「ホラー・シネマ・パラダイス」

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2010年のアメリカ映画「ホラー・シネマ・パラダイス」を見ました。 「ピンク・フラミンゴ」のジョン・ウォーターズ監督がコメントを出していたのでどんな悪趣味映画なんだろうと思いきや……マジもんの悪趣味映画だったのであります。

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あらすじ

亡くなった父の映画館を守りたいデボラ。
彼女は「映画館を売れ」という守銭奴の母親と揉みあいの末、殺してしまう。
その動画が撮影されていたうえ、映画館で公開されてしまうのだが、事情を知らない観客たちは大興奮。
そしてデボラの映画を待ち望む観客たちが増えていき、彼女はスターになっていくのだが……。

ネタバレ

デボラはホラー映画をこよなく愛する父に育てられ、スターを夢見る子ども。
だが引っ込み思案な彼女は、映画館のイベントで歌を披露した際、おもらしをしたうえにその尿で感電。
その思い出のせいで、余計にシャイな性格になってしまったのでありました。

そして成長したデボラ。昼は図書館で夜は映画館のスタッフをしています。父は既に亡くなり、いるスタッフは映写技師の老人だけ。母は映画館を売ろうとしていますが、デボラは猛反対しています。

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(現在、クソイケメンな模様のスティーヴンくん)

ホラー映画専門の映画館に足しげく通うデボラの知人、スティーヴン。デボラより年下ですが、彼女を「デブ」と呼んでいます。
太ってるからデブじゃなくて、デボラの略称だったようです。わからんけど)
そしてスティーヴンたちが映画館のなかでスタートを待っている中、映写技師は唐突に外出。デボラがレジにいる時に、母がやってきます。「映画館を売れ」「売らない」と揉みあっているうちに、デボラはプッツンして(死語)母の喉にボールペンを刺して殺してしまいます。

パニックのデボラに、「映画まだはじまんねーのかよ~」「はよせい~」とお怒りの観客の声が届きます。焦ってフィルムをスタートさせたつもりが、なぜか館内の監視カメラが画面に大写しになり、録画フィルムが垂れ流されるという事態に。何がどうしたら映画館内に監視カメラの映像が流れるんだか知りませんが(どう考えてもつながってないだろ)、ガチャ押ししたからねしょうがないね。
しかし、そのリアルな演技?とリアルなスナッフムービーが受け、デボラは一躍時の人となるのであります。

味をしめたデボラは、映写技師の老人お助けを借り、次のターゲットを探します。
次の犠牲者はお母さんと仲良しの女の子・ベロニカ。彼女は映画館で携帯電話を使っていたので殺されます。
この子の殺し方が非常にエゲツナイのですが、女の子を追い詰めてお乳を丸出しにしてさらに追いかけ、ギロチンにかけることに。しかし、そのギロチンが小さすぎるというコントのような展開があるのですが、それを活かしてなんと「おっ○いギロチン祭り」が開催。

このおっ○いギロチンの短編映画のおかげで、デボラの人気はますます高まります。
スティーヴンもデボラにお熱。
彼のガールフレンドであるジュリア(この子はお堅いキャラ)もイライラ。
しかも、スティーヴンに気のあるそぶりをする学園のマドンナ・クレアと一緒に映画を見に行くことになっちゃいます。

そして、3人目のターゲットはデボラの元同僚、図書館員のエヴリン。この人は急に図書館をやめたデボラを心配して映画館に押しかけてくるのですが、天狗になっているデボラは鼻にもかけません。彼女は売店にはもう入らない!そしてスタッフを増やして監督と俳優業だけやる!と言い出します。

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そこで目を付けたのが、精神病棟に今まで入っていた殺人鬼の双子。
この双子がシンプソンズの双子(バートの同級生のほう)みたいっす。なぜかそこそこしゃくれてるし。
また、街で見かけたマジキチひったくりおじさん・エイドリアンもスカウトし、5人で映画撮影に挑むことになります。
エヴリンを図書館で襲い「映画館ではお静かに」と言いながら彼女の口を縫い合わせてしまうデボラ。ちなみにこの時点ではエヴリンは生きており、映画館に監禁されることになります。

次々と殺人にのめりこむデボラ。
次のターゲットはもちろん、ムカツク女・クレア!デボラのことをブスだと言ったり、彼女のスピーチ中にトイレに立ったりと傍若無人なクレアを殺すことを決意。
なんと映画の上映中にトイレに乗りこんで殺しちゃいます。トイレでケータイをいじっているクレアを上から撮影するじいさんとエイドリアン、ナイフで殺すデボラ。
ただ、そのまま行方不明になったクレアのせいで、スティ-ヴンは事態に気が付きます。

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翌日、デボラは「あなたがいてくれたからよ」と老人の映写技師に濃厚キス。しかし、スティーヴンの友人・ジュリアのせいでラブシーンは中断。
ジュリアはデボラをひやかす取材しに訪れたものの、デボラの犯行に気が付き、監禁されてしまいます。

素行があまりよくないスティーヴンは、行方不明のクレアのことで「アンタがなんかしたんじゃないの」と疑われる羽目に。おまけにジュリアも行方不明です。
警察にもかけこみますが、証拠がないのでどうにもできません。

そして、デボラ初の長編映画の発表の日。
映画館にはたくさんの人が詰めかけます。
その中には映画館常連のドラァグクイーン(センスがいいことでおなじみ)の姿やクレアの取り巻き、スティーヴンの友人(ジュリア以外のデブ女とぼんやり男)、そしてスティーヴンのホラー映画好きを心配する彼の母親の姿も!スティーヴンは母に帰るように促しますが「息子を理解したいから」と彼女は言うことを聞きません。
映画館ではウェルカムドリンクがふるまわれ、乾杯と一緒に飲むように指示されます。もちろん、このウェルカムドリンクには猛毒が入っており、飲むのを止めたスティーヴンを煽るようにドリンクを飲んだクレアの取り巻きは顔を腫れあがらせて死亡。
そのままドターッと倒れます。
これって演出?とザワザワする人たち。
ですが映画がスタートしたらジュリアが拘束されている映像がそのまま映ってるし、スティーヴンは顔色を変えて助けに行くし、頭上からは映画館の屋根裏部分に隠されていたものの、重さに耐えきれず板を抜いて落ちてきたバラバラ死体のせいでようやく観客たちも事態に気が付き、外に出ようと暴れ出します。

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ドラァグクイーンに迫る、女装したエイドリアン。しかし上から首なし死体が落ちてきて、死体に頭が刺さるという衝撃的な死に方をします。つまり、頭部を切った死体2つをつなぎ合わせたような感じの形態で死ぬのであります。

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(※とってもわかりやすい図解)
うわぁ、悪趣味!
スティーヴンはジュリアを助けて逃げますが、デボラは次に彼の母に目をつけ、拉致します。

スティーヴンがデボラの待つ屋上に向かった後、残されたジュリアやドラァグクイーン、友人たちに迫るのは映写技師のじいさん。
ですが、スティーヴンの友達のデブ女がじいさんを切り刻むし、ジュリアはカメラでボコボコにするし、すさまじい展開であります。

デボラと対決するスティーヴン。
彼はデボラのことをよく知りぬいています。彼女の傲慢さは自信のなさの裏返し。つまり、人格否定をすることで彼女の自信を揺らがせるのです。
「君はスターなんかじゃない」と煽るスティーヴン。
なぜか声がカスカスになるデボラ(デボラの吹き替え俳優さんが不調だったのか?)。

母がデボラにナイフを刺し、スティーヴンが突き落とすという連係プレーで恨みを晴らす親子。そして落下した先でイヤミな高校教師にデボラの血がドバッとかかるのは、「僕らの七日間戦争」でイヤミな教師を演じた佐野史郎へ捧げるシーンかと思いました(嘘)。
なお、生き残っていた双子は自分たちを刺し合って死ぬのであります。
そしてスティーヴンは「もうデボラの映画は尊敬していない」と言いながら「ショーは終わりだ」とつぶやきます。これで終わり。

「おっぱいギロチン」「首なし死体と人間の体が重力でドッキング☆」「老人とデボラの濃厚キスシーン」あたりは必見……なのかもしれない。
個人的には登場人物のキャラが濃くて面白かったですね。
エイドリアンと殺人鬼ツインズが特によかったかなあ。「クロックタワー3」のバカ殿みたいな衣装の兄妹(あれ、双子なでしたっけ?)を思い出したよ、なぜか。
チョッキチョキ!

あと、いい人ぶっていたジュリアとか友達が最後のほうでためらいなくバンバン人を殺していたので、モラルハザードがすごかったです。しかし、後でこの映画について調べていたらキャストの仲良し画像がいっぱい出てきて和んだのであった。