「インフェクション/感染」

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2014年のアメリカ映画「インフェクション/感染」を見ました。非常に物足りない感染映画ですが、この映画、非常にリリカル。感染の状況よりも人間の感情を主体的に描いているので、小説が原作の映画にありがちなふわふわした感じの作品です。見どころとしては、ジョシュ・ハートネットと「ゴシップ・ガール」の主役を演じたベン・パッジリーが出演しているところぐらいか?

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あらすじ

ゆるやかに、原因不明の感染が広がっていく―。
離婚寸前の夫婦、愛し合いながらもある「秘密」を抱えた夫婦、ささいなすれ違いがありながらもお互いを求め合う若いカップル。
彼らは感染とどう向き合うのか。

このお話、時間軸が悪い意味であっちゃこっちゃするのでホントーに見ていて疲れた。まあ、ラストにドッキリをもってくるために時間軸をあえてぼやかしたのでしょうが、世界全体がぼやけてきました。

ネタバレ

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まず、若いカップルの話から映画はスタート。
男の子・エリック(ベン・パッジリー)はミュージシャン。おぼっちゃんだからお金に苦労していないし、元カノとはニコニコ笑顔で話しちゃうしで彼女のアナはムカムカ。でも、結局は献花しつつも仲がいいという印象。

そして、老夫婦の話。
この老夫婦は実はエリックの祖父と祖母なのですが、この祖父は確実に人間を死に至らしめるウイルスの情報をある人物に売り渡した張本人。
それで大金を得たのですが(そこでエリックにお小遣いをあげる祖父)、その情報が原因でバタバタと人が死んでいきます。
じいさんは酸素ボンベをいろんなところからかき集め、妻と共に生きようとしますが、かつて親切にしてくれた看護師の死体を見つけてガーンとなったりもします。

この美人看護師の兄ちゃんが、ジョシュ・ハートネット。弁護士の妻と離婚寸前ですが、この事態を前にして一緒に地下室に立てこもることに。ですが、妻は焦燥していきます。

と、関係性がつながっていくのですが「だから?」という感じの感情しかない。

老夫婦たちは病院に行き、生き延びます。しかし、最後の登場シーンでは酸素マスクを外し、二人で微笑みあう…というシーンがあるので、共に死を選んだのか?それとも単なるリラックスタイムなのか?とまずは戸惑わせてくれます。

エリックとアナは子どもができたことが判明、お昼からイチャイチャしているのですが、そのままのポーズで死亡。
つまり、彼らのエピソードだけは感染が始まる前だったというわけでしょう。

ちなみに、ジョシュ・ハートネット演じる離婚寸前男の友達とアナが会話をするシーンもあるのですが、この友達はワルが売っているサバイバルセットをお金がないのに無理やり持ち去ろうとして、射殺されちゃいます。

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離婚している夫婦はとても気まずい感じです。奥さんは始終「青空を見て死にたい」と言い、旦那は「諦めるな」と前向き。しかし、耐えきれなくなった奥さんは出ていこうとします。それでも止める夫を前に、キョトキョトする妻。

「空を見て死にたい」とか、こういう時に思うものなのでしょうかね。曇天だったらどうすんだろ。

ラストシーンがまた、よくわからない。アナは妄想するのが好き、みたいな描写があるのですが、エリックがアナにプロポーズで贈った指輪を小さい女の子が持っていて、ママに「拾った~」と報告。女の子ニコニコ。というシーンがあるのであります。
私が「なんだよこの映画」とだらけていたせいか、何かを見逃したのかもしれませんが、それにしてもなんじゃこの終わり方とは思いました。
生き残った人につながっていく話なのか?

しかしこの映画、昨今の感染モノにしては珍しく「空気にガスが混ざっていて、それを吸ったらコテンと死んでしまう」みたいな展開なのです。 なんだろ。そんなに哀しくないなあ。というくらい、悲壮感がない話。
胸がかきむしられるような、「あーっ、こんなのやだっ!」と言いたくなるような気持ちにならないのであります。

それよりもじいさんのクソさ加減にピントが合わないのにホントイライラ。騙されたとかならまだしも、金のために情報売ってんだぜこのジジイ。ちなみに奥さんがサッチーに見えて仕方ないのであります。じゃあ、じいさんは野村元監督……!?!?んなこたぁない!とりあえず、プロポーズのシーンが 「あの建物が最近気になるんだよね!あの、形!形が気になるの!ちょっと見に行こうぜ」  みたいなヘタクソな誘い方だったからちょっと面白かったよ。