「悪魔の存在を証明した男」

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2014年のアメリカ映画「悪魔の存在を証明した男」を見ました。最近のオカルトのなかではよくできているなあと感心した映画。というのも、この映画はPOVなのですが、「巻き込まれていく」「知らないうちにまわりで怪奇現象が起こる」というのはもちろんのこと、本人に狂気が宿っていくというのが面白い。それもこれも、自分の体を持って悪魔の存在を証明しようとしたからなのであります。

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あらすじ

妻を亡くした主人公・マイケルは何も信じられなくなり、悪魔が存在するのかを身をもって証明することを決める。
さまざまな「悪魔商法」に手を出すマイケルだったが、徐々に“それ”は彼の体のなかにはびこりはじめていたのだった……。

ネタバレ

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冒頭、家族の楽しそうなピクニックの様子が映し出されるのですが、妻が交通事故で死亡。
憔悴するマイケルとその娘、愛犬・フィッシュボーン、そしてとりあえずヘルプに現れたマイケルの妹・ベスでなんとか生活を送っています。

唐突に自分の体を実験台に、悪魔の存在を証明することを決めたマイケル。カメラマンは別でいて(マイケルの友人・ジョーダン)、マイケルがMC兼ディレクターみたいな感じです。
彼はさまざまな「悪魔」にまつわるグッズやサービスに手を出し始め、取材を試みます。
悪魔祓いにとりつかれた神父に取材をし、悪魔を呼び出すためのグッズを売っている通信販売にも手を出します。

さらに、専門家によって悪魔を体に呼び込むことに。幻覚剤入りのジュースを飲み、マイケルが自動筆記したいたずら書きから彼の体に呼び込む悪魔を決め、地下室に誘導されます。そこにはSMグッズも用意され、なんだか非常に怪しいムード。逃げたくなるマイケルとカメラマンのジョーダンですが、儀式は始まります。
といっても、寝ているマイケルの横で悪魔好きのマジキチ夫婦が交わり、マイケルの腹をナイフでさするという謎内容。

そして、死体を使った儀式にも挑戦。葬儀社の男が協力し、その遺体の男の歯をマイケルの腹に縫い付け、墓場で儀式スタート。カエルを殺して、謎の気体を吸い、準備万全です。
しかし、そこに警察が登場。慌てて逃げるカメラマンですが、逃げた先で見つけたマイケルは明らかにおかしい。
「妻が隣にいたのを感じた」
というマイケルですが、ここらへんから徐々にマイケルが狂い始めます。

まず、全然眠れなくなります。頭の中の声が彼を眠らせないのです。
また、霊能者の取材では彼女が突然マイケルにつかみかかり、「マイケル、私の話をちゃんと聞いて」というメッセージを彼に残します。
さらに自宅でもサラダを触って「熱い!」と怒るマイケル。でも、これおっちょこちょいあるあるですよね。

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彼の奇行はエスカレートしていきます。人間の出せないレベルの高音を出して叫んだり、夜中に自宅でウロウロしたり。とうとうカウンセリングにかかりますが、突然ライトが消えたと思ったらカメラの前にマイケルが立っており、「お前は這いつくばる」と言い残します。

カメラマンのジョーダンはこのあたりで撮影を降りてしまいます。
マイケルの狂気は加速していきます。寝ている妹の下着に手を入れたり、画面の中なら「お前を破滅させる」と警告したり。

間違いを正し、悪魔を体から出す術を探すマイケル。
しかし、悪魔祓いをする神父は既に死んでおり、葬儀社からは門前払い。悪魔祓いの儀式で交尾していたカップルは「あんなの冗談だよ」と言われ、銃をもって追い返されます。それにしてもキモチワルイ冗談ですね。

マイケルは既に自制できなくなってきています。はらってもはらっても、体の上に現れるアリ。そして、そのアリを娘の耳の中に入れようとするマイケル。しかし、すんでのところで真実に気が付きます。
でもその夜、子ども部屋でナイフをちらつかせるマイケルの映像が残っています。次の日、子ども部屋は血だらけに!腰を抜かすマイケルの妹ベスでしたが、娘は無事で、死んでいたのは妻の愛犬・フィッシュボーンでした。バラバラになって死んでいた犬を見つめて号泣するマイケル。子どもと妹は家を出ていき、彼はひとりで戦う決意を固めます。

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しかし、ひとりになったマイケルは突然悪魔に体を引っ張られたり、悪魔のことが書かれた本が燃えたり、知らないうちに自分の胸を切ってしまったり。その胸を自分で縫い合わせますが、もう痛みは感じないと、自分の指に縫い針を押し込めます。彼の眼は真っ赤に充血しており、「現実などない」とつぶやきます。

女の子を殺せと囁く悪魔と、それを止めようとするマイケル。激しくぶつかり合う感情を抑制するために、マイケルはとうとう手錠をして寝ることに。
しかし、翌朝目が覚めると、またとんでもないことが起きています。テレビ画面には「WATCH ME」というメッセージがあり、それを再生すると……

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そこには、彼に呼ばれてきたらしいジョーダンの姿が。ジョーダンを殺したマイケル。彼の死体は子ども部屋で見つかります。
この時、固定カメラの構図のなかにジョーダンの死体の手がぶら~んと映り込み、それで彼の死がわかるというシーンがありますが、どこに収納されてるんだろ?とは思いました。天井に磔にされているのかしら?

嫁の死ぬ前の映像を見返すマイケル。嫁が死ぬとこに撮影してる場合じゃなかったんじゃとは思いますが、このあたりでマイケルと彼のなかの悪魔の戦いが最高潮になります。
「嫁は神がいると思っていたんだ」と言いながらもカメラをポイして「あの子を殺せ……殺せ」とつぶやいたり、娘の部屋でゆらゆらチェアに座りながら、ジョーダンの死体を眺めてぼーっとしたり。

次の日、妹のベスが娘を連れて帰ってきます。しかしマイケルは妹の首の骨を片手で折って殺し、娘とかくれんぼ。しかし娘を殺そうとするところで手が止まり、鏡を覗きこんだら「今のうちよ」と口パクパク。そう、妻の意志が彼の体に影響を及ぼしたのであります。
娘を殺すくらいならと、窓から飛び降りて死ぬマイケル。そのマイケルの目からアリが出てきて終わり。
しかし、本当の終わりは冒頭のホームムービーのラストで、嫁さんが車に轢かれるところでエンドロールです。

最初は面白半分で悪魔なんているわけないだろ?でもホントーにいるなら俺の体に入ってみろよ!と言っていたマイケルが、どんどんおかしくなっていく。
でもそれが悪魔のせいなのか、はたして彼自身がおかしくなったのかを判断できないのがなんともエグミがあって面白いですね。
しかし、マイケルさんの体には自分の意志以外にも悪魔やら嫁やらアリやら入り込みすぎでガバガバだとは思いました。