「我は神なり」

我は神なり

2013年の韓国映画「我は神なり」。もともとのタイトルが「THE FAKE」なのに、なんdかおかしいことになっています。
これはアニメ映画なのですが、手掛けたのはヨン・サンホ監督。「新感染 ファイナル・エクスプレス」や、「ソウル・ステーション・パンデミック」の監督ですね。
ある閉鎖的な田舎で、宗教にのめり込んでいく住人たち。だが、彼らは騙されている。それを知っているのは、村の厄介者・ミンチョルだけ。
彼は真実を伝えようとするも、家族ですら、彼の言うことを信じない。
「バッドエンド」と聞いた通り、マジで胸糞が悪い映画です。

登場人物

ミンチョル:村のトラブルメーカーで嫌われ者。気性が荒く、気に入らないことがあると娘にも手をあげる。
ソン:教会の牧師。ある過去を背負っているが、それを秘密にしている。信仰にすべてを捧げている。
チェ長老:牧師をスケープゴートにし、住人から金をかき集めている詐欺師。
ヨンソン:ミンチョルの娘。有名大学に進学する予定だったが、ミンチョルがその入学金に手を付けたため、断念した。

ネタバレ

牧師を迎えるチェ長老。その背後では、長老の部下の男たちが犬を殺している。
ダムの埋め立て予定地の村。多くの住人が、埋め立てに際して金をもらっていた。その金を「祈祷院を立てる」という目的のもと、巻き上げているチェ長老。そのことは、ソン牧師すら知らない。

ヨンソンは有名大学合格の知らせに大喜びするが、必死に働いて貯めた金が消えていることに気が付く。父のミンチョルが帰ってきたのだ。ミンチョルは粗暴で、暴力的な男だ。
昔からの友人(彼をアニキと呼ぶ)だけが、ミンチョルの面倒を見ている。

飲み屋で、チェ長老と喧嘩になったミンチョル。警察に捕まってしまう。
だが、ミンチョルは警察で、チェ長老が詐欺で指名手配されていることに気が付いていた。

教会は、「飲むとどんな病気も良くなる」という水を住人に売りつけていた。ミンチョルの昔からの友人は雑貨屋の店主をしているが、彼の妻は病気だ。だが、水ばかり飲み、薬を飲まなくなっていく。

ミンチョルはたまたま教会付近でチェ長老を見かけ、追いかける。たまたま牧師の話を聞いた彼は、洗脳されたような住人たちの姿を恐ろしく感じ、挑発する。案の定、長老の部下のチンピラにボコボコにされるミンチョル。
彼の妻と娘は、彼のことを恥ずかしく思う。

マンションの建設予定地に縛られ、放置されるミンチョル。隠していたヨンソンの通帳もとられてしまう。

チェ長老は落ち込んでいるヨンソンに近づき、家を出て髪の仕事を手伝わないかと誘う。大学に行く金も出してやるからと、停まった車の中で手を握るチェ。ヨンソンは固まってしまう。

マンションの建設予定地にやってきたバイカーたちに助けてもらうミンチョル。そのまま警察に行くが、彼の話を誰も信じない。牧師や信者に聞き込みするのに同行するミンチョルだが、牧師は指名手配された詐欺師がチェ牧師だとわかったのにしらばっくれる。住人たちは、ろくに写真も見ず、ミンチョルを悪魔だと非難する。
しかも、家に帰ったらもうヨンソンが消えていた。ミンチョルは怒り狂う。

牧師はチェ長老を訪ねるが、立ち聞きした話の内容から、彼が詐欺師だとはっきり理解する。だが、チェ長老はソン牧師がソウルで未成年の女の子を強姦し、自殺に追い込んだ過去を持つと指摘する。取り乱すソン。
だが、本当は父親に虐待されていた少女を助けただけだった。彼女を自分の部屋に連れていき、キスはしてしまったが。その後、父親が彼女を連れ戻しに来て、そのまま少女は自殺してしまった。牧師は教会を追われた。

その頃、村の愚鈍な青年・ソンホの祖母が死んだと知らせが入る。
雑貨店主の妻は、自分もいつ死ぬかわからない、天国に確実に行きたいから教会に金を寄付してくれとごねる。この村で、献金をしていない家族はほんのわずかだ。渋っていた店主も、妻のためにと決意する。

ミンチョルは娘を捜すためにヨンソンの元職場を訪れる。だが、ヨンソンの元同僚の女の子たちは、「ヨンソンのことは放っておいてあげて」と泣き出してしまう。

真実を知った牧師は泣いてばかりだ。

ミンチョルは娘がいるらしいアパートの一室を訪れるが、どう見てもタコ部屋だ。

チェ長老は、自分の言いなりにならない牧師に苛立って暴力をふるおうとするが、そこに偶然?ソンホが現れる。ソンホは、なぜか包丁を握っている。

ヨンソンは、カラオケで男性に胸を揉みしだかれていた(たぶん「ノレバン」っていう風俗業の一種だと思う。女の子をあっせんされてからカラオケ→ホテルに行くらしい。韓国映画ではたびたび出てくる)。彼女はつらくてたまらない。
そこに、ミンチョルがカマを片手に乱入し、娘の髪の毛をつかんで店から引きずり出す。
タクシーに乗せられたヨンソンだが、父は「家に連れ帰ったら外出禁止」と、半永久的に監禁すると言い出す。ミンチョルも極端ですね。

だが、娘がタクシーから飛び降り、それを追いかけているうちにチェ長老の追っ手がやってくる。だが、ミンチョルは強すぎる。男たちを殴り倒し、カマで刺して殺す。しかし、彼を後ろから思いっきり殴ったのは、娘のヨンソンだった。彼女は自由になりたいと泣く。
しかし、ミンチョルは娘を家に連れ戻し、物置に監禁する。

教会に放火するミンチョル。だが、ソンホがそれを見ていた。
彼は今のままでは祖母のいる天国に行けないが、ミンチョル=悪魔を殺したら天国に入ることができると言い出し、彼を刺す。ミンチョルは必死で抵抗し、ソンホの頭を石で割る。

雑貨店主の妻も死んだ。だが、彼は妻の安らかな顔を見て、間違っているのはミンチョルであり、ソン牧師とチェ長老が正しいのだと微笑む。

チェ長老とソン牧師がいるらしい、廃教会を訪れたミンチョル。だが、長老は既に死んでいた(おそらく、ソンホが殺したのだろう)。そこには、牧師も待っている。
牧師は、娘が本当はミンチョルのことを愛しているはずだと語りかけ、神のすばらしさを説く。その言葉にゆすぶられるミンチョル。だが、ミンチョルは知っていた。娘は自分を愛していないと。
牧師は嘘を言っている。
そのことを涙ながらに指摘するミンチョル。牧師は豹変し、ミンチョルが本当に悪魔であり、彼を殺すべきだと喚きたてる。血まみれのソンホも戻ってくる。
だが、警察がそこにやってきて、あまりの光景に驚く。

ミンチョルは慌てて家に帰ろうとするが、真実を知らせたはずの住民たちは、相変わらずミンチョルをにらみつける。帰宅して物置を開けると、ミンソンは既に首をつって死んでいた。
彼の妻は、大声で泣き叫び、彼を凄い目で睨む。

時は流れ。
ダム建設予定地だったはずの村は、すっかり寂れ、ほとんどが廃墟になっている。ミンチョルはすっかり老いさらばえ、妻に与えられた粗末な食事を部屋に閉じこもって食べている。
こっそりと出かける彼。ミンチョルは山の中、洞窟の奥に入っていき、自分の作ったらしき祭壇の前で、無我夢中で祈りを捧げ続ける。

感想

「全員に胸糞悪い悲劇が訪れる」という情報は耳にしていたものの、その言葉通りの展開に驚く。正しいことを言っているのに、誰からも信じてもらえず、愛されず、嫌われ、憎まれる。そして、その「正義」が本当だったと証明されても、ミンチョルはやはり愛されません。
という悲しさは充分に感じたのですが、牧師が発狂した理由はよくわからない。
ラストはとても悲しい。誰からも愛されなかった男を癒やし、その悲しみを少しでもマシなものにしてくれるのは、彼がもっとも忌み嫌った宗教だった、というのはなんとも皮肉です。全編通して、ミンチョルは非常にクズなのですが、ソンミンを愛してはいたんだなということにも気付かされる。

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