンで大ヒットし、アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた全6編のオムニバス・ブラック・コメディ。監督はこれが長編3作目のダミアン・ジフロン。本作はその才能に惚れ込んだペドロ&アグスティン・アルモドバル兄弟が自らプロデュースを買って出て、製作陣に名を連ねた。
「おかえし」――仕事の依頼を受け、指定された飛行機に乗ったファッションモデル。やがて、乗客全員が彼女の元カレと関わりあることが判明するが…。
「おもてなし」――郊外のレストラン。ウェイトレスの女は、客として現れた男が、父を自殺に追いやり、母を誘惑した高利貸しと気づく。怒りを募らせ、猫いらず入りの料理を出してしまうが…。
「エンスト」――荒野の一本道で前をノロノロ走るオンボロ車に、追い越しざまに罵声を浴びせる新車の男。運悪くパンクに見舞われ、タイヤ交換を始めたところに、先ほどのオンボロ車が追いついてくるが…。
他、ささいなきっかけで、押さえ込んでいた怒りのタガが外れてしまう人々を待ち受ける衝撃の顛末を、辛口のユーモアで繊細かつパワフルに描いた全6編を収録。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=351751

ネタバレ

①おかえし

飛行機に乗る女性。ふと近くの席の人と話を始める彼女だが、共通の知り合いがいることがわかる。周辺の人が次々口を挟んでくるが、全員が彼を知っている。しかも、彼の恨みをかうようなことをした人ばかり(主人公は彼の友達と浮気した。だが、逆恨みとしか思えないような軽い恨みの人も混じっている)。彼はこの航空会社でCAとして働いている。そして、飛行機はそのまま墜落する。

②おもてなし

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寂れたダイナーに、ある男がやってくる。ウェイトレスは横柄な彼を見て、嫌なことを思い出す。彼は高利貸なのだ。キッチンにいる老婆は「ネコイラズを入れてやれ」と煽る。迷う彼女をよそに、老婆は勝手に料理にネコイラズを入れてしまう。ウエイトレスは躊躇するが、そこに彼の息子らしき男の子がやってきて、一緒に料理をつまみ出す。それを見て、彼女は男を止めようとして料理をひっくり返すが、もみあいになる。それを助けるため、老婆は彼を刺し殺す。血まみれになるウェイトレス。
警察と救急車がやってきて、彼女たちを連れていく。

③パンク

新車に乗った男が、古い車の男を煽る。しかし、新車は途中でパンクしてしまい、古い車が追い付く。古い車の男は降車して、新車をボコり始める。さらに、車に脱糞して排尿までする。警察に電話する新車の男。だが、復讐として古い車を川下に落としてしまう。だが、さほど距離がないので古い車の男は生きている。そして、新車のところまで登ってきて、新車をも落とす。外に出られない新車の男を引きずり出し、シートベルトで首吊りをさせる古い車の男。だが、揉みあいになった結果、新車の男は車に放火する。そして車は燃えてしまう。
後からやってきた警察は「心中事件ではないか」と推測している。車の中では、焼け焦げた骸骨がそっと寄り添っている。

④ヒーローになるために

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ビルの爆破の仕事をしている主人公。娘の誕生祝いのケーキを買って帰宅しようとするが、車がレッカーされている。駐車禁止ではない場所のはずなのに、レッカー会社(民間)も、陸運局(罰金を納めるところ)もそれを認めない。怒って大暴れする彼は、娘からの信頼も、妻からの愛も、仕事も失ってしまう。就職活動をするも、うまくいかない。しかも車はまたレッカーされる。
ある朝、彼は優雅に朝食を楽しむ。そして、自分の車がレッカーされているのを見ている。レッカー会社では、また喧嘩が起きている。しかしその瞬間、車が爆発する!男は、爆発物を車に積んでレッカーさせたのだ。
しかし、彼の行動がレッカー会社の悪事を摘発し、一躍ヒーローとなる。
彼の娘と妻はニコニコしながら、どこかにバースデーケーキを運んでいる。それは刑務所のなかだ。刑務所では、囚人も看守も微笑みながら彼にバースデーソングを歌っている(彼ら全員が、レッカー会社の横暴に辟易していたのだろう)。娘も妻も、彼をまた愛している。彼は幸せを取り戻したのだ。

⑤愚息

ひき逃げ事件を起こした息子をかばうため、弁護士や使用人、警察を巻き込もうとする有力者。しかし、弁護士は嘘をついて報酬を引き上げ、使用人は別荘すら欲しがる。警察官は報酬とは別に、警察官にバラまくための金を用意するように要求する。その醜さに、有力者は息子をかばうことをやめようとする。息子も自首をしたいと隠れ場所から出てくる。話し合いの末、やはり使用人が身代わりになって出ていく。しかし次の瞬間、使用人は轢き殺された妊婦の夫に刺されて殺される。

⑥ハッピーウエディング

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結婚式の最中に、旦那の浮気相手を見つけた花嫁。ブチ切れた彼女は、そのホテルのコックと浮気して、旦那に復讐宣言する。結婚式で踊り狂い、その流れで浮気相手をダンスに巻き込んで鏡に衝突させる。浮気相手はケガをして血まみれになり、花嫁のドレスも血で汚れる。大喧嘩になり、花婿の母も花嫁につかみかかる。だが、旦那が号泣して、ナイフを握りしめる。そして落っこちたバースデーケーキを拾ってカットして、そのままモグモグ食べる。それを見ていた花嫁と花婿は抱き合ってまぐわいはじめる。その様子を見て、気まずそうに参列者は去っていく。

感想

・個人的には「ヒーローになるために」が一番好き。
・どの話も面白いと思うのですが、いかんせん「人生スイッチ」という邦題のハードルが高すぎて、「想像と違った」という感じになってしまいそう。
・「ハッピーウエディング」の花嫁の顔が何かに似ているんだけど、何に似ているのかわかりません。半魚どん?