2017年にメキシコで製作された『ザ・マミー』を見ました。
いや、いろんな意味で怖い!
死霊が登場するという点ではもちろん怖いのですが、メキシコだもの。ものすごいの。
マフィアに両親を殺されたり兄弟を誘拐されてストリートチルドレンとなった子供たち。
彼らのうちのひとりがマフィアの携帯電話と拳銃を盗んだせいで、大人たちに命を狙われてしまう。
しかも、そのマフィアには政治家も絡んでいて…!?
と、おも~い設定が絡んできます。
子供が拳銃を持っているシーンは見るだけで胸がズーンとする。子供らしくはしゃぐシーンと、むごたらしく物のように扱われるシーンが交互にくるので、もうつらくてつらくて…
シャイネと兄(別の不良グループにいる)が再会するシーンでは、真横でグランドピアノが燃やされているのが怖い。燃やすもんじゃねーだろ。
お話の大方はストリートチルドレンのおかれている悲しく厳しい現状を語っているのですが、グループの紅一点・エストレヤが失踪した母を探し、夜になると現れて助言してくれる(この時点で殺されていることがわかるのですが…)母をそれでも追い求めるというシーンにホラー要素が挿入されています。
冒頭、授業中に銃撃事件があって生徒が怯えたり、帰宅時に遺体を見つけたりという時点でこんな現実にさらされている子供もおるんか…という印象ですが、その遺体から血の筋がずーっと伸びてきてエストレヤを追いかけてくるのも奇妙で恐ろしい光景です。
また、母がいなくなってからエストレヤが願い事をするとその願いが叶うけれど、悪いことも同時に起きるという設定もダークファンタジーらしい趣を強くしています。
途中で仲間が殺されたりする衝撃的な展開を経て、マフィアと対峙するエストレヤたち。
というのも、ママや被害者の死霊が現れて「ここにやつらをよべ~!」と大合唱したりしたからなんですけど。どう考えても復讐する気ですね。
しかし、携帯電話を受け渡す会合に同席した政治家が、携帯電話を取り戻すとマフィアたちを殺してしまいました。子供たちは見逃してくれましたが(悪いけど優しいところもあるといえるのか、子供まで殺すのは自分の後味が悪いからか、単に面倒だからかは不明)、シャイネが携帯をすりかえていたことから彼を激高させてしまいます。
実はシャイネには顔にあざがあるのですが、最後のお願いで「彼の顔のあざを消して」とお願いするエストレヤ。その瞬間、射殺されるシャイネ。
この後はまたまた追いかけっこがあり、逃げた部屋の中で母の遺体と対面するエストレヤ。
大人になったらもらうはずだった母の鳥のブレスレット。その鳥が羽ばたいてエストレヤの腕に移ってきたり、殺された男の子のぬいぐるみが逃げ道を案内してくれたりと、怖がったらいいのかファンタジーにひたったらいいのかわからない流れに。忙しいのよ、ホント。
最後、死霊となったシャイネと再会するも、シャイネは政治家を処刑するために消えていき、エストレヤは彼にすべてを託して建物を脱出。
シャイネが仲間に繰り返し話していたトラのおとぎ話からか、エストレヤの行く先にもトラが出現(もしかしてマフィアに殺されたトラの霊かもしれんが)し、衝撃的な印象を与えます。
ただ、同時期に借りた『カイジ 動物世界』でもトラが出てきて、まさかのトラかぶりがありました。そんなにかぶるもんでもないんですけどね、生のトラ。
ちなみにDVDジャケットには「ママが殺しにくる」と書いてあったけど、娘を殺しにはきてません!こういうミスリード的なジャケットって何を考えているのだろうか。
『パンズ・ラビリンス』をなんとなく思い出した。だからDVDジャケットにデル・トロがコメントを寄せているのかしら。
私は好きです。見る意義がある作品です。