※殺人四駆は出てきません。『4×4 殺人四駆』

4×4

2018年のアルゼンチン・スペイン映画『4×4 殺人四駆』を見ました。

「乗ったら最期、脱出不可能!」とあるように、高級四駆から脱出できなくなる男の話。でも殺人四駆というサブタイトルがあるくらいだから、車に追いかけられる?車のAIが殺しにかかってくる?とかいろいろ考えたのですが、なんと。フツーに閉じ込められるだけです。いや、それでも出られないのは絶望でしょうが。

車の窃盗犯であるシロは立派な四駆を盗もう(というよりも車上荒らしかな?)と忍び込みますが、エンジンもかけられないし出られないことに気が付き絶望。車の持ち主は通話機能を使って彼に電話をかけてきますが、その目的は不明。ただ、シロは金持ちが憎いのか、閉じ込められたと気付く前に後部座席にお〇っこまいたりしていたので、その時点で擁護する気はなくなる。

シロは水も食料もなく、娯楽も何もない車内で延々孤独を味わうことに。車の窓には目隠しのスモークシートが貼られており(車内からは見えるけど、車外からは中を覗けない)声も届きません。

たまに食料や水のありかを教えてくれたり、逆に個人情報を引き出され嫁と子供にコンタクトをとられたりという展開がダラダラと1時間近く続き、これからどうなるのか?と思っていたら…

わりとフランクに車の持ち主・エンリケがやってきて様子を見てきます。普通に助手席に乗ってくるし。

どんなサイコパスが犯人かと思いきや、彼は犯罪者に対して並々ならぬ怒りを抱えている正義漢。仕事は産婦人科医で仕事ぶりはマジメ、世間の評判もいいちゃんとした大人だったのです。

つまり、犯罪が多発している治安の悪い地域では、窃盗や強盗、殺人が横行しているし、被害者になっても「運が悪かったね」程度で済ませられてしまうこともあるため、被害者側には鬱憤がたまり続けている。エンリケも何度も奪われ、悔しい思いをしてきた。でも加害者は次の日には釈放されているんだ!とのこと。

それってホントなのか…?(コネか買収??)

逃げようとしたシロはエンリケに人質に取られ、この騒動は警察にも伝わり、たくさんの野次馬が集まります。

途中から突然の社会派展開となり、野次馬もシロを殺せ!と煽る人もいれば、シロだって人間だ!殺すな!という人も出てきて大騒ぎ。結局エンリケはシロを解放、四駆を爆破して自害するというスゲーオチで終わりました。

しかし、エンリケのまっすぐで悪を許さぬその佇まいに、警察やマスコミは「ヒュー、まるでSAMURAIだぜ…」と称賛の声をあげた… って、侍はそういうものではないと思うが。ズッコケて終わりました。