ベルギーの変わったホラー映画『YUMMY ヤミー』を見ました。2019年の映画。
まず、整形病棟を舞台にしたゾンビ映画だというのが、なにか悪ノリがありそうなニオイで見る前から盛り上がりますね。DVDのジャケにも『美味しい者勝ち!?』と書かれているのが、いかにもバカであります。
調べてみたら、ベルギーでは初めてのスプラッターゾンビ映画と謳われておりましたが(ホントぉ?)真実は不明。
とはいえ、ラストを見るに、この映画の製作陣の本気度は痛いほど伝わってきたぞ!
主人公は巨乳に悩むアリソンと、血を見ると気絶する体質で医大をドロップアウトしたミカエル。このカップルと美容整形マニアのアリソン母がある美容整形病院を訪れたことからお話がスタート。
巨乳を小さくする手術って海外では珍しくないと聞いたことがありますが、アリソンがとにかくいろんなところでいろんな男にセクハラを受けまくるのがかわいそうすぎる。車で走行中、隣のバスに乗る男子大学生から「ヤらせろ~」と囃し立てられたり。ベルギーの治安よ…
で、この病院では若返り治療の実験を行っており、そのせいでゾンビが爆誕。どんどんゾンビ感染が広まっていきます。
ちょくちょく挟まるゾンビシーンのギャグセンが高いので見ているだけで楽しい。
お腹の脂肪を吸い出す手術中にゾンビに襲われて、脂肪が逆注入されて腹が爆発したり。上半身だけの女ゾンビ(自分の下半身食べてる??)が追っかけてきたり。ピーリング中に襲われて手術が失敗、見た目がぼろぼろになった女性がゾンビと間違われたり。
ゾンビとは関係なしに自分のチ〇コが大炎上するおじさんが出てきたり。
ママを見つけて救出するも、感染によって母は死亡。生存者たちは病院からの脱出を図りますが、生存者はガンガン脱落していき、病院の職員(ヤク中でアリソンの乳を狙っている)とアリソン、ミカエルのみが生存し、下水道から脱出する計画をたてます。
というのも、病院に駆けつけた警察は見境なしに発砲して殺しにかかっているので、マンホールから出ようというわけ。しかし、マンホールから出ようとした瞬間にその上を車が通り、アリソンの指が圧し潰されて大変なことに。
彼女の指をちぎりとって助けるミカエルですが、すごい痛そうだし、かわいそうだし、でもそこはかとなく“マヌケ”なシーン。サイコーであります。この“マヌケ”な感じ、この映画に一貫して流れているのですが、ちょっとゆるくてほわっとしているのがいいんですよ。会話で笑わせようとはしてないのもいい。一所懸命にがむしゃらにバカ!って感じ。
彼女を手に入れるために、ミカエルを下水道に閉じ込めるヤク中の男。しかし彼は既に感染しており、アリソンは「最後にヤラせろ~」という彼を殺します。しょーもな!
既に感染は外に広がっており、『ゾンビ』『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』みたいなまったりまったり歩くゾンビが人々を襲っております。この世界観もちょっとオールドな感じでいいのよ。もはやファンタジーっぽい。
アリソンは車を走らせますが、そこに飛び出してきたゾンビ。苛立つ彼女はそれを轢き殺しますが、よく見たらそれはドロドロに汚れたミカエル!人間、しかも恋人を轢き殺したアリソンはショックで手元を滑らせ、街路樹に激突して死んでしまいます。
えっ、なんちゅう終わり方… 『人肉村』と同じような終わり方だけど、こっちのほうが好きかな。
救いがない。「おっぱいを小さくしたかっただけなのに、なんで?」と口にするとやはりマヌケですが、アリソンとミカエルだけを助けるという選択肢も製作陣にはあったと思うの。でも、そうしないで全滅させるところがいいねぇ。キャラクターに思い入れを見せないところがいいんですよ!
ちなみに女性のおちちは全然出てきません。
なお、手術室で飲食している医師にミカエルが激怒するシーンがあるのですが、「だめんずうぉ~か~」で整形外科医のダメ男が患者の包茎手術をした後に手術台で鶏皮食べてたってエピソードを思い出しました。