韓国ホラーって出来がいいものばかりだと思っていたけど、そんなことなかったのかな…
ある意味、真実に気付かせてくれたのがこちらの映画。『ホワイトデー:壊れた結界』。2019年。簡単に言ってしまえば、ものすご~く低予算のアイドルホラーです。
悪霊がうごめく高校に転校してきたある男の子。彼は霊媒師の才能があるものの、それを発揮する能力もやる気もない。だが、その夜に学校に張られていた結果が破られ、校内に残っていた生徒たちは異変に巻き込まれる…
みたいな話。
まず、大きな違和感について触れておきます。
タイトルの「ホワイトデー」がまったく意味ない。別に恋人同士が主人公なわけでもないし。最後にちょろっと触れるだけで、たまたまホワイトデーの日に起きた事件ってだけ。
ただ、原題が「ザ・ラビリンス」だから、これは配給会社が悪いと思う。
しかしそれだったとしても、ホワイトデー絡みの学園ドキドキ恋愛オカルトゴタゴタ劇(長いけど期待値はこんなんだよ!)かと思うじゃないですか!期待を裏切られたよ。
あと、わりとたくさん人が出てくるわりにあんまりそれぞれのキャラを活かしきれてないのももったいないし、脚本の先の展開が読みやすいほど平坦なのも哀しい。わりと正面からディスってしまいました。
まあ、簡単に紹介してみようと思います。
主人公のイ・ヒミンは転校生で、悪霊払いの後継者。元アスリートだけど、ある事件をきっかけに入院してダブっていたという役どころ。
そこに幽霊が見えるツンツン気の強いキャラ、ユ・ジミンと、心を閉ざした美少女、ハン・ソヨンが絡んできます。ヒミンはソヨンに一目惚れ、ジミンとは初対面から幼馴染の腐れ縁モードを発動していました。
それにおっとり天然少女のソル・ジヒョン、何かを知る謎の少女、キム・ソンアと女ばっかり登場するので、ハーレムラブコメ感がすごいんだ。古すぎて逆に新鮮だよ。
ソヨンのお姉さんはある事件(某女生徒が火事で亡くなっている)に巻き込まれ入院しており、そのせいでソヨンもふさぎ込んでいます。そして、事件に関係している不良グループ… という、明らかに犯人が誰なのかわかりやすい関係性も定番中の定番、ベタですが、それよりすごいのは高校自体の因縁。
そもそも悪霊が多く呪われやすい土地だったそうですが、若者の気(エナジー)で封じ込めるためにその上に高校を立てたんですと。いや、逆効果じゃない…?爽やかで健康な高校球児みたいなんばっかりだったら効果もあるかもしれないけど、ごりっごりに邪気まみれのヤンキーばっかりなので絶対に意味がないのよ!
その高校にかけられている結界を、知らず知らずのうちに解いていってしまうヒミン。途中でそのことに気付かされるも、人命を助けるために結界を破り(これは仕方ない)、どんどんと力を増す幽霊。結界を解くといっても、そのキーポイントに足を踏み入れるだけでアウト。つまり、校内に入るだけで結界破れたはいアウト!とかあるんですよ。ざ、雑ゥ!!!!
なんとなくカメラワークで察していたのですが、幽霊の正体はキム・ソンア(ソル・ヒジョンとしか話しているシーンがないうえに、めちゃくちゃ暗いところでしか会話してないので明らかにおかしい)なんです。おっとり天然少女はなぜかソンアを親友だと思い込んで恋愛相談もしてるけど…
これは天然なのか?幽霊に思考を乗っ取られているのか??
そして衝撃の事実。
- ソンアの母親は霊媒師だった
- ソヨンの姉ちゃんとソンアが仲良しだった
- ソヨン姉と不良グループが付き合うことを危惧してソンアは警告したが、聞き入れてもらえなかった
- ソンアは不良グループにたてつき、そのせいで火事に巻き込まれる。ソヨン姉は自分のしたことを告白せず、警察にウソをつく
- ソンアは幽霊となった今も怒っている
- 霊媒師の母がソンアの蘇りに力を貸した?
みたいなわりとどうでもいい真相が暴露されます。そのせいで不良グループも血祭りにあげられます。
ただ、女生徒ヤンキーを分解してトイレにパーツを積み上げるのはいかがなものかと思いました。雑なCGでもむごすぎて飛び上がったよ。見た目はちょっとクロカンブッシュだったけど。
また、悪霊に支配された人間がゾンビ化して襲ってくるところは深夜ドラマのような安さを感じてしまった。
途中でヒミンの過去(親友が亡くなっているのだが、彼はヒミンの「厄除け」として施設から引き取られており、身代わりになって命を落とした。父は悪霊払いの仕事から逃れようと逃げて命を落とした)も明らかになるんですが、ここらへんはふわっと触れて終わり。
ストーリーの裏ではヒミンの父親(途中で血を吐いて退場)とその弟子が、ソンアの母親を説得して霊となった娘を再会させ、騒動を収めるみたいな展開もあるのですが、こちらもよくわからないうちに話が終結していた。
そもそも、ソンアがどんな力を持っているのかとか、結界がどこにどのように張り巡らされているのかとか、回避策はあるのかとか、そういう説明一切なし。わかりやすいでっかい石でも置いといてくれればいいのに。
そして突然朝が来て、みんな助かって、ソヨンはヒミンにデレて、ジミンはヒミンから突然ホワイトデーのプレゼントをもらってウキウキして終わり。
なんなんだろうこの話は…??
ここでホワイトデーの思い出でも噛みしめようかと思ったのですが、何もない。記憶がないんだ。昔の少女漫画にはやたらとバレンタインとホワイトデーは登場したけど、今の時代に同じくらい意味を持っているのだろうか?(そういえば、私は女子校出身なのでみんなでお菓子を交換していたという思い出しかないことに気付く)
こんなにホワイトデーの意義について考えさせる映画って他になかった気がするから、そういう意味では存在意義があるのかもしれない。ちなみに、今年度ワースト1を争うレベルで「?」な映画でした。面白いことも書けやしない。見た時間返して!おわり。