「ラスト/ナイト」

ラストナイト

2016年のイタリア映画「ラスト/ナイト」。
ある女性が車の中で気が付けば、周囲はゾンビだらけ・自分は記憶喪失・横には半狂乱の女。なぜ、どうして―!?と、導入部は面白そうなのでありますが、さほどその状況が活かされていない不憫な映画。ちなみに、車をゾンビに取り囲まれて籠城するのは「スウィング・オブ・ザ・デッド」です。車をゆさぶられながら大麻を吸ってひたすらダラダラ耐えるという、物凄い内容です。
それよりはサスペンス要素多めかな。

ネタバレ

女は車の中で目を覚ますと「あんたのせいで、みんなが死ぬ」と横の女に言われる。だが、その女は大ケガをしていてそのまま死ぬ。車の中で縛られていた女は、そのまま警察に電話するがつながらないし、謎の「シェパード軍曹」という男と電話で話し、自分がホープ・ウォルシュ博士だと知る。
その後、サムという男性と電話がつながり、合流することになったホープだが、彼の後ろからゾンビがやってくるのが見え、車に戻って籠城。サムが懇願してもドアを開けず(余裕があるのに)、サムはゾンビに食べられてしまう。
ということで、ホープさんはとても性格が悪いです。しかも、無自覚に。

サラという女性と電話がつながるが、彼女は姉らしい。そして、さっき死んだサムは彼女の夫、つまり義兄だとわかる。
ゾンビは彼女の乗っている車をゆすり、窓から手を入れてくる。だが、あっさり消えてしまう。

実はホープはウイルスの研究者であり、ゾンビワクチンの研究を進めていた。彼女は解毒剤を開発したが、そのせいで誘拐されてしまったのだ。ホープには娘のアナがいることがわかる。
しかし、後部座席には縛られていた老人がいた。彼は帰宅しようとしていたところを、冒頭で死んだ女に車を奪われ、誘拐に巻き込まれたらしい。
周囲を調べようとしてゾンビに襲われるホープは、老人に車を締め出されてしまう。サムにしたことをされかえされたのだ。彼女は車の上に登って難を逃れる。
※しかしこの世界のゾンビは気まぐれで、突然いなくなったりもします。その意味は不明。イタリアのご当地ゾンビはそういうものなのかもしれない。

このウイルスは体液で感染するらしい。感染したら1日以内に発症するし、噛まれたら1時間で発症する。老人は車の中に戻ったホープを罵り続ける。だが、冒頭の死んだ女がゾンビになって老人を噛み、感染させてしまう。そして、ホープも感染する。だが、ホープはじいさんを車から放り出す。
ウイルスから逃れるには、噛まれてから30分以内に解毒剤を飲まなくてはいけない。サムの死体を漁って解毒剤を探すホープだが、姉にはサムが死んだことを隠している。解毒剤を飲んだホープだが、ツメがはがれ、歯もとれている。彼女は違う薬を飲んでしまったのだ。その薬を持っているのはサムだけなので、彼女は姉に怪しまれる。
ちなみに、本当の解毒剤は「オシッコみたいな色してるの」(姉談)だそうで、間違った際には「オシッコみたいな色っていったでしょ!」とガンガンに怒られる。やめてくれ。

実は政府やCDCは、市民を見捨てて自分たちだけが助かるように解毒剤を管理していた。市民たちにはニセの解毒剤を渡し、自分たちは本物のほうを飲んでいた(そしてそれを持ちだして隠せと命じられたホープが、子供が感染した冒頭の女に誘拐されたという経緯があった)。だが、記憶をなくしたホープはそのことを忘れ、ニセの薬を飲んでしまったのだ。

自殺もできないまま、車の上でタバコを吸うホープ。スマホの映像(家族)を見て泣く。
姉に電話をして、サムやみんなを殺したのは自分だというホープ。
「ここにいた人で助かった人は誰もいない。私たちはみんな死んだ。一人残らず」
ゾンビ化したホープは、他のゾンビと共に森を練り歩いている。

感想

・イタリアのゾンビは襲ってきたらどっかにいったり、気付いても微妙にノロノロしていたり、死体を食べているわりに絵面が地味すぎてよくわからなかったり、なんだか「コレジャナイ」感がすごい。
・そして、とにかくホープの性格が悪い。別にツンツン系でも自己中心系でもなく、マイルドに「私が助かりたい」が前面に出ているので、非常にイヤな人なのであります。
・「解毒剤の量産が間に合わなかったから、市民を見捨てた」とか、「金持ちから順番に助かる」系の話を目にして、日本の富裕者層を思い出すとなかなか味わい深い。