余命あと3日…?よしアプリをハッキングしてプログラムを書き換えましょう!という行動派ヒロインがスゴイ『カウントダウン』

カウントダウン

「〇〇を使ったせいで」というホラーは古の時代から存在しています。わかりやすいものはウィジャボード、カメラ、アンティークドールなど(以前の持ち主の思いが残っている系)でしたが、徐々にこういった「モノ」ではなく、「ネットを使ったせいで」に移行しつつあるのが最近のホラー。

SNS、動画配信はもちろんのこと、最近の流行はアプリなのかも。通話アプリを使用したオカルトやミステリーはコロナ禍で一気に流行して一気に廃れましたが、わたしはけっこう好きです。

この2019年のアメリカ映画『カウントダウン』は、オリジナル(現実には存在しない)の余命表示アプリがもたらす死の恐怖を描いたもの。

その内容は、なんと死のカウントダウンを表示するというアプリ。ちょっと変わっているのは、起動したら一定期間過ぎると退場する… というわけではなく、マジでカウントダウンが表示されるだけ。つまり、普通に長生きする予定の人はそのまま表示されるし、何も起こらない。つまり利用者が全員酷い目に遭うわけではありません。

ちなみにその余命を伸ばそうとすると「規約違反」になり、よりむごい死が待っているということらしい。

誰がなんのために作ったのかはわからない。ただ、悪魔的なものとの対決シーンがあるので、オカルト映画に近いんだとは思います。

 

主人公の看護師・クインは余命3日と表示され、さらに妹も同じ余命だと知ってしまう。同じく余命僅かな青年・マットとともに、妹を助けるためにも運命に抗おうとするクインだったが…

というストーリーなんですが。

この手の映画はわりと低予算な脚本とセット、さらにチープな俳優陣が集まっている印象ですが、この映画は面白かった。

「ファイナルデッド」シリーズにシステムは近いものがあるのですが、先の読めなさやスリリングぶり、ほのかな恋愛模様なんかも楽しめ、シンプルにハラハラする感じ。

冒頭、学生たちのパーティのバカ騒ぎから恐怖シーンに移り替わるのは、なんとなく「スクリーム」のわちゃわちゃ感を思い出したり。また、「リング」の呪い感に近いものはあるのですが、幻聴・幻覚はそこまで強調されません(ちょっとは出てくるけど)。

とはいえ、ストーリーになぜか医師のパワハラセクハラ問題まで絡められているのは謎ではあるのですが、この医師ものちに伏線になるのには驚いた。

 

というのも、アプリに表示されている余命を反故にする→呪いから解放されるには、表示された余命と現実に矛盾を起こせばいいという“法則”が途中で判明するんです。

そうなると

  • アプリに表示されているよりも長生きする
  • アプリに表示されているよりも先に死ぬ

のどちらか。マットは神父に手助けしてもらい呪いを妨害しますが、アプリの時間通りに退場。

ということは… アプリに表示されているよりも先に現実から退場するしかない。クインは自分の上司であるセクハラ医師もこのアプリを利用したことを覚えており、彼の命を奪えばアプリに矛盾を起こせることに気が付くのです。

 

しかし、クインが医師を釣るシーンがすごい。めちゃくちゃ誘惑して、股間もまさぐり、裸で鬼ごっこ&かくれんぼまでしちゃうという。

日本だとこういう目隠し鬼のようなシチュエーションだと「もういいかい」「まあだだよ」ですけど、アメリカだと「マルコ」「ポーロ」なんですよね、掛け声が。だからシュールでねぇ… マルコ・ポーロと言いながらアハハンこっちよ~ウヒヒつかまえちゃうぞ~と言い合う空間。しかも、誰が来るかわからない病院の地下でやることじゃないと思うんですけど。日本の大学病院だとナチュラルローソンとかある位置よ…? 

医師を襲うも失敗、最終的にはクインは自死してアプリに矛盾を起こして妹の死を無効化。しかし、勘のいい皆さんはお気付きだったでしょう。

クインは看護師なので、死にかけてもぎりぎりで妹に指示を残し、別の薬物を投与してもらって蘇り、助かったのだ! たぶん看護師として登場した時点で、その医学の知識を活かして仮死状態になったりするんだろうなあと思ったらビンゴでした。

いや、新人看護師でそんなに薬物に詳しいとか現実味があるんでしょうか…? モルヒネを大量投与した後に何を投与したら生き返るんだろ…??知りたい…

生還した姉妹でしたが、削除したはずのアプリがバージョンアップして戻ってきて…!? という、続編があってもおかしくないラストでした。

 

クインの相手役のマットは途中でがっつり退場してしまうのですが、すごく爽やかでひたむきでよかったですね~!クインもマットも自己肯定感が低いところがあるのですが、それぞれに親族を“自分のせいで”亡くしたと自責しているという共通点があり、それでも懸命に生きているというキャラクター設定も良かった。

演じるはジョーダン・キャロウェイという俳優さんですが、テレビドラマが主舞台の模様。この作品はアメリカでいうところのティーンズホラーに属する映画なのかもしれませんが、これから人気が出そうかも!?とは思いました。

ちなみに主演のエリザベス・レイルは「YOU-君がすべて-」にヒロインで出てたらしいですけど(未見)、あのホラーゲームを映画化した「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」にも出演しているそう!これは公開が楽しみですね。

お助けキャラとして登場するおとぼけ神父は役立たずながらかわいらしいキャラ(緩急でいうとゆるやか担当)、アプリにハッキングしてくれる金に汚いスマホショップのおじさんもいいキャラだったな。

脇役が魅力的だったのが、ストーリーを輝かせていたのかも…?

ただ、妹は途中までクッソ憎たらしい子供でしたけど… あと、シングルファーザーであるお父さんの眼の瞳孔が終始開いているので、もしかして主人公を虐待してたとか?それとも暴力を!?とドキドキしていたら、単にそういう顔の人でした(欧米に稀にいる、瞳の潤いがハンパじゃない中年男性だった)。普通のお父さんでした…

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