でっちあげ誘拐事件がまさかの展開へ!小粒の秀作サスペンス『アナーキー:無法集団』

アナーキー無法集団

2017年のアメリカ映画『アナーキー:無法集団』を見ました。『パージ:アナーキー』を匂わせるDVDジャケットと邦題ですが、中身はちょっとしたサスペンス。ホラーではなかった。ただ、ストーリーの裏切りにはびっくりしたので、興味がある方はご覧になってもいいかもしれません。

ただ、お話自体はわりと気持ち悪い。

バーテンダーの美女に一目惚れした男が、自分と彼女の誘拐事件をでっちあげて、誘拐犯たちをやっつけて自分のことを好きになってもらおうと頑張る話。ただ、そううまくはいかず…!?

という、ストーカーの話。途中で哲学的なナレーションがちょくちょく挟まるのがなんとなく漫画のようです。

実はお金持ちの主人公・クラレンスはモテ男のパトリック(とはいえ、あんまりカッコよくないのはご愛敬か??)に頼んで誘拐事件を自演。美女のアレックスもろとも誘拐されてみて、彼女をかっこよく守ろうとします。しかしアレックスは実は離婚直前の人妻であり、なかなか離婚してくれないクズ夫に悩んでいる最中。

パトリックが連れてきたのが彼女のジェイド、めちゃくちゃバカのKJ、ドラッグやりまくりのカール、KJの親友でやはりバカのエンナリーの4人ですが、何も知らない彼女がエンナリーに抵抗して射殺してしまい、物々しい雰囲気に。

しかもすぐにアレックスが逃げるのでみんなで追いかけたり、アレックスが窓から落ちたり、警備システムを止めていなかったせいで警察がきたりとトラブル続く。しかし、パトリックが警官を殺し、クラレンスはドラッグでらりらりのカールを殺しと、どんどん殺人が積み重なります。

パトリックはクラレンスを撃ち、どんどんクズ人間ぶりを露わにしていくのですが… な、なんと!

パトリックは実はアレックスの旦那だった!彼が今の彼女にプロポーズするのに使ったのはアレックスの指輪だった!

そして主人公は富豪でもないし、なんならパトリックとアレックスの関係を知っていて騒動に巻き込んだのだ!

という事実が発覚。この間、アホのKJが階段から落っこちた拍子に自分を銃で撃ちぬきまくって死亡。あと、ジェイドも射殺された気がするけどあっさり退場。

謝礼の入っているはずのアタッシュケースに入っていたのは… なんと、パトリックがごねてサインしていなかった離婚証書!!!

要は、彼女に幸せになってほしいクラレンスが仕組んだことだったのですが、警察も援軍が来てパトリックが捕まり、舞台となったレンタル豪邸が取り囲まれます。

クラレンスは「アレックスに撃たれる」「警察に投降する」の選択肢で迷いますが、アレックスは優しく「3つ目の選択肢があるはずよ」と言い含めます。で、終わり。

なんとなく、クラレンスとアレックスの未来を感じさせるあたたかい雰囲気で終わるのですが、アレックス以外(まぁ、ジェイドもまともだが)、ほんとにやばい人しかいない。

ただ、この遠回し感、嫌いじゃないですよ。クラレンスの無能おぼっちゃま感(ただ、セレブには見えないのでちょっとだけオチは予想できていた)もいい。マスクがしょぼしょぼですが、よくできたサスペンスです!