「ウォーキング・デッド」シーズン6・第10話のネタバレ

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第10話「ジーザスと名乗る男」ネタバレ

「今朝目覚めると太陽は消えていた
音楽をかけて1日をはじめよう
いつもの曲に聞き入る
目を閉じると意識は彼方へ」 ※リックの聞いている音楽の歌詞
ベルトにナイフで穴を開けている手。腕時計を手に取る。足元ではジュディスがご機嫌で遊んでいる。リックは腕時計とベルトを身につける。

シャワーを浴びていたらしいミショーンが歯磨き粉の場所を聞きに来るが、それを2週間で使いきったらしいカールを、リックが呼ぶ。
「デニースが化学療法だって」
それが最近のカールの口癖らしい。リックは笑顔で(デニースのもとへ向かうらしい)カールを送り出し、ジュディスを抱く。ミショーンは歯磨き粉をリックに頼む。

アレクサンドリアは静けさを取り戻している。街を修理をしている人の姿も見える。

歩いていたダリルはデニースを呼び留め、欲しいもののリストの「ポップ」を確認する。デニースは衣料品や食料、ガソリン、バッテリー、子供向けの本や服を優先してほしいという。オハイオ州ではソーダを「ポップ」というらしい。デニースが飲みたいわけではなく、恋人のタラに飲ませたいようだ。彼女が寝言でそう言っていたのだという。
「好きか嫌いかわからないけれど、好きならサプライズになる。私の柄じゃないけど」
デニースは「無理なら大丈夫」と強調し続け、ダリルもそれに同調する。

壁には、失われた人たちの名前が書かれている。ディアナ、ジェシー、サム、ロン。その横を車が通り抜けていく。扉を開けるのはユージーンだ。外には、ウォーカーの姿が幾体か見える。
「農業資材置き場に印をつけた」
ダリルにユージーンはメモを渡す。
「ソルガムは手つかずのはずだ。過小評価される穀物だが、食糧事情の救世主になる」
ダリルはユージーンをじっと見つめる。
「持ちがいいし、乾燥に強く食糧にも飼料にもなる。有用だ」
「どうも」
運転席にいるリックも助手席のダリルも、困惑してユージーンを見つめている。
「いいんだ」
ユージーンは車から離れる。そして、車は出発して扉は閉まる。

「今日こそだ。食料も人も見つけるぞ。“平均の法則”さ」
「何週間も人を見ていない。誰も見つけないほうがいいのかも」
リックは音楽を聞き始める。ダリルは頭を抱える。
「やめろ、よせ、やめてくれ」
大音量で音楽をかけながら、車は進んでいく。

アレクサンドリアでは、ミショーンが塀の上で見張りをしている。ふと、シャベルを背負った誰かが森の中に消えていくのが見える。ミショーンは見張り台を降り始める。

マギーは、何かをスケッチしているイーニッドに話しかける。
「ねえ、どこにいたの?」
「何?」
「姿を見なかった。街を復旧していた時、あなたは消えた。部屋に?」
「いいえ」
「どこへ?」
「別に」
「グレンを助けた、私も助けてくれた」
「だから?」
「何も言わず、姿を消したりしないで。いつでも、私に頼って」
マギーは去っていく。イーニッドはその後ろ姿を見ている。

軽快な音楽を流しながら、車は進んでいる。通り過ぎたソルガムの倉庫を見つけて、車を戻す2人。倉庫の前に車を止めて、様子を窺っている。
「待て、用心しろ。援護を」
ダリルのいうことを聞くリック。その中にはトラックがある。トラックの扉を開けると、そこには物資が積まれている。
「行ったろ、平均の法則だ」
リックはにんまりする。
「これで戻ろう。車は後で取りに来る。別の道で帰ろう、何か見つかるかも」
「動くか?」
「たぶんな」
「“ソルガム”か……」

トラックが走っていく。ぼろぼろのガソリンスタンドがその前に現れ、彼らはそこでも車を止める。中へ向かっていくダリル。
「手を貸してくれ」
ダリルとリックは、ひっくり返った自販機を戻そうとしている。
「いい方法が」
車でけん引して、自販機の表面を確認した彼ら。
「ソーダとキャンディ?」
「簡単だったろ?」
と、リックに男が襲いかかる。だが、2人が銃を取り出して形勢が逆転する。ニット帽に顔を隠した男が、手を上げる。
「やあ」

「下がれ」
「手を挙げてろ!」
ダリルとリックは口々に叫ぶ。
「落ち着け、死体から逃げてた」
「何体だ」
「10体かそれ以上。2ケタは相手にせず逃げると決めてる」
「どこだ」
「半マイル後方だが、こちらへ。11分後には姿を現す」
「知らせてくれてどうも」
「ああ。対抗するには協力すべきだろ。だろ?」
リックは先に銃を下ろし、ダリルも下ろす。
「キャンプが?」
「ない」
ダリルは嘘をつく。リックが尋ねる。
「そっちは?」
「ない。邪魔して悪いね、行くよ。新世界で幸運を祈る」
その背中に、リックは声をかける
「俺はリック、彼はダリル。君は?」
「ポール・ロビア。あだ名はイエス。お好きに」
彼は顔を隠していた布をとる。その顔はたしかに、イエスと同じような顎髭が映えているし、長髪で痩せている。ダリルがノースリーブの皮ジャンなのに、彼は黒い革ジャンのロングコートを着ている。
「キャンプがないなら1人か?」
「そうだ、ムチャはしない主義だ」
「人を脅すのもやめとけ」
「そのとおり」
ポールに、リックが話しかける。
「ウォーカーを……」
「奴はやめとけ」
「ウォーカーを何体殺した?」
「悪いが急いだほうがいい、7分でくるぞ」
ポールは走って消えてしまう。ダリルはリックの質問に不服そうだ。
「なぜ聞いた?」
「清潔でヒゲも整ってた。何か隠してる」
「銃はなかった」
「あとをつけて、様子を見よう。本当に1人か、連れて帰るか」
「やめておけ、イエスだとよ」
と、背後から発砲音がする。2人は現場にこっそり近付くが、その正体は爆竹だ。
「クソ!」
「鍵をとられたんじゃ?」
ダリルの言葉に、リックは尻ポケットを探る。
「マズい」

「悪いね」
トラックを運転しているポール。自販機も引きずっていく。リックとダリルは、それを見送るしかない。
「クソ」

森の中にいるのはスペンサーだ。
「来い、来いよ」
彼はウォーカーを待ち受けているようだ。首の部分がごっそり抜け落ちたウォーカーが近寄ってくる。
「私が」
横からミショーンが出てきて、ウォーカーの首を落とす。
「僕にはできないと?」
「できたかも。私には刀が」
「外で何を?」
「森に入るのを見たから。ここで何を?」
「シフト後の散歩さ。何度か出てきたが、初めて気付かれた」
「なぜシャベルを?」
「先へ進む」
「一緒に行く」
「平気だ」
「お母さんに“望みを持て”と。人生を懸けて」
「持てた?」
「模索してる。今は彼女の息子が徘徊する理由を知りたい」
また歩き出したスペンサーの後をミショーンもついていく。

森の中を、カールとイーニッドも歩いている。美しく静かな森が広がる。
イーニッドは何かを見つけて拾い上げる。
「なんて?」
「濡れてる、読めないわ」
「行こう」
「古くはない。読めないけれど、言いたいことはわかる」
「なんて?」
「“1人じゃない”」
「知ってるよ、見たろ。人が死んだ」
「なぜ外へ出るの?」
「子どもだから。出たくなる」
「子どもじゃない」
イーニッドは周囲を見ながら、歩き続けている。
リックとダリルは、走り続けている。と、そこには自販機が残っている。チェーンがちぎれたのだろうか。そのガラスを割り、菓子などを取り出すダリル。ソーダも取り出す。そして1本は自分で飲み、残りをリックに差し出す。
「ドクターの注文だ」
「応えないとな」
「(デニースは)カールの命を救った。いい人だと分かったろ」
「外にいい人間がいるなら、迎え入れるべきだ」
「あいつも?」
「奴は違う」
リックも自販機に手を入れる。
「痕跡がある」
「行こう」
彼らはトラックの跡を追って、また走り出す。

森の中で漫画を読むカールと何かを眺めているイーニッド。イーニッドが出した菓子をカールは齧る。だが、何かの気配を感じて彼らは立ち上がって隠れる。
「行こう」
だが、現れたのはスペンサーとミショーンだ。彼らが遠くに見える。
「ミショーンたちだ」
「何してた?」
「散歩かもね」
カールはまた座り込んで、コミックを読む。
「もう外に出たくない」
悲愴な表情をしたイーニッドの言葉に、カールは本を閉じる。
「帰ろう」
カールはさっさと歩き始め、イーニッドもそれを追う。

木々の葉がこすれ合い、心地よくざわめいている。カールとイーニッドは歩いているが、その前にウォーカーが出てくる。
「カール」
「放っておいたら危険だ」
口笛を吹くカール。と、それを見て驚く2人。
「そんな」
「おい、こっちだ」
「何する気?」
「来い」
「やめてよ」
ウォーカーが近づいてくる。
「殺す」
「帰ってろ」
「イヤよ、バカみたい。殺すわ」
「離して」
「帰れ」
と、イーニッドの背後からウォーカーが襲いかかる。
「殺させない」
「何考えてるの」
「君にはわからない。外にいたくないんだろ、帰れよ」
イーニッドは走って去っていく。

リックとダリルは走り続ける。トラックのタイヤ痕を追いながら。と、彼らは急にスピードを落とし、身を潜める。どうやら、途中でトラックはパンクしたらしい。ポールが修理しているのが見える。リックとダリルは目くばせして、二手に分かれる。

ポールを羽交い絞めにするリック。
「暴れなければ、傷付けない」
「そうかよ」
と、見事な武術でポールはリックの腕の中から抜け出す。ダリルすらも彼に跳ね飛ばされる。しかし、リックが彼を引き倒す。
銃をそれぞれ向けられるポール。
「弾は入ってる?」
近寄ってきたウォーカーをそれぞれ、銃で撃つ2人。
「なるほど、車のために殺す?」
リックが彼と話す。
「食糧が入ってる。鍵を返せ」
「俺は悪人じゃない」
「そうか?俺達はどうかな。鍵を返せ」
動かないポール。
「これで最後だ」

リックは男を縛り上げている。ダリルはびちゃびちゃになったリュックを眺めている。どうやら、ソーダの缶が潰れてしまったようだ
「置き去りに?本気か?」
「緩めに縛る。自由になれるさ、俺たちが離れた頃にな」
「話し合おう」
「断る」
ダリルは余ったソーダを振り、ポールに投げつける。
「やるよ。喉が渇くだろ」
その言葉に笑うポール。

車に乗り込んだ2人も笑っている。ダリルは残ったソーダをバックパックから出し、確保する。
「じゃあな、クソ野郎」
ダリルは叫ぶ。車は発進する。

また、大音量でトラックを走らせている2人。
「何とかなった、今日はいい日だ」
ダリルとリックは戦利品の菓子をつまんでいる。
「あそこ見ろよ」
「小屋だな」
と、草むらを走り出したトラック。ふと、荷台の上で変な音がする。
「聞こえたか?上にいやがる」
「つかまれ」
と、急に車を止めたリック。トラックの上から車の前に、何かが降ってくる。
ポールだ。そのまま彼は逃げ出す。

「逃がすか!」
ダリルは車から飛び降り、ポールを追う。奇妙な逃走劇が続く。ポールはダリルから逃げ、リックは加勢しようとするが、その前に数体のウォーカーを始末しなければいけない。その隙に、ポールは車に乗り込む。だが、ダリルが引きずり落とす。その後ろから、ウォーカーが迫る。
銃を出すポール。ダリルを狙う。
「しゃがめ」
ダリルはしゃがみこみ、ポールはウォーカーの頭を撃ち抜く。彼はダリルを助けたのだ。
「どうも」
そのままブン殴るダリル。
「俺の銃だ。来い!」
トラックのブレーキが解除され、そのまま池に沈んでいく。ドアに頭を打ち付けたポールは、倒れて動かない。
ウォーカーを倒したリックがやってくる。
「大丈夫か」
「ああ。平均の法則なんてクソくらえだ。車を探して帰るぞ」
「こいつは?」
「ほっとけ」
「お前を助けた」
「かもな」
「お前を撃てた」
「分かったよ。木に吊るす」

大きなクモの巣が見える。

スペンサーとミショーンの会話。
「ついてくるな」
「お母さんのためよ。息子を死なせない。家に帰ろう」
「家族がいなけりゃ、家じゃない」
「それは違う」
「いいかげんにしろ、僕は平気だ。元の生活に戻れるかもしれないが、そんな考えを持つ前にすることがある」
スペンサーは何を考えているのか。
「やらないと」
「力を貸す」
「無理だ」
何かの気配を感じるミショーン。刀を抜くが、それはカールだ。遠くにカールが走っていくのが見える。
「カール?」
そしてウォーカーも見える。
「見た気がしたんだ。やっぱり……そうだったか」
それは、ウォーカーとなったディアナだ。変わり果てた母の姿に、スペンサーは涙をこらえる。ミショーンが背後から支えるなか、スペンサーがとどめを刺す。
「これでいいんだ」
母を抱く息子。スペンサーはミショーンを見る。
「このために外へ」

スペンサーは母を埋めている。ミショーンは近くの木に「D」とイニシャルを彫る。そして、黙祷する。
「母はメモを残した。どこに向かうべきか、僕は知ってると。だが、知らない」
「家族を愛した?」
「ああ」
「なら、向かうべき場所は家よ」
「家族がいない」
「森の中、あなたを追った。家族はいる。家もある。帰ろう」
スペンサーはシャベルを取り上げ、歩きはじめる。

車を運転しているリックと、助手席でポールの横に座らされているダリル。
「かなり強く打ったな。デニースに診させる。(ダリルに)置き去りにしなかった」
「木に吊るしといてもよかった」
「心にもないことを。アレクサンドリアについてすぐお前やミショーンたちに説得された。だから黙れ」
よっかかってくるポールを突くダリル。
「今なら分かる」
ダリルは言葉に詰まる。

夜。カールはジュディスを抱きながら、星を見せている。
「あの明るい星が見える?北極星だよ。こぐま座の先端だ。夜道に迷ったら目印に」
ミショーンがやってくる。
「いい日だった?」
「だと思う。中に入るよ」
「カール」
振り返るカール。
「森で見たよ。ディアナのことを……」
「そう」
「逃げるか、殺すべきだった」
「バカげてる」
「外に出る方がバカげてる」
「君とスペンサーも出てたじゃないか」
「違う」
「同じだ。ほっておけなかった。君だってほっておかないはずだ。殺せない」
「なぜ?」
「だって……」
「殺せた」
「殺したくなかった」
「ゲームのつもり?」
「違う」
「ならなぜ?」
「愛する人や、家族が終わらせるべきだから」
ミショーンは言葉を失う。
「君なら、僕がやる」
「おいで」
ミショーンはカールをハグする。
「私もよ」
車が

戻ってくる。棒に突き刺さったウォーカーだけがそれに気付いている。リックとダリルは黙り込んでいるし、ポールは寝たままだ。
「覚えてるか?採石場でのことだ。レジとピートが死に、“勧誘すべきじゃない”と。その通りだ」
「いいや、正しかったのはお前のほうだ」
扉が開き、車が中に入る。

ピートを診療所に運び込む2人。デニースとタラが出てくる。
そして鍵付きの部屋に運び込み、水とメモを置く。
「様子を見よう」
ダリルの声に、リックも立ち上がる。
「今外に出るのはバカだろ」
「ああ、明日に」
「そうだな」
部屋を出ていく2人。

リックはソファに倒れ込む。と、ミショーンがやってくる。
「どいて」
赤ちゃん用のモニターを見せるミショーン。ジュディスが寝返りの練習をしている。微笑みあう2人。
「家はいい」
「ええ、その通り。ダリルは?」
「交代時間まで男を監視してる」
「男を見つけた?」
「大変な1日だった」
「話す?」
「今はいい、少し頭を休ませたい。君の1日を話して」
「いいえ、同じよ」
「男を見つけた?」
「男じゃない」
ぼんやりする2人。
「そうだ」
ポケットを探るリック。お菓子を出す。
「歯磨き粉の代わり?」(※ミント味のタブレット?)
「歯磨き粉も見つけたんだが、湖の底に沈んだ」
「大変だったね」
「ああ。君が歯にこだわるから。ミントで我慢だ」
ミショーンの掌を軽くたたいているリック。ふと、2人は手をつなぐ。2人は微笑みあい、突然キスをする。そして何度も唇を重ねる。笑い出すミショーンだが、またキスする。

ベッドの中にいて、眠っている2人。
「リック、リック起きてくれ」
その言葉に、跳ね起きる全裸の2人。リックは銃を、ミショーンは日本刀を片手に立つ。
「話し合おう」
ポールがベットの足元に立ち、微笑んでいる。