美しく輝く灯台のなか、醜く争う2人の男『ライトハウス』

2019年の『ライトハウス』を見た。ウィレム・デフォーとロバート・パティンソンしか出てこないんですけど。アメリカ映画です。

いやぁ、いいねえ。ロバート・パティンソンの出演作の選び方ってすごいなあと常々思っているのですが(めちゃくちゃ重たい映画によく出ているイメージ、孤独だとか狂気とか感じさせる役ばかり)。

監督のロバート・エガースは幼い少女とその家族が魔女伝説によって狂い引き裂かれていく『ウィッチ』でデビュー、で2作目がコレ。モノクロ映画なのですが、すごい鮮烈でしたね。

ストーリーはわりとシンプル。ベテランで気難しく口汚いじじいの灯台守と、新人灯台守が4週間2人で孤島で過ごすことに。

しかし、徐々に新人灯台守のストレスがかさんでいき、殺すなと言われたウミネコを殺してしまいます。このシーンがすごいんだ。ビターンビターン!と鳥を石に打ち付けて殺すのね。トムとジェリーみたいな動き。か、かわいそうな鳥…。

激しい嵐のせいで島から出られず、食料も配給制になり、凶暴性を増していく新人灯台守。実は彼は前職で仲間を見殺しにし、その彼の身分を乗っ取っていたという過去があるのですが…

なお、前の灯台守も人魚伝説に取りつかれて死に、彼もまた人魚の幻覚に心奪われ、狂気を増していきます。

最初はベテラン灯台守のパワハラ言動にウンザリしていたのですが、途中からアレ?じじいのほうが全然まともじゃね?と気付かされていく感覚が面白い。

そしてどうしても灯台の光源の部屋に入りたい新人灯台守(なお、この部屋の描写は非常に美しいです)はベテラン灯台守を犬扱いして首輪をつけ、さらには穴に入れて埋めてしまいます。しかし最終的には彼自身も死を迎え、ウミネコについばまれて終わるのです。ウミネコくんたちフィーバー!そういや、こいつら肉食なのかと思って調べてみたら、雑食らしいです。なんでも食べるらしい。人の味を覚えたらヤバそうですね。海岸でサンドイッチをさらうみたいに、人間の肉ついばみにきそう。

2人とも演技うまいので、ファンの方は見て損はなし。レンタルで見ましたが、吹替が入っていたのも有難かったです。